2022年5月11日8:00
公正取引委員会では、フィンテック(FinTech)を活用した金融サービス市場のフォローアップ調査を行う。2020年4月に公表した実態調査報告書により、決済インフラの料金値下げなどで成果を生んだが、金融サービス分野の競争環境をさらに改善し、イノベーションの促進と利用者の利便性のさらなる向上を図るため、フォローアップ調査を実施する。同調査を実施する背景について、公正取引委員会事務総局 経済取引局調整課 課長補佐 山本真弘氏に話を聞いた。
前回調査後、決済インフラが引き下げで成果
5つの提言についてフォローアップ調査
フィンテックを活用した金融サービス市場のフォローアップ調査では、令和2年4月の「家計簿サービス等に関する実態調査報告書」および「QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書」公表以降、電子決済等代行業者の銀行へのアクセスや銀行間手数料の引き下げ等について、銀行等において一定の成果がみられた。
例えば、NTTデータは、リテール決済インフラである「CAFIS」の料金見直しを2020年10月から実施。キャッシュレス決済のチャージに利用されるCAFISの即時口座振替取引の料金に加え、クレジットカード決済の料金は、処理1件あたり最大3.15円(決済金額にかかわらず同額)だったものが、1,000円以下の少額決済は決済金額の0.3%に変更している。また、キャッシュレス決済のチャージに利用されるCAFISの即時口座振替取引の料金は、処理1件あたり最大3.15円から1円に引き下がった。
山本氏は「CAFISの手数料が下がるなど一定の動きは見られますが、令和2年4月の報告書以降、どのような取り組みが行われているか、5つの提言について見ていきたいです」と話す。
1つ目は、「電子決済等代行業者の銀行へのアクセス確保」だ。家計簿アプリでは、銀行の口座情報へアクセスする必要がある。その中では、1年更新※であることが多く、フィンテック事業者との交渉が行われている可能性があり、前回報告書から2年経過した際の経済面でのやり取りについて確認する。前回の調査後は、参照系API手続費用に係る電子決済等代行業者と銀行間の交渉状況で改善された点もあったが、一部のフィンテック事業者が銀行とのAPI接続を終了したケースもあるなど、「時間が経って状況が変化した点について確認します」と山本氏は話す。
※公正取引委員会の令和2年4月の報告書39頁では、「しかしながら、契約は1年更新であることが多く、電子決済等代行業者からのヒアリングによれば、多くの銀行から、今般の条件は、上記の期限を前提とした暫定的なものであり、契約更新に係る交渉の際に契約内容を見直す可能性について示唆されている者もいる」とされている。
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