2014年11月27日8:20中小企業経営者、個人事業主向けカード等の発行を強化「アメリカン・エキスプレス・コネクト」などWebサービスも充実へ
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.(American Express)は、2014年9月15日に社長に就任した清原正治氏が同社の取り組みについて紹介するメディア懇親会を11月26日に開催した。清原氏は、今後も攻めの経営を強調。中小企業経営者、個人事業主向けカード等の発行に力を入れ、「アメリカン・エキスプレス・コネクト」や「アメリカン・エキスプレスダイニング・トレンド」の開設など、インターネットサービスについても強化していく方針だ。
清原氏は金融サービスがホームグラウンド
攻めの姿勢で事業拡大を目指す
清原氏は、住友化学工業(現 住友化学)でキャリアをスタートしたが、1999年に米GEの子会社ゼネラル・エレクトリック・キャピタル・コンシューマー・ファイナンス(現新生フィナンシャル)に入社し、以後、個人消費者向けの金融サービスの畑を歩んできた。
また、清原氏は、アメリカン・エキスプレス・カードのヘビーユーザーであり、8年前にプラチナカードのインビテーションが届き、会員となるなど、25年にわたりAmerican Expressのサービスに触れてきたそうだ。清原氏は、13年間社長を務めたロバート・サイデル氏の後を受け社長に就任するが、「守り」に入るのではなく、「新たなアプローチをしていきたい」と意気込みを見せる。
American Expressは1850年に物流会社からスタート。「世界で最も尊敬されるサービス・ブランドになる」というビジョンのもと、常に妥協なきベストなサービス、ベストなオファー、体験を提供してきた。一般にAmerican Expressというと富裕層をターゲットにサービスを展開していると思われがちだが、「我々の使命はベストなサービス、オファーをより広く、いろいろな層に深く展開していくことです」と清原氏は説明する。そして、自らの使命として、「重要市場である日本において、事業成長を加速させる」ことを挙げた。
ゴールドカードなどフラグシップ商品も随時リニューアル
歯科医、獣医、オートパーツ、理美容の経営者へのカード発行を強化
American Expressは世界130カ国でサービスを展開。2013年のカード発行枚数は1億720万枚、取扱高は9,524億ドルを誇る。また、同社と同じように世界規模でサービスを展開するVisaおよびMasterCardはブランド事業が中心だが、イシュア(カード発行)やアクワイアリング(加盟店管理)なども含めたビジネスモデルとなっているのが強みとなる。さらに、競合の国際ブランドに比べ、カード会員の年間平均利用額は3倍以上高く、顧客ニーズを満たすサービスを展開することで、密度の濃い会員が獲得できているそうだ。
日本では、自社発行カードとして、個人向けカード、個人事業主・中小企業経営者向けカード、大法人向けカード発行。また、プリペイドカードとして百貨店ギフトカードの発行も行っている。さらに、他社発行提携カードとして、クレディセゾンや三菱UFJニコス、エムアイカードの各イシュアでは、American Expressブランド搭載のカードを発行している。
自社発行カードのフラグシップ商品も随時リニューアル。例えば、ゴールドカードは、ヤングカップルが多く保有しているため、従来は家族カードは1枚目から年会費が必要だったが、1枚目の家族カードは無料化した。
また、エアラインやホテル、商業施設などと連携したカードも発行。最近では、「ANAアメリカン・エキスプレス提携カード」(2009年10月より発行を開始)のラインナップに、最上位クラスとなる「ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」を新たに追加し、2014年11月19日より会員募集を開始している。さらに、エイチ・ツー・オー リテイリング、阪急阪神ホールディングスとは、阪急百貨店・阪神百貨店での買い物に利用できる「ペルソナカード」のサービス拡充にあたり、カード発行事業において提携し、新・クレジットカード「ペルソナSTACIAアメリカン・エキスプレス・カード」の会員募集を行っている。いずれもマイルやポイントの還元率の高さが魅力的なカードとなっているそうだ。
法人市場に関して、同社が取り組みを強化しているのが中小企業経営者、個人事業主向けカードだ。自営業者は、企業の従事者等に比べ、3倍~4倍のカード利用になるケースもあるそうだ。従来から発行に力を入れる歯科医、獣医、オートパーツ向けに加え、理美容室セクターへの取り組みも開始している。
「アメリカン・エキスプレス・コネクト」は優待特典情報を集約
特典を事前登録し、カード決済するだけで特典を受けられる
さらに、利用明細やポイント交換などが可能なスマートフォンやタブレット専用アプリの提供や、Facebookに加えTwitterアカウントも開設している。
11月からは、リアル、ネットを含めさまざまなシーンで利用できる優待特典情報を集約した「アメリカン・エキスプレス・コネクト」を開始。ショッピング、ダイニング、トラベル、エンターテイメント、ビジネス、ライフスタイルの各カテゴリーにおける各種優待特典やキャンペーン情報を1つのサイトで横断的に表示。カード会員は同サイトにログインすることで、保有するカードに対応した情報を閲覧、検索し、優待情報やキャンペーン情報を利用可能だ。また、事前に登録をすることで加盟店オファーが受けられる特典も提供している。カード会員は、利用したい特典を選択して事前登録し、当該加盟店でカード決済を行うことで自動的に特典が適用される。清原氏によると、「すでに100以上のオファーがある」という。
また、アメリカン・エキスプレス発行カードの会員利用実績に基づくダイニングプラットフォーム「アメリカン・エキスプレスダイニング・トレンド」をぐるなびの協力を得て開始。常時1,500店舗規模でレストランを紹介しており、人気の店舗をランキング化している。
なお、具体的な売り上げの目標については非公表としながらも「利益もマーケットシェアも現在の2倍にしたい」と意気込みを見せた。