決済代行主要3社の成長や今後は? SBPSは25年度に10兆円、DGは2028年度に15兆を目指す

2023年5月15日9:10

国内の大手決済代行事業者(PSP)は、コロナ禍でも順調に成長が続いている。2023年5月10日~12日には、GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)、デジタルガレージ、ソフトバンクの決算説明会が開催された。決済専業のGMO-PGに加え、デジタルガレージの売上を牽引するDGフィナンシャルテクノロジーなどのFINANCIAL TECHNOLOGY(FT事業)、ソフトバンクの金融事業でPayPay等と並んで重要な部隊となるSBペイメントサービスの取扱高や今後の目標が発表された。(図版は各社説明資料より出典)

GMO-PGは非対面ECと物販が続伸
各業界トップ向けのアプリケーション提供へ

GMO-PGは、今期は15兆円の達成を見込んでいるが、2023年5月12日に2023年9月期 第2四半期の決算を発表した。2023年第1四半期の実績として、売上収益が304億円、売上総利益が196億円、営業利益が103億円となった。稼働店舗数は16万721店、連結決済処理件数が14.8億円、連結決済処理件数が約3.6兆円となっている。特にGMOフィナンシャルゲート(GMO-FG)の決済端末の導入に加え、インバウンド消費の活性化、GMO-PGの非物販ECの成長で連結売上収益は28.2%増加した。GMO-FGはストック型収益が伸長し、タッチ決済等モビリティ分野が成長ドライバーとなった。

5月12日の説明会でGMOペイメントゲートウェイ 代表取締役社長 相浦 一成氏
GMOペイメントゲートウェイ 取締役副社長 企業価値創造戦略統括本部本部長 兼 GMO-Z.COM PAYMENT GATEWAY PTE. LTD. 代表 村松 竜氏はニューヨークから参加

連結営業利益に関しては、2023年1月に起きたシステムトラブルの影響で7億5,000万円の一時費用が発生したが、事業バランスと経費コントロールによって営業利益は25.1%増となっている。なお、システムトラブルの要因に関しては投資家からの質問も出たが、非公表となるそうだ。全セグメントで売り上げは伸びているが、一時費用および与信費用の増加により、利益率は低下した。

GMO-PG単体では売上収益20.1%、営業利益32.4%増となった。分野別にみると、旅行チケット、ユーティリティ、食品・飲料などが伸びた。GMOイプシロン(GMO-EP)は有望なスタートアップ向けのサービスを強化しているが、回復に向かう最中だ。また、GMOペイメントサービス(GMO-PS)は積極的な展開をしているが、その反動で未回収率が上がっている。近日中にBNPLサービスの開始を予定しており、それが起爆剤になるとみている。GMO-FGは、インバウンドで中国人観光客が戻れば、さらなる成長が期待できるとした。

GMO-PGでは、マス向けのキャッシュレス決済の普及、ステーブルコインを含めたデジタル地域通貨による地域活性化を強化していく。BtoE向けでは、給与デジタル払いの領域への参入を挙げた。人事労務オペレーションに係るパートナー企業と連携してビジネスを展開していく。

広義ECの営業利益は2025年に180億~220億を目指す。業種ごとのトップ企業に対してのアプリケーションをつくり、それを横展開していくことを目指す。

2025年に10億以上の利益を目指すBanking as a Service(バンキング・アズ・ア・サービス)やEmbedded Finance(エンベデッド・ファイナンス)の分野は、金融機関、非金融機関向けの双方を支援しているが、秋から冬にかけて開発中のサービスが伸びていくと見ている。GMO-FGの対面決済は2025年に20億円以上を目指す。FinTech分野では後払いの与信コスト増加で苦戦しているが、一方で送金や海外伸長により増益に転換している。同分野は2025年に30億円以上の営業利益を目指している。

2025年に30億の営業利益を掲げる海外融資戦略は、現地での同社実績が蓄積し、インド、北米共に案件流入が増加中だという。グローバルでは売り上げも順調に増加。今後も事業領域拡大を進め、国内外でマジョリティ及びマイノリティ投資を進める。さらに、GHG排出量削減に向けた取り組みも進めている。

DGは約5兆3,000億円の決済取扱高、拠点数95万箇所
カカクコムとの新事業創出や決済高度化で成長加速

デジタルガレージは5月11日に決算説明会を開催。デジタルガレージグループのFT事業は、決済取扱高が前期比19%増、通期では12.6%の成長となった。オペレーション増強及び決済子会社2社(DGフィナンシャルテクノロジー/イーコンテクスト)のシステム統合に伴い、下期の税引き前利益は22%増益となった。また、取扱高は5兆2,774億円となり、前期比19%成長となっている。特に対面決済では東芝テックとのアライアンスなどもあり、40%近い成長となった。

右からデジタルガレージ 代表取締役 林郁氏、取締役 踊契三氏(DGの決算、中期経営計画動画より)

FT事業では、2021年より「DG FinTech Shift」を掲げている。決済プラットフォーム事業では、飲食、B2Bフィンテック、不動産、旅行という4つのエリアで注力してきた。

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