2024年5月20日8:45

銀行系カード会社で構成される日本クレジットカード協会(略称:JCCA)は、2024年4月18日にパレスホテル東京(東京都千代田区)において第47回通常総会を開催した。同総会では、第46期(2023年4月 ~ 2024年3月)の事業報告、会計報告、および会長を務めたジェーシービー(JCB) 代表取締役兼執行役員社長 二重孝好氏をはじめとする理事・監事の任期満了に伴う役員選任が審議・承認された。同日の理事会決議により、第47期(2024年4月 ~ 2025年3月)会長には福岡和大氏(ユーシーカード 代表取締役社長)、副会長には大西幸彦氏(三井住友カード 代表取締役社長兼最高執行役員)が就任した。

第47期会長に就任したユーシーカード 代表取締役社長 福岡和大氏

共同利用端末の設置台数200万台超
海外の不正状況・対策を調査

JCCAは1984年10月に発足し、今年40周年の節目の年を迎えた。この間会員の会社は111社、そして同協会が主宰するCAT共同利用システム加入会社は80社、1986年に設置を始めた共同利用端末の台数は200万台を超えて、「我が国のキャッシュ社会を支える重要な社会インフラとなっているものと自負をしております」と二重氏は話す。

2023年、日本のキャッシュレス決済額は過去最高の127兆円、キャッシュレス決済の比率は39.3%となり、2025年までに4割程度にするという政府目標達成に向け順調に増加を続けている。127兆の中でもクレジットカードの利用額は106兆円と84%のシェアを占め、前年からの伸びの16兆円のうち12兆円がクレジットカードの利用によるものだ。これからも日本の決済をリードしていくと確信をしているそうだ。

第46期の会長を務めたジェーシービー 代表取締役兼執行役員社長 二重孝好氏

一方で、クレジットカードの不正利用被害額も年々増加しており、2023年は541億円と過去最高を更新。「安全・安心な取引環境の構築は、我々の業界にとってトッププライオリティの課題だと思っております」(二重氏)。業界各社でもEMV 3-DセキュアやDMARCの導入など、対策を進めているが、業界全体での対応も重要だ。4月9日には、不正利用被害の状況や関係当社の取り組み対策の方向性等について官民で認識を共有するため、経済産業省主催のクレジットカード・セキュリティ官民対策会議の第1回が開催された。二重氏も会議に参加して、業界および官民一体での対策強化を一層進める必要を確認したそうだ。

二重氏は、第46期の事業報告を実施。「安全」「安心」なクレジットカード会社の発展に向けた市場環境の整備については、諸外国におけるクレジットカード、対面取引の不正利用被害状況および不正利用対策について調査を行った。調査の背景・目的としては、日本の不正利用被害額が増加している状況の中で、海外の状況・対策について調査をした。アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国などの不正利用被害状況や、対策について調べ、不正率が減少傾向にあるイギリス、オーストラリアの取り組みの状況を深掘りした。イギリス、オーストラリアにおいては、不正利用被害に関する情報連携、集約、対策における官民連携を重視しており、特に情報連携においては、カード情報流出、不正利用の情報を集約・分析をするという体制、組織が明確になっており、その効果、そして効率的な取り締まり啓発活動が実施されていることが確認できた。また対策においてはイギリス、オーストラリアともにEMVの3-Dセキュアが必須化されており、各加盟店での導入も浸透しているということが確認でき、日本においても2025年3月末までのEMV 3-Dセキュア導入については重要な取り組みとなる。同調査結果は、前述のクレジットカード・セキュリティ対策会議においても報告するなど、行政や関係団体にも積極的に展開した。

調査施策以外では、全国クレジットカード犯罪対策連絡協議会を通じて、警察当局との協力体制によるクレジットカード犯罪の未然防止にも引き続き努めてきた。

クレジットカード取引に関する消費者利便性向上については、タッチ決済の利用拡大・認知度向上を企図した加盟店へのアシストツールを作成した。また、証明取得の認可等の決済環境の変化に対し、消費者や加盟店が混乱することなく、より便利にクレジットカードを利用できる環境作りの検討・推進も行った。

情報提供や調査研究活動の推進については、不正利用被害状況対策、公的個人認証サービス、生成AIに関するセミナーなど計4回開催したそうだ。

免税制度見直し、万博の決済、BtoBに取り組む
キャッシュレス社会の健全な発展を

二重氏の退任挨拶を受け、第47期のJCCA新会長には福岡氏が就任。総会では来賓の挨拶として経済産業省 キャッシュレス推進室長 松隈 健一氏が登壇した。また、福岡氏が第47期の取り組みについて説明した。

経済産業省 キャッシュレス推進室長 松隈 健一氏

経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという政府目標の達成に向けて関係省庁と連携しつつ、ポイント還元事業を実施するなどキャッシュレス決済の推進に取り組んできた。こうした取り組みや業界関係者の努力により、2023年は4割まであと少しというところまできた。キャッシュレス決済比率の内訳では、クレジットカードが105.7兆円と、初めて100兆円を超えた。2022年の93.8兆円から12兆円伸びており、全体の8割以上を占めるクレジットカードがキャッシュレス決済全体の堅調な上昇を牽引している。松隈氏は各論として3点を挙げた。

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