2014年3月26日9:20
インタラクティブ・マーケティングの未来予想図
生活者との関係性を問い続ける姿勢がインタラクティブ・マーケティングの明日を切り拓く
本誌が創刊以来、提唱してきたインタラクティブ・マーケティングは、もはや“当たり前”の考え方となった。しかし、実践の中でその本質を体現していくためには課題もある。成否のカギは、常に生活者との関係性のあり方を模索し続ける姿勢を保てるかにあると言えるだろう。
本誌が提唱してきたインタラクティブ・マーケティングが“当たり前”の考え方となる中で
本誌、月刊『アイ・エム・プレス』では、創刊以来、足掛け20年にわたって、“インタラクティブ・マーケティング”の重要性や有効性を提唱してきた。そもそも、“アイ・エム・プレス”という誌名は、Interactive Marketingの頭文字を取ったものであり、「企業とお客さまとのコミュニケーションのストレスを解消したい」という想いの下、企業からの一方的な情報発信ではなく、企業とお客さまとの双方向性に基づくマーケティングを世の中に広めることが、その最大の使命だったといっても過言ではない。
本誌を創刊した1995年当時は、インターネットの黎明期といえども、世の中ではテレビを中心とするマス媒体への広告出稿を中心としたマスマーケティングが主流であり、そこでの情報の流れは企業から生活者への一方通行であった。通信販売業を中心に、ダイレクトマーケティングへの取り組みも活発化していたものの、基本的には傍流であり、また、その展開方法においても、無差別な発信によるDM公害、電話公害が社会問題化するなど、企業発の一方的な取り組みが多かったという点では、本質的にマスマーケティングとさほど大きな違いはなかった。
その中で本誌は、企業と生活者の双方向性に基づくインタラクティブ・マーケティングの重要性や有効性を提唱してきたのだが、創刊から足掛け20年を経た今日では、インタラクティブ・マーケティングは、もはや“当たり前”の考え方となっている。
その最大の要因は、インターネットの急速な普及である。インターネットの進展により情報の流通量が爆発的に増加したことで、企業からの一方的な情報発信はあまり意味をなさなくなった。
また、生活者がソーシャルメディアという道具立てを得たことも大きい。生活者が企業と同等の情報発信力を持ったことで、企業は生活者との双方向コミュニケーションを意識せざるを得なくなったのだ。
さらに、ROI(投資対効果)を追求する考え方が浸透してきたことも、大きく影響していると考えられる。最終的なコンバージョンが把握しづらいことから、“どんぶり勘定”になりがちなマスマーケティングと比較して、特にインターネットを活用したインタラクティブ・マーケティングでは、マーケティングの各段階でのコンバージョン率が明確になるため、ROIの確認が格段に容易なのだ。
このようにさまざまな要因からインタラクティブ・マーケティングが定着してきたわけだが、手法は定着しても、果たして企業とお客さまとのコミュニケーションのストレスが解消されたのか、言い換えれば「インタラクティブ・マーケティングは企業と生活者を幸福にしているか」といった疑問は残されている。例えば近年では、ビッグデータの活用と個人のプライバシーの問題がたびたび報じられている。また、個人的にもアド・テクノロジーの進展によってもたらされるインターネット広告を見て、不愉快な印象を持つことが少なくない。
そこで今回の特集では、「CSV(Creating Shared Value)」「サプライチェーンの再編」「オムニチャネル化の進展」「ソーシャル時代の顧客戦略」「情報の有効活用」「組織マネジメント」という6つの観点から、インタラクティブ・マーケティングの“未来”を探ってみた。