みんなの銀行がBaaS事業を収益の柱に 法人口座など事業性サービスを本格検討へ

2024年6月11日9:10

国内初のデジタルバンクを掲げて誕生したみんなの銀行は、2021年5月28日のサービス提供開始から3周年を迎えたが、2024年6月6日にそれを記念した記者発表会を開催した。当日は、取締役頭取 永吉 健一氏が3年目の取り組みを紹介するとともに、BaaS事業の進捗と今後について紹介した。同社ではBaaS事業を強化することで個人向けの基盤を広げるとともに、法人口座などの機能拡充も検討する。また、JCBデビットや口座振替による手数料収益も強化していく方針だという。

みんなの銀行 取締役頭取 永吉 健一氏

BaaSパートナーは11社
23年度は元年、24年度は本格スタートの年に

みんなの銀行は2021年の5月28日にサービスを開始している。3年目の取り組みとして、2023年4月19日からことらが提供する個人向け小口送金サービス「ことら送金」の取り扱いを開始した。5月には、三井住友海上プライマリー生命保険に更新系APIを提供し、スマートフォンで手続きが完結できる日本初資産形成・運用型の生命保険商品「AHARA(アハラ)」の開発を支援した。7月には、便利なアプリの使い方やお金の気付きをSNSで発信する「みんなの銀行アンバサダー」を始動した。8月には、みんなの銀行ローンに定額返済機能を追加している。

2023年10月には、世界最大級のFinTechイベントである「Finovate Fall」に登壇。同12月には、BaaS事業におけるパートナー企業をはじめとしたアライアンスを締結している事業者と連携することで、利用者にみんなの銀行アプリを通じてお得な情報や特典にアクセスできる「Circle(サークル)」提供を開始した。2024年2月には、ゲーム感覚で収支シミュレーションができるWebコンテンツ「MONEY SAVER(マネーセイバー)」を公開している。

みんなの銀行は、2024年5月に100万口座を達成。ダウンロード自体は約300万あり、さらに利用者は伸ばしていけると見ている。ユーザー属性はデジタルネイティブ世代が70%以上だ。永吉氏は「既存の銀行が40代以上で7割いるのを考えると全く既存の銀行とは年代のポートフォリオが逆になるようなところを目指してビジネスをしていますので、まさにその通りのお客様にご支持いただいていると思います」と話す。男女比は、ローンチ直後は男性が7割、女性が3割だったが、現在は女性比率が36%まで高まっている。ユーザーは首都圏を中心に人口動態通りに分布している。

預金は2024年3月で256億円、当座貸し越しは23億円、貸出金は118億円となる。

同社では貯蓄口座の「BOX」を提供しているが、累計18.1万個で、1位は生活・支払いとなっている。従業員数も242人で、1年前より37人増えた。BaaSのパートナーは11社で、1年前から5社増えている。

2023年度はBaaS元年として、2023年5月29日に更新系APIの提供を開始。APIを使って事業者のサービスに価値を提供できるよう取り組んできた。ユーザーと協議を重ね、機能の改善を進め、「ある程度のベースラインが出来上がりましたので、今年度はBaaSの本格スタートとして、ネットワークの拡張を進めていきたい」と永吉氏は意気込む。

BaaSの取り組みとして、5月の三井住友海上プライマリー生命保険の更新API提供を皮切りに、 6月にREVOLUT TECHNOLOGIES JAPANが日本国内でサービス提供する「Revolut(レボリュート)」の付加価値向上に向けて、みんなの銀行の金融機能・サービスの活用に関する協議を開始した。また、同月は大和コネクト証券と多面的なサービス連携の協議を開始している。7月には、ピクシブに2社目の更新系APIの提供を開始している。

8月には、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)に3社目の更新系APIを提供するとともに、パートナー支店に追加した。10月にはテンプスタッフや大和コネクト証券とのBaaSパートナー証券連携、イーデザイン損保がパートナー支店オープン、moomoo証券とBaaS事業にかかる基本合意書を締結した。

2024年2月には、ビットトレードとBaaS事業にかかる基本合意書を締結するとともに、大和コネクト証券に更新系APIの提供を開始している。同3月には、トライアルホールディングス傘下のトライアルカンパニーは、店舗で利用できるスマホ決済アプリ「SU-PAY」に対して、更新系APIを提供するとともに、FAPI2.0にバージョンアップし、BaaSプラットフォーム最新仕様に対応している。

4月には、テンプスタッフ支店「はたらくサポートプログラム」、派遣スタッフ等への資産形成サポートを拡充。また、ピクシブとは電子マネー「pixivcoban」のチャージ手段として連携を開始した。さらに、前述のU.S.M.Hは、マックスバリュ関東におけるAPI連携を開始し、決済サービス対象店舗を拡大した。5月には、ZIPAIR Tokyoと、ZIPAIRの提供する航空券予約サービスにおいて、みんなの銀行の金融機能・サービスを活用することについて検討を開始した。

BaaS事業の今後、Web3やステーブルコイン構想
デビットやビリング収益をさらに強化へ

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