2022年7月20日8:00
楽天グループは、運営するファッション通販サイト「Rakuten Fashion」において、バニッシュ・スタンダードが提供する「STAFF START」のコーディネート投稿機能との連携を発表した。
「Rakuten Fashion」は、専用アプリを2022年6月にリリース。2年で累計1,000万ダウンロードを超えている。また、「LUXURY(ラグジュアリー)」や「DESIGNERS&INTERNATIONAL」の販売などを設けており、コスメブランドなどの利用も広がっている。
ファッション業界では、販売チャネルによってアパレルの機能が縦に分かれていた。実店舗とEC、モールなどで、利用者や在庫も分断され、販売員も実店舗とECで別々の対応が必要だった。今後は、顧客のクロスチャネル化、販売員のメディア化、在庫におけるプル型の統合管理などでマルチチャネル対応が広がっていくとみている。
「Rakuten Fashion」では、オンラインとオフラインの垣根をなくすため、1億以上の楽天会員をブランドの実店舗へ送客する仕組みを展開している。その際には、データ活用と分析が重要となるため、ビッグデータ分析によってより精度の高いポテンシャルのユーザーにの発掘、送客が可能になるとした。さらに、オフラインのサービスも研究しており、紐づけることによってデータ活用の精度が高まる。楽天では、「Rakuten AIris」というAI活用によりどのお客がどのブランドを購入するかを分析している。また、在庫活用では、デジタルソリューション「Rakuten Fasion Omni-chanel Platform」により、複数販路の在庫商品、顧客情報及び商品購買情報の一元化を目指している。
今後、販売員はインフルエンサー的な役割を担い、ブランディングの起点として再定義されるとした。STAFF STARTとの連携により、200ブランド以上、約9,500人のスタッフによる「Rakuten Fashion」へのコーディネイト画像のデータ登録が自動化され、毎月10万以上の最新コーディネイト画像が追加登録される。楽天グループ 上級執行役員 コマースカンパニー ヴァイスプレジデント 松村亮氏は「楽天グループのユーザーをつなげることで、ECに活躍の場を広げていきたい」とした。
スタッフの着用画像により、サイト上でコーディネイトの検索ができる。また、試着の代替機能としてアイテムページでのCVRの向上が期待できる。今後は、データ活用によるユーザーのマッチング強化を予定している。将来的には、店舗スタッフが顧客に向けて直接販売できるようなツールなどの導入を検討していく。
なお、バニッシュ・スタンダードでは、STAFF STARTにより「従業員によるコマースの世界観を作った」と、代表取締役 小野里寧晃氏は説明する。同社では、販売スタッフをDX化することで、活躍する場を広げ、店舗とEC、ブランドと顧客をつなぐ世界を目指している。従業員体験(EX)の向上によりスタッフの質が高まることにより、CX(顧客体験)も高まるとした。これまで従業員はECサイトで接客をしても成果として認められなかったが評価できる仕組みとなっているそうだ。また、東京の従業員が北海道や沖縄に商品を販売することも可能になる。
2021年のSTAFF STARTの流通総額は1,300億円を突破。スタッフの売上は、月間500万円が622名、1,000万円以上が218名いるそうだ。今後は、楽天の膨大な顧客データと掛け合わせることで、よりスタッフ起点の高精度なレコメンドを実現できるとした。将来的には、楽天市場との連携も実現していきたいとした。
STAFF STARTを導入しているユナイテッドアローズ 執行役員 藤原義昭氏は、店頭では営業時間があるが、オンラインは24時間365日の販売が可能なメリットがあるとした。今後は、OMO(Online Merges with Offline)のような展開が重要だとしたうえで、「1対Nの接客ができるようになりますので、その経験をデジタルを使ってコマースで展開していきたい」とした。