2011年2月1日8:10
非接触IC決済事業者に聞く~JR東日本「Suica」(2)
学生証や社員証としての採用も加速
Suicaポイントで優良顧客を囲い込む
同社ではSuicaの利用を促進させるために、学生証や社員証としての採用も進めている。2011年3月からは東急電鉄と提携し、「Suica付学生証(社員証)」と「PASMO付学生証(社員証)」を相互に提供開始する。
Suicaの認知向上と利用拡大に向け、キャンペーンも積極的に展開。NEWDAYSやKIOSKでは割引キャンペーンを定期的に実施している。
また、同社が展開する「Suicaポイントクラブ」は会員数が113万人を数え、「利用者が専用のポイントカードを提示することなく、Suicaの決済で自動的にポイントが付与される点が喜ばれています」と雨森氏は成果を語る。Suicaポイントでも定期的にSuicaポイント加盟店とのタイアップキャンペーンを実施し、例えば2010年11月から12月末まで、JR東日本の駅のコンビニエンスストア「NEWDAYS」で毎週金曜日にポイントが5倍となるキャンペーンを行ったが利用者に好評だったため、2011年以降も取り組みを継続している。また、会員に送信するメールマガジンもメールマガジン読者限定の情報もあり、非常にクリック率が高いそうだ。
テレビCMや新聞、雑誌、車内・車体広告などでも積極的なPRを実施。首都圏で相互利用するPASMOとはお互いに相互利用できる告知も行っている。
2010年12月20日にはJR北海道の「Kitaca」、パスモの「PASMO」、名古屋市交通局及び名鉄の「manaca」、JR東海の「TOICA」、スルッとKANSAIの「PiTaPa」、JR西日本の「ICOCA」、福岡市交通局の「はやかけん」、西鉄の「nimoca」、JR九州の「SUGOCA」による交通系ICカードの相互利用サービスについて、2013年春の実現を目標に検討を開始したと発表した。
「具体的な検討はこれからですが、電子マネーの相互利用についても検討対象の一つであると思います。弊社は先行して全国の各鉄道事業者と電子マネーの相互利用を開始していますが、弊社以外の事業者でも相互利用が行われることはプラスに働くと考えています」(京田氏)
Suicaの浸透はまだまだこれから?
加盟店を拡大し、決済頻度の向上を目指す
電子マネーとしての利用開始から7年近くが経過し、首都圏を中心に浸透が進んだSuicaだが、「電子マネー事業だけをみると、それなりの投資をしていますのでまだまだこれからだと思っています」と京田氏は話す。
同社ではSuicaを含む交通系の電子マネーが全国に浸透して人々の生活に欠かせないものになることを追求している。そのために、利用できる加盟店を拡大し、利用者の決済頻度をさらに高めていきたいとしている。