みんなの銀行、独自与信判断のローン機能を今夏導入、BaaS事業はA2A決済も構想に

2022年5月31日7:45

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)子会社のみんなの銀行は、2021年5月28日にサービス提供を開始してから1周年を迎えた。同社では、1年間の成果や今後の取り組みについて紹介する記者懇親会を2022年5月27日に福岡、30日に東京で開催した。当日はみんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏が1周年の軌跡やこれからの展開について紹介した。同社では、2022年夏にBNPL(後払い)やオルタナティブレンディングの要素を取り入れた独自の与信判断による「みんなの銀行 Loan」を提供する予定だ。また、組み込み型金融「Banking as a Service(BaaS)」では銀行口座直接の引き落とし型サービス「A2A(Acount-to-Account)決済」の展開も視野に入れている。

みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏(東京での説明会)

口座数は狙い通りの数字に
「お友達紹介プログラム」で7割強が開設

みんなの銀行は、国内初のデジタルバンクを掲げてサービスを開始。ダウンロード数は、サービス開始3カ月で10万、6カ月で20万、9カ月で30万を突破し、2021年度は累計88万ダウンロード、33万口座となった。サービス開始1年の予想が105万ダウンロード、40万口座だったため、狙い通りの数値となった(2022年5月で100万ダウンロード、40万口座突破)。口座開設の経緯として、「お友達紹介プログラム」による割合が74%と多いのが特徴だ。また、デジタルネイティブ世代となる10~30代で7割の利用者を占めており、ユーザーのエリア分布も全国から満遍なく獲得できている。

預金残高は当初の目標を下回る
「Box」は多様な使われ方をされる

みんなの銀行のスマホアプリでは、普通預金口座の「Wallet(ウォレット)」で支払いや振込、カードレスATMの入出金、バーチャルデビットカードとしてキャッシュレス決済まで利用可能だ。月間アクティブユーザーは54%、預金残高は58.5億円。初年度の預金残高は、250億を目指していたが、サブ口座としての利用が多く、当初の想定を下回った。

また、目的別預金口座の「Box」は、最大20個のバーチャル口座が開設できる。貯蓄預金の口座を箱のようにしたデザインが特徴で、リアルの財布のようにドラック&ドロップでお金を分けることができる。7%程が設定しており、Box預金残高は10.1億円、1人あたり4万5,000円の利用がある。

預金の目的に応じてボックス名を作成できるが、1位は「貯蓄・投資」、2位は「趣味・娯楽」、3位は「旅行」となっている。5位に「へそくり」が入るなど、サブ口座としての利用の色を強めている。永吉氏は「千差万別の名前がありますが、一歩進んだサービスの声としても捉えられるので、プロダクトの改善を進めていきたいです」と話す。

みんなの銀行では、1周年を記念したキャンペーンを実施。「みんなの銀行で夢叶えるキャンペーン」第3弾は、5月27日~6月13日までみんなの銀行Twitter公式アカウントをフォローし、「#みんなの銀行で夢叶える」をつけて投稿した中から、選ばれた人の「夢」の実現を上限10万円の資金でサポートする

デビットでデジタルウォレットの世界観浸透を目指す
「Premium」は47.9%が設定

ジェーシービー(JCB)と連携して、口座開設と同時に設定される「Debit」は、発行枚数32.1万枚、プロビジョニング設定者割合は33.1%となった。「Apple Payに対応した数少ないデビットカードで、お財布いらずの観点で言うとニーズに合っています」(永吉氏)。デビットの浸透は時間がかかるとしながらも機能性を高めることで、デジタルウォレットの世界観を浸透させていきたいとした。

アグリゲーション機能となる「Record」は、銀行口座、クレジットカード、電子マネーの情報を連携させると、一目で残高や明細を確認できる。また、ハッシュタグをつけて明細を登録できるため、自らのお金を管理しやすくなった。

「Cover」は、みんなの銀行が当座貸越枠を付与するサービスだ。契約者は、急な出費や支払いがあっても最大5万円まで自動で立替えることができる。月額600円の「Premium」契約者が利用可能だ。「日本ではBNPL(後払い)が劇的に伸びていますが、この代替となり互換性があります」(永吉氏)。「Cover」は通常のカードローンとは異なるサービスのため利息は発生せず、「ユーザーの価値観にフィットしています」と永吉氏は説明する。

前述の自動立替に加え、他行への振込手数料が月10回まで、ATM出金手数料が月15回まで無料、キャッシュバックサービス5倍の1%(通常0.2%)、アグリゲーション一括更新、といった特典のある「Premium」の契約者は15.6%となり、口座開設者の約47.9%の人が設定している。

「ピクシブ支店」、「テンプスタッフ支店」を開設
利用者の声からサービス改善へ

同社の取り組みやデザイン性は高い評価を受け、世界三大デザイン賞の1つと言われる「Red Dot Design Award 2021」のブランド部門において、日本の企業として初めて「Brand of the Year」(最優秀賞)を受賞した。また、優れたデザインを表彰する「iFデザインアワード2022」において2部門で受賞している。

パートナーとの取り組みとして、2021年9月30日に「ピクシブ支店」、同10月2日に「テンプスタッフ支店」を開設。同取り組みはBaaS(Banking as a Service)の展開に向けて、大きな弾みとなっている。

さらに、みんなの銀行アプリで提供する目的別の貯蓄機能「BOX」を活用したファンとチームをつなぐ仕組みである「みんなのCheer Box」では、スポーツチームなど特定の条件で作成された預金額に応じて、みんなの銀行から対象チームに支援金を送る取り組みだ。例えば、未曽有の災害に見舞われたトンガ王国を応援するための「トンガにつなげよう、Cheer Box」では66.5百万円、口座開設が応援になる「トンガにつなげよう、Cheerコード」では41件が開設されている。

利用者の声をもとに、銀行をアップデートしていくプロジェクトである「みんなでつくる、みんなの銀行プロジェクト」も実施している。2021年1月~2022年3月にリファラルを含む全量では89万4,276件の声が寄せられ、そのうちサービス改善に向けては4万9,211件の声があった。例えば、デビットカードの利用通知(アプリ&メール)では、「日時・金額・加盟店情報」を追加し、利用や利用取消があった際にすぐに内容を確認できるようにした。

「みんなの銀行Loan」は1項目の入力、借入条件130パターン用意
BaaSは決済機能を詰め込んだシンプルなサービスを検討

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