2024年4月1日8:00
デジタル化社会において、生活のさまざまな場面で複数のプラットフォームやチャネルが利用されている。このような中、セキュリティはあらゆる業務の根幹として、ますます重要性を増している。Visaはパートナーと連携し、対面、オンラインにかかわらず、常に安心・安全でシームレスな決済体験を提供したいと考えている。Visaトークンサービスは、セキュリティと利便性を高めることで、オーソリ承認率向上と加盟店でのコスト削減を可能にし、よりシンプルで一貫性のあるUXを実現。このVisaトークンサービスと、Visaのセキュリティテクノロジーについて紹介する。(2024年3月5日開催「ペイメント・セキュリティフォーラム2024」より)
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 コア・プラットフォームソリューションズ 部長 田中 俊一氏
デジタル化の推進により
決済エコシステムの進化を図る
デジタル化というワードは、ペイメント業界だけではなく、社会に幅広く広がっています。まずはじめに、Visaとしてどういった世界を目指しているのかについてお話しさせていただきたいと思います。
Our Purpose is to uplift everyone, everywhere by being the best way to pay and be paid.――Visaは、世界中どこでもいつでも誰からも選ばれ受け入れられる決済手段の提供により、豊かな生活の実現を目指します。これがVisaのパーパスです。日本だけではなく、当社の世界中のどのオフィスに行っても、このパーパスが壁に貼られています。当社が推し進めている各種ソリューション、プロダクト、商品はすべて、決済を通して豊かな生活の実現を目指すために開発・提供されています。
日本の決済エコシステムには歴史もありますし、日本が大変進歩している市場のひとつであることは間違いありません。それはここにいらっしゃる皆様のご尽力の上に成り立っているものです。しかし一方で、ほかのマーケットではすでに解決されている問題が、日本にまだ残っていることも事実です。
今後より力を入れて取り組むべきテーマのひとつが、より高精度でスムーズな本人確認と承認のメカニズム、
Visaが決済エコシステムを運営する中で重要視している4つの柱があります。1つはフリクションレス。決済体験がその都度異なる、頻繁にパスワードやPINの入力が求められるといったことは、極力避け、できるだけスムーズに決済を完了できることが望ましいと思っています。2つ目はセキュア。セキュリティの高さです。3つ目はユビキタス。どこでも、どういう手段でも決済を行えること。4つ目は相互運用可能性。ある特定の狭いエコシステムで使われるのではなく、多くの皆様が参加していただけるようなプロダクトであることが重要だと思っています。当社は、日本の決済エコシステムが世界で最もスマートでパーソナルなものとなり、消費者の日常生活の主役となるという将来像を描いて、ビジネスを推進しています。
増え続けるクレジットカード不正利用被害
真正取引の阻害が重大な課題として浮上
不正利用が増加しているということはVisaが目指すセキュアである環境とは大きくかけ離れたものです。大規模なリスト型攻撃からフレンドリーフロードまで、さまざまな不正取引が報告されています。日本クレジット協会によると、2022年のクレジットカード不正利用被害額は437億円に上っています。
不正取引が増えていると同時に、社会のデジタルへのシフトが進んでいます。不正取引の大半が非対面取引であることは皆様もご存じの通りです。コネクテッドデバイスは2023年に世界で430億台に達すると予測されています。スマートフォンはいうまでもなく、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスが最近は本当に増えてきましたし、自動車や家電がインターネットにつながる時代がすでに到来しています。
またEコマース支出は2025年に7兆3000億ドルを超える見込みです。中でもモバイル決済が増えており、若い方々の利用が多いことは皆様ご承知だと思いますが、幅広い年齢層においてモバイル決済が普及しつつあり、Eコマース取引の65%がモバイルで行われています。
不正取引の額が増加していることにともなって、クレジットカード取引の承認率は低下しています。真正取引が阻害されるなど、お客様の体験にもマイナスの影響が出ています。これらの現象はグローバルで起こっています。2024年の全世界のCNP不正取引総額は274億ドルに達する見込みです。店頭でタッチ決済を利用していただく場合の承認率も低下する傾向にあり、98%となっています。オンライン取引での承認率は80%です。実際に15人に1人が、不正の疑いで決済を拒否された経験を持っているという調査結果が出ています。
真正取引の阻害は、非常に重大な問題です。これにより顧客体験の低下、購入手続きからの離脱が引き起こされます。収益が下がるだけではなく、ブランドイメージも損なわれます。正当な取引を拒否されたお客様の51%は、そのクレジットカードの利用を止めて、別のカードを利用するという調査結果もあります。不正取引の防止と真正取引の阻害の間のバランスをどうとるかは、非常に重要な課題です。
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