2024年6月5日14:55
大日本印刷(DNP)と三菱UFJ銀行は、個人のアイデンティティに関する情報を管理する「分散型ID」に基づいたデジタル証明書(Verifiable Credentials:VC)の利活用を目的として、オーストラリアの金融機関やシステム開発企業と実証実験を2024年5月に実施した。
今回、欧州委員会(European Commission:EC)が「European Digital Identity Wallet(EUDIW)」で検討している技術仕様を参照しながら、OpenID Foundationで策定されているデータ形式と通信プロトコルを使うことで、それぞれが異なるフォーマットでデータを保持している日本とオーストラリア間において相互接続が可能なことが確認できたそうだ。
両社は今回、「日豪クロスボーダー相互運用性ワーキンググループ」を発足。ワーキンググループとして、セキュアで簡易なデータ流通を実現するID基盤「ConnectID」を提供するAustralian Payments Plus社や、「ConnectID」にIDデータを提供するナショナル・オーストラリア銀行(NAB)とオーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)、「分散型ID」の管理・認証システム開発するMeecoが参加した。
各社の役割として、DNPがワーキンググループの運営、日本側のデジタルIDウォレットの技術の提供、三菱UFJ銀行が日豪連携を可能にするためのガバナンスルールの検討、日本側のIDデータの提供、Australian Payments Plusがオーストラリアにおける高セキュアなID流通基盤「ConnectID」の提供、ナショナル・オーストラリア銀行がConnectIDへのIDデータの提供、オーストラリア・コモンウェルス銀行がConnectIDへのIDデータの提供、Meeco Planet Pty Ltd.が分散型IDの技術提供となる。
DNPと三菱UFJ銀行は、今回の実証実験の結果を踏まえ、分散型IDの事業化に向けた連携を進めていく。両社は、先行するEUのeIDAS規則を参考に、個人や企業の電子取引におけるなりすまし・改ざんを防止する、セキュアで信頼性のあるデータ流通基盤の社会実装や、新たな付加価値のあるサービス・商品の開発を目指す。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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