2011年5月12日7:00
開始から2カ月、「manaca」は名古屋地域で予想以上に浸透?
加盟店での電子マネー利用も全売上の10%を超える
名古屋鉄道・名鉄バス・豊橋鉄道・名古屋市交通局・名古屋臨海高速鉄道・名古屋ガイドウェイバスが2011年2月11日にサービスを開始した非接触型ICカード乗車券「manaca」。同カードはプリペイド方式を採用しており、導入当初から電子マネーとしても利用可能となっている。今回は、manaca導入事業者の1つである名古屋鉄道に同カードの概要と取り組み状況について話を聞いた。
名鉄グループでは55万枚のカードを発行
電車の利用でマイレージポイントが貯まる
名古屋鉄道では、2006年2月に名古屋市交通局と共同でICカード乗車券のシステム導入に向けた整備を共同で進めることを発表した。その後、「トランパスIC協議会」を名古屋鉄道グループである名鉄バス及び豊橋鉄道、名古屋市交通局やそのグループなどと設立。ICカード乗車券システム導入に向けたサービスやシステムの開発を協議するとともに、自動改札機、自動券売機などの駅務機器の開発を進め、2011年2月にmanacaのサービスがスタートした。
名古屋地区では磁気カードを利用したプリペイドカード「トランパス」がある。名古屋鉄道では「SFパノラマカード」を発行しており、5,000円カードでは5,600円分利用できる。そのため、manacaでは電車やバスの1カ月間の利用実績に応じてマイレージポイントを付与するサービスを実施している。例えば、名古屋鉄道の場合は、利用金額と利用回数のそれぞれの利用に応じたポイントが付き、貯まったポイントはmanacaにポイント還元をして電車やバスで利用できる。2月、3月にはマイレージポイントの付与率を2倍にするキャンペーンを行うなど、manacaの利用を促す施策を積極的に実施した。すでにマイレージポイントの還元も始まっているが、施策を行ったことも功を奏し、想定以上のICカードによる交通利用があったという。
「弊社グループでは1年間で100万枚の発行を目標にしていますが、すでに55万枚のカードを発行しており、普及のスピードは想像以上に早いです。名古屋駅や金山駅でお客さまが次々と定期入れを改札機にかざす姿を見ていると、多くのお客さまにmanacaが受け入れられていると感じます」(名古屋鉄道 鉄道事業本部 計画部事業推進課 担当員 小田将智氏)
今後の予定としては、2012年春にJR東海の「TOICA」と交通乗車券の相互利用がスタートし、翌2013年春にJR東日本の「Suica」と交通乗車券、ならびにTOICAとSuicaとの電子マネーの相互利用がスタートする予定だ。
約8割のカードホルダーが電子マネーを利用
加盟店での利用者も想像以上に多い
電子マネーのアクワイアリングに関しては、名古屋鉄道、名古屋市交通局がそれぞれ、加盟店の獲得に向け取り組んでいる。現在、名古屋鉄道の代表的な加盟店としては、サークルKサンクス、ファミリーマート、ビックカメラ、名鉄百貨店、成城石井、ドトールなどが名を連ねている。アクワイアリングに関しては同社自身で実施するケースもあれば、提携するクレジットカード会社から紹介を受けることもある。また、コンビニエンスストアなどは、各エリアによってどの事業者の加盟店になるかについて交渉が行われることもあるそうだ。同社では名古屋鉄道沿線の周辺店舗を中心に積極的に加盟店開拓を行っている。
「サービス開始から2カ月経過しましたが、約8割の方が電子マネーを利用しており、弊社が想像していたよりもお客様に受け入れられています。manacaのスタート前に他の電子マネーやポストペイを導入している加盟店もありましたが、manacaの利用率は抜きんでて高いです。現状、弊社がアクワイアリングを行った加盟店の全決済に占めるmanacaの利用率は10%を超えており、加盟店によっては15%に達するところもあります。今後は1年以内に20%の利用率を目指すことで、manacaを導入した加盟店とWIN-WINの関係を構築していきたいです」(名古屋鉄道 経営企画部 課長 矢野 裕氏)
現状、manacaは交通系ICカードということもあり、駅に近い店舗ほど利用率が高い傾向にあるという。電子マネーの利用単価としては、コンビニが約350円、書店が約1,500円、ドラッグストアに関しては1,000円強となっている。