2023年11月2日9:00
クラウド会計ソフト「freee会計」を提供するfreeeは、会計仕訳後の支払業務を効率化する「freee支払」を2023年11月15日に開始すると発表した。「freee支払」は請求書の取り込みから支払先への振込を実行できる振込機能と、従来提供している法人向けクレジットカードfreeeカード Unlimitedを含めた支払業務を効率化するという。同社では、freeeカード Unlimitedにおいて、バーチャルカードの発行もスタートする。
※freeeはサービス仕様の変更により提供開始を延期すると発表(11月15日)
支払業務と決済を統合した新プロダクト
インボイスや電子帳簿保存法対応が進む
「freee支払」について紹介したfreee 常務執行役員 支出管理プロダクトCEO 花井一寛氏によると、今回のアップデートは「経費精算や請求書といった、支出の業務周りと決済を統合した新プロダクト」であるとした。
スモールビジネスのトレンドとしてインボイス制度、電子帳簿保存法が挙げられる。2023年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式としてスタートしたインボイス制度は、仕入税額控除の手続きにおいて、一定の項目が記載された適格請求書(インボイス)が必要となっている。また、電子帳簿保存法は、帳簿、領収書、請求書といった保存処理に係る負担を軽減するために、電子データによる保存を認めるものとなる。事業者は受け取った請求書や領収書を電子化してインボイスのルールに基づいて仕分けをする必要がある。
freeeでは、スマホで写真を撮れば、証憑の訂正や削除の履歴が残り、OCRに基づいて読み込んだ日付、金額、発行元のファイルを検索できる。これによって、freeeでは電子帳簿保存法の対応をより簡易に行える。また、インボイスに関しては、受け取った請求書や領収書の登録番号を読み取って、相手先が適格請求書事業者かどうかを国税庁とのAPIで確認し、税区分に関してもサジェストする。これによって、2つの制度への対応が可能になっており、さまざまな事業者が利用しているそうだ。
チャットやスマホから領収書を集める機能を提供
クレカ利用明細だけで仕入税額控除できない
請求書、領収書の電子化や仕訳に加え、証憑の回収、支払いという前後の業務が重要だ。電子化前に重要なのが証憑の回収だが、クレジットカードの利用明細だけでは仕入税額控除できないという。2つの制度の改正前まではクレジット明細があれば、明細を電子保存すれば要件を満たしていたが、「インボイス制度が始まってから、明細書には適格請求書番号がクレジットカード明細には入っていませんので、適格か非適格かを把握できず、インボイス要件を満たせません」と花井氏は説明する。また、3万円未満の特例もなくなるため、金額にかかわらずインボイスが必要になる。つまり、クレジット明細だけで処理していたところが、カード利用時の請求書、領収書がないと仕入れ税額控除ができない状況になる。
現在は、実務において、カード明細に証憑を紐づけて保存することが必要となる。この紐づけ作業において、経理担当者が領収書を従業員から集める手間がかかる。実際、freeeのインタビューでもカードを利用した従業員から証憑を提出するようリマインドもしくは督促をしていると回答した経理担当者は100%となった。
freeeでは、10月5日から、チャットやスマートフォンから領収書を集められる機能を提供している。チャットツールにカードを利用した場合、通知が来る。従業員は、そこから証憑を簡易にアップロードでき、カード明細1つ1つに紐づくため、経理ではインボイス対応しながら会計処理を行うことが可能だという。花井氏は「領収書やレシートをお財布に入れるよりも先に写真を撮ればいいため、業務が楽になります。また、freeeカード Unlimitedのカード明細はすぐに取り込めるので、他のカード会社の明細よりも平均38日間短縮できるデータが出ています」と特徴を述べる。freeeカード Unlimited以外のカード会社は利用日から約40日間かかっているが、平均2日となっているのですぐに経費処理が可能だ。
振込・クレジットカード決済の支払業務を網羅
支払の作業時間を92時間短縮可能に
また、会計仕訳後の重要な業務である支払いだが、法人の多くは振込が多い。その対応として、freeeでは、会計仕訳後の支払業務を効率化する「freee支払」を11月15日に提供開始する。「freee支払」は請求書の取り込みから支払先への振込を実行できる振込機能と、freeeカード Unlimitedを含めた支払業務に関する業務を効率化できる。「freee支払」に申し込むとfreeeカード Unlimitedと支払いが両方使えるようになる。利用料は無料だ。
従来の振込業務では仕訳を登録した後に、総合振込ファイルをダウンロードして、インターネットバンクにアップロードして支払う企業が多い。その際に、総合振込ファイルの情報が正しいのかをチェックしている。例えば、このチェック業務に1件1分をかけている場合、1時間以上かけている人がいる。その理由として、明細のチェック業務は現場の担当者はミスや漏れがあると取引先に迷惑をかけるためだ。また、不正な資金流出を防ぐ目的もある。企業の高額なお金が送金されるプロセスは各社気を使っており、ダブルチェックの申請、承認を念入りに行っている。
今回のサービスでは、振込機能を指す「freee支払|振込」とfreeeカード Unlimitedを含む「freee 支払|カード」の機能を備えている。
「freee支払」では、振込機能に加え、AI(人工知能)の自動チェック機能を提供する。AIのチェック機能では、請求書の情報が合っているか、承認されているか、金額に不備はないか、などのチェックが可能だ。
また、振込手数料も削減できるように一律220円で提供している。振込手数料に関しては、他行の振り込みが発生し、企業間の送金は3万円以上の支払いが多いため、400~500円コストが安くなるとした。また、振り込みの承認期限に関しても実行は前日の18時までに行わないと支払えなかったというが、「freee支払|振込」では当日13時までに行えば、その日に払うことができるそうだ。
具体的なフローとして、freee会計のファイルボックス機能に請求書をスキャンして取り込み、振込申請を簡単に作成する。振込申請の内容に対するAI技術によるアラートを活用することで、口座番号の入力ミス等による振込作業の間違いを適切に防ぎながら、振込から消込み作業までを行うことが可能だ。これにより66分かかっていた作業時間が5分に短縮できる。証憑回収、電子化、データ化や会計仕訳、支払いまで一気通貫で利用可能となり、請求書の受取から振込まで完結できるのは、クラウド会計ソフトで唯一の機能だとした。
決済代行事業者と連携、バーチャルカード発行へ
freeeカード Unlimitedの発行状況やポイント開始、請求書カード払いへの対応見解は?
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。