国内で年々拡大するクレジット、 デビット、プリペイドの状況は? 新型コロナウィルス感染対策として 「非対面」「非接触」に注目

アライアンス展開で広がる「Suica」
ブランドプリペイドは流通以外でも活用進む

電子マネーやサーバ管理型のプリペイドカードは比較的少額の支払いで利用されることが多い。非接触電子マネーの動きをみると、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」、イオンの「WAON」、「Suica」などの交通系電子マネー、楽天の「楽天Edy」といったサービスが挙げられる。

「WAON」や「nanaco」は流通系大手企業において、重要な役割を果たしている。両サービスともに、グループ外部での展開も実施。「キャッシュレス・消費者還元事業」によって、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアといった少額決済と親和性の高い業態での利用が伸びていると思われる。

JR東日本の「Suica」は、首都圏を中心に利用が広がっているが、地方は車文化のエリアも多く、首都圏と比べ利用率に隔たりがあるとの声もある。今後は交通系電子マネーとして、共通利用できる全国の他の電子マネーの利用率向上が求められるだろう。また、2016年10月の国内の「Apple Pay」開始に合わせ、「Suica」が「Apple Pay」に対応している。「Suica」ではアライアンス展開も行っており、2018年8月1日からは、iOS向け「みずほWallet」アプリで、銀行口座からチャージして利用可能な「Mizuho Suica」を開始した。2020年5月25日には「楽天ペイ(アプリ決済)」でSuicaの機能が利用できるサービスを開始している。

「楽天ペイ(アプリ決済)」では、交通系IC カード「Suica」との連携強化により、2020 年12 月9 日より「楽天ポイント」から「Suica」へのチャージが可能となった(出典:楽天ペイメント)

PASMO協議会では、2020年3月18日に「モバイル PASMO」を開始。首都圏を中心にモバイル利用者がさらに拡大しているが、JR東日本では2021年3月21日に「モバイルSuica」のサービスをリニューアルする。これにより、「モバイルSuica」と「モバイルPASMO」を、同じ端末で使い分けできるようになる。

サーバ管理型のプリペイドカード(ハウス電子マネー)は、オンライン上のサーバでバリューを管理しネットワーク経由でサーバにアクセスし、金額をチャージ(入金)する仕組みだ。2017年頃までは、ギフト用途も含め、大手加盟店を中心に導入が進んでいたが、近年では、地域のスーパー、専門店がポイントカードと合わせて自社電子マネーとして導入するなど、すそ野は広がってきた。プリペイドカードは非接触型の電子マネーなどに比べ、安価な手数料でキャッシュレスサービスを展開できる。また、自社の販促にも有効活用できるため、店舗を繰り返し利用するリピーターの育成につなげることが可能だ。店舗にとっては前受け金、退蔵益を期待できることも大きい。近年では、カード型に加え、QR/バーコードを表示させることにより、モバイル会員を獲得する動きも目立つ。

ブランドプリペイドカードは、KDDIの「au PAY プリペイドカード」、ココカラファインの「ココカラクラブカード」などが有名だ。流通企業でブランドプリペイドを導入する企業はここ2~3年はやや落ち着いていたように見受けられる。近年では、クラウドキャスト経費精算サービス一体型法人プリペイドカード「Staple(ステイプル)カード」、ULTRAの「ultra payカード」など、法人の経費や報酬の支払いなどで活用されるケースもある。

ネオキャリアの100%出資会社のULTRA は、オリエントコーポーレーションと提携して、業務委託先への報酬をプリペイドカードに即時チャージでき、誰でも即時発行可能なVisa プリペイド「ultra pay カード」をリリース。「enigmapay」との連携で、業務受託者のキャッシュフローをサポートしている(出典:ULTRA/ オリエントコーポレーション)

また、三井住友カードでは、クレジットカードと連携したサービスとして「かぞくのおさいふ」を提供している。これは、家族で共有している家計を「かぞくのおさいふ」1つに集約。家計の管理者は予め、毎月の家族の利用予定額をクレジットカードで「かぞくのおさいふ」に入金(チャージ)し、その中から小遣いや仕送りとして家族の個々のVisaプリペイドカードに入金できるものだ。

プリペイドカードとして、「POSA(InComm’s Point of Sales Activation)」をはじめ、顧客のカード利用と同時にPOSレジや専用端末でカードに金銭的価値を付与し、カード発行企業の販売網の構築、販促施策の実施などを行う「ギフトカードモール事業」は、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店などで定着している。「App Store & iTunes ギフトカード」「Google Play ギフトカード」「Amazonギフト券」などが有名だが、多くの人が自己利用のために購入していると思われる。

