2024年1月31日9:00
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、日本への投資計画に関する記者説明会を、2024年1月19日に開催した。同説明会では、AWSインフラストラクチャへの今後の継続的な投資が日本全体に及ぼす経済への波及効果の解説、生成系 AIアプリケーションの構築を支援する Amazon Bedrockなどを含むクラウドサービス拡充についての最新情報を紹介した。
5兆5,700億円(368.1億米ドル)のGDP効果
年間平均3万500人以上の雇用を創出
同説明会には、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表執行役員社長 長崎忠雄氏が登壇。テクノロジー、AIの利活用、それらを下支えするデジタル人材の育成という3つの大きなテーマがあるとした。
令和6年能登半島地震災害において、AWSでは災害支援対策チームを立ち上げた。活動に必要な毛布や飲料、衛生用品3万点以上を届けたという。地震発生翌日には必要な技術支援やAWSのクレジットを提供する体制を整えた。
Amazonのミッションステートメントは「地球上でもっともお客様を大切にする企業であること」だという。現在、世界で数百万、日本で数十万の顧客がクラウドサービスを活用している。2023年には新しいタイプの生成AIが脚光を浴びた。日本でも昨年10月にAPIを通じて複数の基盤モデルが利用できるAmazon Bedrock(アマゾンベッドロック)を米国に次いで日本で提供を開始した。一方でテクノロジーの進化により、デジタル人材の育成を必要としている。AWSでは人材育成に対しても積極的に取り組んできた。2017年から昨年まで60万人を超える顧客に対し、クラウドスキルのトレーニングを提供している。
AWSのデータセンターは世界で33カ所に拡大している。今後はドイツ、マレーシア、ニュージーランド、タイが開設する。日本は2011年の東京、2021年に大阪が開設したが、「米国以外に一国で2つのリージョンを持ったのは日本が最初です」と長崎氏は話す。
国内のクラウドの活用は2011年に東京リージョンを開設して以来、年々加速している。2018年の政府が推奨する「クラウド・バイ・デフォルト原則」の発表から、その流れを加速している。AWSは日本に対し、過去10年間投資を継続してきたが、その設備投資額は1兆5,100億円(100億米ドル)となる。また、投資の結果、日本における国内総生産への貢献は1兆4,600億円(97億米ドル)となった。さらに、年間平均7,100人以上の雇用を維持、創出したという。
AWSでは、2023年~2027年までに2兆2,600億円(149.6億米ドル)の投資を行う。16年間の合計として3兆7,700億円(249.6億米ドル)の投資だ。必要な部材やサプライチェーンなどを合わせると2011年から2027年は7兆3,000億円の推定経済効果があるとした。これにより、5兆5,700億円(368.1億米ドル)のGDP効果、年間平均3万500人以上の雇用を創出するという。
また、スタートアップや中小企業を含む企業のデジタルトランスフォーメーションの加速、地域社会の発展、再生可能エネルギープロジェクトの加速、といった効果も期待できる。
ネットワークとデータセンターが最重要インフラに
日本はデジタル分野での伸びしろは大きい
当日は初代デジタル大臣の平井氏も登壇した。同氏は「クラウド・バイ・デフォルト原則」の方針を決定した一人だが、「その方針が正しいと思ったのは、ロシアによるウクライナ侵攻です」と話す。仮にデータセンターでオンプレスのままだったらウクライナは国家として立ち上がることは不可能だったとした。その直前に法律を改正し、クラウド化して難を逃れ、大切なデータを国民のために使えるようになったとした。政府はガバメントクラウド化を進めているが、「おそらく日本にとって最大の行政改革のプロジェクト。なぜなら地方自治体のシステムも含めて、原則クラウド業務を標準化していく」と平井氏は語る。日本にとって、間違いなく今やネットワークとデータセンターが最重要インフラになっていることは間違いないとした。
令和6年能登半島地震災害では、「ネットワークを使ってのリカバリーは今回できていない」とした上で、災害復興はもちろん、通信の分断防止など、災害時におけるサービス提供や情報共有を迅速に進めていきたいとした。AWSに加え、さくらインターネットも含め、対サイバー攻撃への耐性など、災害時のリカバリーも含めた条件で、ガバメントクラウドの提供事業者になってもらいたいとした。
日本はデジタル分野での伸びしろは大きい。世界のデジタル競争力ランキングで30位に低迷しているが、成長の余地が大きいのでAWSも投資を決めたと分析する。それに合わせた日本政策が進めば、デフレから脱却して日本は成長軌道に乗ると期待した。
なお、インフラにおける投資計画における最新技術について、AWSの240以上のサービスの中から複数のサービスを抜粋して紹介した。2008年以降AWSの再発明や新たな技術スピードは速まっており、2022年は3,332となっている。サービス領域の選択肢も拡大しており、AI、IoT、コンタクトセンターなどに拡大している。
AWS技術のアップデートは?
生成AIのイノベーションを加速へ
AWS技術のアップデートに関しては、執行役員 技術統括本部長 巨勢泰宏氏と執行役員 デジタルトランスフォーメーション本部本部長 広橋さやか氏が紹介した。
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