2023年8月21日8:30
ネットプロテクションズは、海外や国内の後払い決済(BNPL=Buy Now, Pay Later)の動向を紹介した記者説明会を開催した。当日はBoku Network Services, Incカントリーマネージャ APACシニアバイスプレジデント 依田寛史氏が海外のBNPLの動向や国内サービスとの違い、国内の今後の展望などについて紹介した。
記事のポイント!
①欧米型のBNPLの特徴
②ビジネススキームは日本と異なる
③欧米に注目が集まる背景
④海外と日本の法規制の違い
⑤今後も日本でBNPLプレイヤーは増加?
⑥PaceやAtome撤退、外資系企業の成功のポイント
⑦今後も国内で成長する理由は代引きにあり?
国内BNPL市場は増加傾向
海外はクレジットカードの代用ニーズ
依田氏は、国内でプリペイド/ギフトの流通販売として定着した「POSA」を提供するインコム・ジャパンで決済業界の業務を開始し、国内市場の黎明期を支えた。その後、PayPal Japanで加盟店向けの加盟店営業を行い、2013年よりBoku Network Serivces, Incにてカントリーマネージャに着任した。2019年よりAdyen Japan最初の国内社員となり、ビジネスの立ち上げに従事。2022年、BNPLアジア大手のAtome Japanにゼネラルマネージャーに着任(現在は国内撤退)。2023年よりBoku Net Work Serivces, Incに戻りカントリーマネージャ、およびAPACシニアバイスプレジデントに着任し、同社の日本とアジアにおける事業拡大に携わっている。
BNPLは、先に注文/購入をして(Buy Now)、後でお金を支払う(Pay Later)サービスだ。日本では通販企業が「後払い」を古くから提供し、代引きなどでの後払いを展開していたが、利便性を向上させる目的で導入が増えている。また、海外では巨大なBNPLのプレイヤーが登場している。
国内のキャッシュレス決済におけるBNPLの利用率は、2022年の11%から2023年は14%と成長している(インフキュリオン調べ)。まだまだ成長途上のサービスで、母数ではクレジットカードと差があるが、成長率は高い。特にオンライン決済に限定すると高い利用率を占め、重要な決済手段となっている。
依田氏は、日本と欧米を中心とした海外のBNPLの比較について説明した。欧米型のBNPLの特徴として、上限金額が30万円前後と国内より高い傾向にある。また、海外は分割を使いたいというニーズが強いが、国内の通販から成長してきたサービスは一括払い(14日~30日)が中心だ(Paidyなど国内でも分割払いを行う企業も登場)。欧米型の支払い方法は、クレジットカード、デビットカード、銀行口座の使用が主流だ。一方、日本のBNPLでは、現金を使ってコンビニエンスストア、もしくは銀行振込で支払うサービスが中心だ。
海外のBNPLの分割払いでは、2回、3回、4回、長いものは6回、12回と増やし、1回あたりの支払額を下げるケースがある。日本はクレジットカードで分割払い、リボ払いを提供しており、ボーナス払いも含め多様な支払い手段を提供している。依田氏は「海外のカードは分割払いの機能を持っていないケースもあり、BNPLで分割払いを提供することで事業が大きくなってきたと考えています。日本のモデルは一括払いが中心で、キャッシュを使いたい人が便利になる傾向が強い」とした。
欧米型BNPLは上限金額が高い
手数料無料で分割払いが可能に
また、欧米型BNPLは、上限金額が高く、高額な商品を購入する時に効力を発揮してきている。さらに、購入単価も高くなる。
国内の市場動向をみると、BNPLはユーザー数と決済の総額ともに伸びている。海外でもまだ成長が続いているが、CAGR(年平均成長率)は減速している。
欧米型BNPLのニーズとして、1つはアプリで支払金額や回数を管理でき、繰り上げの支払いも便利に行える。2つ目は、分割払いの手数料を取られないのがポイントだ。日本のクレジットカード決済の場合、2回払いは手数料がかからないが、3回以上の支払いはかかる。「単純に3分割、4分割になることがメリットとして受け入れられています」(依田氏)。また、クレジットヒストリーなどの信用履歴が必要なく、BNPLが独自の審査でリアルタイムに行えるのも特徴だとした。
加えて、コロナ禍などによってオンラインショッピングが主流になり、買い物をオンラインで行うケースが増えてきた。そのほか、物価高や戦争の影響で月々の支払いをセーブする傾向になり、支払いをコントロールできるBNPLが活用されているそうだ。
欧米型BNPLは、ネットショッピングなどのオンラインに加え、オフラインの店舗で使えるサービスも始まりつつあるという。例えば、PayPayのように、店舗のQRコードを顧客のスマートフォンで読み取り、支払いを行うケースも出てきている。
景気後退要因に加え、債務が課題に
複数サービスを導入し、訴求するECサイトも
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