ブランドデビットは発展途上
現金感覚で使えるキャッシュレス

ブランドデビットは、端末、与信システムなど、ペイメントカードの国際ブランドカードが運営するインフラをそのまま利用できるシステムだ。

デビットカードの動向をみると、2018年まで活発だった発行は2019年以降は落ち着いている印象だ。新たな動きとして、千葉銀行が2020年10月1日から「TSUBASAちばぎんVisaデビットカード」の発行を開始。イギリスのTransferWise(トランスファーワイズ)は、2021年1月26日、57種類の通貨を保有・利用できる「TransferWiseマルチカレンシー口座」に紐づき、ボーダーレスにお金の両替・送金・受領・引き出しができる「TransferWiseプラチナデビットカード」を日本で発行開始している。みんなの銀行は、2021年5月下旬に予定している同行のサービス提供開始に合わせて、カードレス決済が可能なバーチャルデビットカードの提供を開始する予定だ。

年会費無料のVisa デビット「TSUBASA ちばぎんVisa デビットカード」。「Visa のタッチ決済」機能を付帯(出典:千葉銀行)

ブランドデビットの市場規模はまだ小さく、認知度も発展途上だ。利用者自身もデビット機能がカードに搭載されていることを認知していないケースもあるだろう。近年はGoogle PayやApple Payといったモバイル決済対応、IoT連携を進めているサービスもあるなど、稼働率アップに向けた取り組みが行われている。現金感覚で使えるキャッシュレスサービスとしての浸透に期待したい。

なお、ブランドデビットは以前、銀行にとって運用が課題となっていたが、クレジットカード会社が発行会社となり銀行と共同発行を行うケース、業務受託を行うケースも出てきている。例えば、三菱UFJニコスはクレジットカード事業で培ってきたノウハウ・システムを活かし、ブランドデビットの業務受託を行っている。また、オリエントコーポレーションもトマト銀行から「トマトMastercardデビット」の発行業務を受託している。

プレイヤーが増加するQR/バーコード決済
存在感が増しセキュリティ対策も重要に

QR/バーコード決済サービスは、前述のようにクレジットカードとの紐づけ、前払いでのチャージ、銀行口座直結など、さまざまな運用が行われている。QR/バーコード決済サービスには、POSに接続したバーコードスキャナーやタブレットのカメラで利用者のQRコードやバーコードを読み取って支払いを行う「CPM方式(Consumer Presented Mode)」がまず1つある。また、QRコードを印刷したPOPをレジなどに設置し、利用者がそのQRコードを読み取ることで支払いを行う「MPM方式(Merchant Presented Mode)」も登場している。CPM方式では、レジでコードを読み取ることにより、どのサービスかを自動識別する運用が広がってきた。また、MPM方式は、中小加盟店が決済端末を設置しなくてもサービスを導入できることがメリットだ。

メルカリとメルペイ、NTT ドコモは、全国の加盟店において2020年9 月から、1 つのQR コードで「メルペイ」と「d 払い」の両スマホ決済サービスが利用できる取り組みを行っている

QR/バーコード決済事業者として、PayPayが利用者、加盟店の拡大でリードしているといえる。LINE Payは、コード決済に加え、三井住友カードと提携し、2020年春から「Visa LINE Payクレジットカード」の発行を開始している。携帯キャリアのNTTドコモの「d払い」、KDDIの「au PAY」も潤沢な資金を活用した販促を展開しており、利用者は拡大傾向だ。d払いは「dポイント」、au PAYは「Ponta」と、共通ポイントと連携した販促施策を積極的に行っている。さらに、QRコード決済事業者が提供するアプリに、日常生活で利用するさまざまな機能、金融サービスを搭載した「スーパーアプリ」を掲げる企業も出てきている。

流通系のQR/バーコード決済サービスも登場している。ファミリーマートでは、クーポン、ポイント、決済が可能なオールインワンをコンセプトとしたスマホアプリ「ファミペイ」を展開しており、ファミリーマート以外の加盟店開拓も進めている。2021年夏以降は、後払いと借入希望者へのローンを開始する予定だ。また、パルコの「ポケパル払い」、無印良品の「MUJI Passport Pay」、ユニクロの「UNIQLO Pay」、三井不動産の「アプリde支払い」など、独自の支払いサービスが展開されている。

銀行が展開するサービスとしては、GMOペイメントゲートウェイが「銀行Pay」の基盤システムを提供。同基盤システムをゆうちょ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、福岡銀行、広島銀行、北陸銀行などが活用している。また、みずほフィナンシャルグループもみずほ銀行に加え、地方銀行預金口座と連携したスマホ決済サービス「J-Coin Pay」を展開しており、告知を強化している。

日本電子決済推進機構は、2019年10月31日から、スマホ決済サービス「Bank Pay(バンクペイ)」の先行展開を実施。2020年9月には他の決済サービスの不正利用被害を受け、利用登録時の本人確認厳格化、および口座振替登録におけるセキュリティレベルの高度化を図ると発表している。オールバンクのスマホ決済サービスとしての展開に加え、ホワイトラベルとしての運用にも注目が集まる。

主要なQR/ バーコード決済

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