2021年4月19日7:00
大日本印刷(DNP)とフランス国立図書館(Bibliothèque nationale de France:BnF)は、2021年4月15日~7月11日まで、BnF × DNPミュージアムラボ 第2回展 「これからの文化体験」をDNP 五反田ビルで開催している。同展覧会は、3Dデジタル化された作品群を活用し、作品や人の移動が物理的に制限されるニューノーマル時代に向けて“作品展示のない、新たな鑑賞体験”が可能となっている。

「マザラン・ギャラリー」の天井画など貴重なコレクションをデジタルで鑑賞
フランスのBnFでは、約4,000万点以上の文書コレクションを 収集・所蔵・公開する世界的に有名な図書館となる。同館の歴史的原点であるリシュリュー館を全館改修する「リシュリ ュー・ルネサンス・プロジェクト」を進めており、2022 年のリニューアルオープンする予定だ。リニューアル後は、貴重な資料と歴史的な空間が広く一般的に公開される。DNPは貴重なコレクションのデジタル化や展示システム開発を担当しているが、リシュリュー館オープンに先駆けた展覧会となっている。ニューノーマル時代に向けた新たな文化体験となるそうだ。
DNPでは、正確に作品のデジタル化を行い、VR、AR、XRなどの技術を組み合わせて展示を行っている。DNPでは、作品の細かな凹凸、立体作品の参照を可能とする3Dデジタル化に成功。同展覧会では21点がバーチャル展示されている。来場者は、BnFの歴史的空間である「マザラン・ギャラリー」の天井画(幅 8m×奥行 45m)など、貴重なコレクションを鑑賞できる。
まず、「みどころウォーク」は、仮想空間を歩くことにより興味が広がるコンセプトで開発された。「マザラン・ギャラリー」の天井画の展示を見ながら仮想的にあることが可能だ。利用者に実際の動きとは少し異なる映像を見せることにより空間知覚を操作する技術である「リダイレクテッド・ウォーキング技術」により、限られた展示空間内でも、広大な VR 空間を移 動する体験が可能だ。
「みどころビューア」は、55インチと70インチの大型のディスプレイ上で3D作品の回転や、拡大・縮小・回転などすることで、見どころ情報の表示などの操作ができるシステムだ。タブレットサイズから、8Kの解像度にも対応。高精細なデータによって 肉眼ではとらえきれない細かい模様や質感まで 観察することができるという。

「みどころキューブ」は、作品鑑賞に立方体(キューブ)状のインタフェースを用いて、平面(2D)では表現しきれない「視点」 を 3D空間上で可視化している。複数の作品同士の 関連性の理解につながるようなコンテンツを提供するなど、利用者が興味をもったテーマで作品を鑑賞することができるという。

「みどころグラス」は、リアルとバーチャルを組み合わせて興味を広げることが可能だ。作品の展示されていないところでも、メガネ型のウエアラブルデバイス「スマートグラス」の画面にデジタル化された作品が表示され、仮想的に作品を鑑賞できる。また、利用者の動作に応じて作品に疑似的に触れることも可能だ。鑑賞している作品を動かしてみることができるという。
※DNPによる紹介動画
DNPでは、今回の技術をBnFの2022 年のリニューアルに加え、図書館、博物館、美術館、教育現場などのシーンでも活用してもらいたいとした。