交通事業者で広がるVisaのタッチ決済導入、運用形態は次フェーズに移行?

2022年12月21日8:22

ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2022年12月19日に公共交通機関でのVisaのタッチ決済導入に関する、海外事例も含めた最新動向を紹介する記者説明会を開催した。国内でも急拡大をみせている公共交通機関でのタッチ決済導入状況を、海外の状況と比較しながら説明した。

世界では615以上の交通機関で導入
2021年以降、10カ月で10億件を突破

当日はまず、アーバン・モビリティやトランジットの事業開発を行うビザ・ワールドワイド・ジャパン ソリューション企画部 ディレクター 大野有生氏が交通事業者のグローバルトレンドとVisaの提供するソリューションを紹介した。

Visaがアーバン・モビリティに取り組む背景として、人口動態と環境がグローバルで重要な課題となっている。2021年と比較すると、2050年には世界の3分の2以上の人が都市部の移住者になると予測される。また、国連によると100人のうち16人が高齢者となる。日本は2021年で約29人と世界的にも高齢化が進んでいる。さらに、路上走行車両のCO2排出比率は2021年の18%から33%となる。

2022年1月~12月までの状況をみると、海外の社会生活はグローバルの標準に戻りつつあるが、交通期間乗車数はコロナ前の状態に戻っていないという。例えば、ニューヨークの交通事業者ではコロナ前の水準に戻るのは2035年と想定しており、運賃値上げを2023年、2025年に検討するなど、収益構造を見直している。ロンドンはすでに80%が戻っているが、2023年3月に10年ぶりに平均4.8%の運賃値上げを行った。シンガポールも70%まで戻っているが、収益を補うため、運賃値上げや便数減を検討している。日本の上位10社をみると、11月の時点で79%まで戻っているが、運賃値上げや便数減を検討していることに加え、不動産・商業施設・金融業などの非鉄道事業の強化を中期経営計画で宣言するなど、収益モデルを多角化する企業が多い。

Visaのタッチ決済の交通機関導入はグローバルで伸びており、2021年の580から、2022年11月は615以上へ増加している。年間5,400万人以上が利用するカナダのMetrolinx運用開始など、大型導入案件も続いている。Metrolinxでは、カナダ国際空港とダウンタウンを結ぶUP Express、トロントと近郊を結ぶGo Transitにタッチ決済を導入。今後、Metrolinxは両社プラットオームを統合し、合理化を図るとともに、相互接続により便利な移動手段の提供を検討するという。

タッチ決済の件数も伸びており、2021年以降、10カ月で10億件を突破している。大野氏は、交通機関の投資利益率を高め、既存のシステムよりも運用コストを3分の2以上削減できるなど、持続可能な事業展開をしていくために導入が進んでいるとした。

インバウンド回復でさらなる利用増へ
MaaSへの拡張を見込む

公共交通機関でのタッチ決済における海外発行カードの利用比率として、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの平均は、2019年の約2.3%から2020年、21年はコロナ禍で約1.7%に落ち込んだが、2022年(1月~11月)は約5.3%まで伸びた。その理由として、タッチ決済可能な枚数が増えたことが挙げられる。日本では、2022年9月の約1.2%、10月の2.3%、11月の約5.1%に増えている。

今後のインバウンド回復の参考として、タイではコロナ前は中国からの観光客が毎年1,000万人訪れていたが、7月1日に入国者数の上限を撤廃し、9月の131万人から11月は173万人と伸び、2022年は1,109万人の観光客を見込んでいる。タイのTISCO Bankの見通しとして、2023年上期は燃料高騰や景気後退で低迷するが、下期より中国の入国制限緩和になれば、より回復基調が鮮明になるとした。日本でも2022年10月11日に入国者数上限を撤廃しているが、9月の20万人から10月は50万人に伸びている。

Visaでは、利用者と日本でそれぞれ利用者意識調査を実施。グローバルでは、公共交通機関の利用時に感じる不便さとして、84%の人が券売機での待ち時間を挙げた。また、32%の人がタッチ決済はより乗車する動機となると回答している。さらに、5分の3の人が運賃上限額制限はより乗車する動機となるとした。

日本での調査によると、日本の20代の44%が「十分な小銭がなかったり交通系プリペイドカードの残高が足りないと支払いができない」と回答しており、他世代に比べて高い率となった。また、タッチ決済対応カードの利用時のメリットとして、20代の48%が並んで切符を購入、交通系プリペイドカードをチャージする必要がないと回答した。さらに、「日本や海外で電車・地下鉄の移動にタッチ決済を利用したいか?」を尋ねたところ、20代の3分の2以上となる67%が利用したいと回答した。

今後目指す姿として、現在日本では交通事業者へのタッチ決済を進めているが、「今後すべての移動手段に対してこれを拡張していく」という。また、モバイルの統合決済に拡張していきたいとした。MaaS(Mobility as a Service)はさまざまな移動手段を利用する中で最適なルートを提案し、統合決済を行うが、そこの支払い手段を目指す。Visaでは16億人をつなぐグローバル決済ネットワークを有しているが、カード当局の情報の記録、不正の抑制、混在課金、ダイナミックプライシング、ロイヤリティプログラムなどを用いて地域の活性化に貢献していきたいとした。

また、未成年者や年金受給者、学生へデビット・プリペイド式のVisaカードを提供したり、経済的困窮者の特定運賃女性プログラムを導入することで、交通格差のない街づくりに貢献したいとした。さらに、デジタル決済採用による交通事業者の持続可能性向上、MaaSやシェアリングエコノミーによる決済ネットワークによってCO2排出量削減などに貢献していく方針だ。

コンビニは2件に1件がタッチ決済
プロジェクト数は21都道府県、33プロジェクトに

続いて、デジタルソリューションズ ディレクターの今田和成氏が、公共交通機関におけるVisaのタッチ決済導入の実例について紹介した。

2022年9月末における決済端末の設置台数は150万台、カード発行枚数は8,700万枚となった。タッチ決済取引件数も増加しており、2022年7月~9月期を2021年7~9月と比較した場合、コンビニは約2.3倍以上の増加となった。Visa取引の約2件に1件と、「半分の取引がタッチ決済で行われています」と今田氏は述べる。また、ドラッグストアは約3.9倍以上、飲食店は約2.9倍以上、スーパーマーケットは約2.1倍以上、公共交通機関は約5.3倍以上となりトランザクション数が伸びた。

公共交通機関での導入も着実に伸びており、2022年12月現在、21都道府県、33プロジェクトが発表、もしくは展開済みだ。直近2年間で29プロジェクト、17都道府県増加している。新たな取り組みとして、北海道の北海道ボールパークとJR新札幌駅、北広島駅を結ぶシャトルバスでの運用が発表されており、関東の西武バス(所沢~羽田空港)、京急バス(羽田空港~YCAT線)、富士急バスの富士五湖、御殿場エリア路線バスなどで導入された。また、東急電鉄では、2023年夏に田園都市線を中心に一部先行導入し、2024年春に全線に展開すると発表されている。関西では、神姫バス、九州ではJR九州の博多駅など5駅、鹿児島市電の市内運行バスなどで導入されている。

全線対応、首都圏大規模案件、上限運賃撤廃等の例も
10カード未導入エリアでの浸透に注目

今田氏は、「公共交通機関へのタッチ決済は次のフェーズに移行し始めています」と話す。

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