2022年7月28日8:00
福島県磐梯町は、2022年7月22日から、町内の店舗で利用できる10%のプレミアが付いた地域デジタル通貨「ばんだいコイン」の発行を開始した。「ばんだいコイン」は、町内だけではなく町外の人々も利用可能だ。導入初年度となる2022年度は、1億円の通貨を流通させ、域内消費の活性化を目指す。
10%のポイントが付いた地域デジタル通貨
商品券事業ではデジタル化で成果も運用面で課題も
「ばんだいコイン」は、磐梯町内で利用可能なデジタル地域通貨だ。利用者は自身のスマートフォンでアプリをダウンロードして、店舗に設置されたQRコードを読み込み、自ら金額を入力して店員に確認してもらい支払いが可能だ。「ばんだいコイン」では、チャージ金額に対して10%のポイントを付与しており、1 ポイント=1 コイン(1 円)相当として利用できる。
金額の入金(チャージ)は、リオン・ドール磐梯店・道の駅ばんだい・星野リゾート アルツ磐梯(冬季のみ)のチャージ機、全国のセブン銀行 ATM、商工会窓口で行える。例えば、観光客は、自身が住む地域でアプリをダウンロードし、セブン銀行ATMでチャージして町に訪れることが可能だ。
地域デジタル通貨発行の目的は、磐梯町へのお金の流入を目指すことだ。磐梯町 デジタル変革戦略室長 小野広暁氏は「景気対策の補助金やふるさと納税から得た予算を投下しています。昨年の『磐梯町プレミアムとくとく商品券』は町内、および町内に勤務している方のみが対象でしたが、町内はもちろん町外の方にも利用していただき、関係人口になっていただければと考えています」と話す。同取り組みは2023年3月31日までとなり、入金金額も同日までの期限となるが、「来年度以降も予算を確保したうえで継続して実施していければ」と想いを口にする。
人口3,400人の磐梯町では、デジタル変革に積極的に取り組んできた。2021 年度には、25%のプレミアムが付いた町民向けの地域振興券「磐梯町プレミアムとくとく商品券」のデジタル化を実施。町内にはシニア層も多かったため発行前は不安もあったが、即日完売するなど好評だった。小野氏は「発行した金額は99.9%使われ、町の消費の喚起になりました」と語るように、利用の面でも成果を生んだ。また、町民からスマートフォンによる通貨の発行が受け入れられ、デジタル・デバイドを解消できたという。今回、町内事業者の経験値や町民のデジタルリテラシーが向上したことなどを受け、「ばんだいコイン」の発行に至った。
一方で、「磐梯町プレミアムとくとく商品券」では、売上金の支払いなどアナログな部分の課題が残った。「ばんだいコイン」の発行に向けては、町民、事業者からの意見をもらい、商品券発行時の課題も踏まえたうえで、改善点を洗い出し、システムを一新した。
チャージ機やATM活用でコストを抑えて展開
加盟店から利用者への訴求も可能に
「ばんだいコイン」の発行主体は磐梯町となり、地域経済を振興する磐梯町商工会が発行業務を受託している。システムの問い合わせは磐梯町商工会が担っているが、細かい業務に関しては磐梯町のデジタル変革戦略室が対応している。
導入に向けては、複数社の機能や料金などを比較し、複数のエリアで地域通貨を支援した実績のあるフィノバレーのデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」を導入した。「MoneyEasy」の仕組みは、岐阜県飛騨高山エリアの「さるぼぼコイン」や千葉県木更津市の「アクアコイン」などの先行事例があり、チャージ機やセブン銀行ATMの機能をすでに有していたため、コストを抑えて展開できるメリットがあった。また、店舗検索、クーポン発行機能など、加盟店の努力によって誘客が図れる点も採用のポイントとして挙げた。
実証事業で利用者のニーズを見極める
加盟店からの決済手数料は?
「ばんだいコイン」のスタート時には約40店舗が参加。デジタル商品券の実績から加盟店開拓は順調に進んだ。小野氏は「磐梯町に店舗のない業種は、町外からの参加も今後検討していきたいです」と述べる。
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