2022年4月20日8:00
アジアは世界中のEコマースの最前線に立っており、その成長は2022年も続くと予想しています。2021年初頭、アジアは世界のオンライン小売売上高の60%近くを占め(※1)、中国の消費者の購入だけで世界のオンライン購入の3分の1以上を占めています。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンラインプラットフォームはスタートアップ企業から大手小売業者に至るまで、ビジネスの主戦場になりました。
企業にとって、ビジネスを成長させるためには、越境ビジネスを拡大し、世界中の消費者にリーチすることがカギになっています。アジア全域における可処分所得の増加とインターネット普及率の上昇が、同地域のEコマースおよびデジタル経済の急成長に拍車をかけました。さらに今年発効された地域的な包括的経済連携(RCEP)(※2)などの新しい貿易協定の導入も、要因の一つとなっています。
そうした中、アジアのEコマースに影響を与えている様々な要因のうち、どれが長期的なトレンドになるのでしょうか?以下に、2022年に注目すべき5つの重要なトレンドを挙げます。
※1 DIGITAL COMMERCE360
※2 A Singapore Government Agency Website
1. アジアにおけるデジタルファーストのアプローチ
コロナ禍で、オンラインショッピングは驚異的な成長を遂げました。東南アジアだけでもデジタル消費者の数は 7,000 万人増加しました(※3)。緊急事態宣言やロックダウンなどに戸惑いながらも、複雑なショッピング環境の提供を強いられてきた大小の小売業者は、ただ生き残るためだけでなく、ビジネスで成功するためにデジタルを活用したいと考え始めています。
デジタルトランスフォーメーションの市場規模は、アジアだけでも、2027年までに1兆 3,000億米ドル(※4)を超えると予測されています。現在、小売業者は、顧客基盤の拡大、エンゲージメントの向上、変化するニーズに対応したサービスや商品の開発、クラウド活用によるデータ利用の最大化などを目的に、デジタルツールを導入しています。
2022年に小売業者は、デジタル化におけるロードマップの達成とデジタルマチュリティ(デジタル化の成熟度)の向上を目指した取り組みを確実に遂行するなら、さらに成長を遂げることができるでしょう。
※3 TECH IN ASIA
※4 CISION PR NEWSWIRE
2. パーソナライズされた円滑なショッピング体験
オンラインショッピングが飛躍的に伸び続けている中で、小売業者がEコマース・ブームに乗るためには、単にオンライン上で存在感を示すだけでは十分とは言えません。
小売業者にとって、今や円滑なショッピング体験の提供が不可欠となっているからです。消費者がログインしてからチェックアウトするまでの時間が1秒伸びるごとに、コンバージョン率が7%低下(※5)すると言われています。サイトの読み込み速度の向上、直感的なナビゲーション、円滑なチェックアウトのプロセスは、デジタル消費者のニーズと好みに応えるためのほんの一例に過ぎません。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、消費者の間では、顧客ロイヤルティが低下し、新しいブランドを試そうとする傾向が強まっています(※6)。そのため、消費者を引き止めるために、ターゲットとなる消費者のニーズを理解し、それぞれにパーソナライズされたインセンティブを提供し、製品のレコメンデーションを最適化することが大切です。その際にデータが重要な役割を担います。
在庫管理は、もはや行き当たりばったりでは成功しません。今日の競争環境において、小売業者は勘に頼ってビジネスをすることはできず、データの力を活用することで、ニーズを予測し、カスタマイズされた体験を提供する必要があります。
※5 PayPal Newsroom
※6 WORLD ECONOMIC FORUM
3. 多様化する決済方法:幅広い選択肢の提供
調査会社IDCによると、2025年までにデジタル決済はEコマース支出全体の91%を占める(※7)ようになると予想されており、それに伴い、デジタル決済手段の多様化が進むと考えられています。
また、越境ECのモバイル決済が普及し、アジア地域全体で電子決済システム間の相互運用性が高まることが予想されます。最近、シンガポールと韓国が新たにデジタル経済協定を締結(※8)しましたが、これは越境電子決済における二国間協力の深化と進展を告げています。
※7 THE PAYPERS
※8 cna
4. オンデマンドサービスとライブストリーミング配信
このコンテンツは会員限定となっております。すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。
会員登録(無料)をご希望の方は無料会員登録ページからご登録をお願いします。