2024年8月23日8:30
KDDIは、2024年8月20日に記者説明会を開催し、位置情報・興味関心データを活用し、店舗や企業の保有する店舗売上・会員情報などのデータを組み合わせてダッシュボード化する店舗開発ソリューション「KDDI Retail Data Consulting(リテールデータコンサルティング)」を提供開始すると発表した。同サービスでは、au契約者の通信端末の位置情報、KDDIが展開する「au PAY」などの決済データ、EC・エンタメコンテンツなどのサービス利用状況データを組み合わせることにより、顧客特性と行動傾向をより詳細に可視化するそうだ。
AI・データ活用を強化
ビジネスプラットフォーム「WAKONX」始動
まずは法人向けの取り組みについて、KDDI ビジネス事業本部プロダクト本部 次世代ビジネス開発部長 中島康人氏が紹介した。
KDDIでは、KDDIビジョン2030の実現に向けた事業戦略として、5Gと生成AIを中心に置き、DX新サテライトグロース戦略を掲げている。AIデータの活用を強化して事業領域と顧客接点を拡大している。同社では、通信事業で培ってきた強みを生かし、KDDIは2024年5月から、新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」を始動した。モビリティ、リテール、ロジスティクス、ブロードバンド、スマートシティ、BPOといった領域ごとに顧客と一緒にビジネスを伸ばしていく。業務DXソリューション、セキュアなデータ蓄積・分析、業界別ネットワークの最適化という3つを伸ばすことで、社会課題の解決を支援していく。パートナーとの共創を通じて、顧客の事業成長と社会課題の解決を目指す。
流通や小売業界を取り巻く社会課題として、多様化する消費者ニーズ、慢性的な人手不足、商圏環境の変化などが挙げられる。これに伴い、顧客に対する関わり方や仕事のやり方なども変化せざるを得なくなっているという。
「WAKONX Retail」では、多様な消費行動のデジタル化や、店舗業務の DX 化を支援することで、データ分析・予測と業務効率化による流通小売市場の持続的な成長につなげるという。
売上予測や店舗開発業務を支援
位置情報データを最大2,000万ユーザ分取得可能
具体的なソリューションに関しては、経営戦略本部データマネジメント部長 山本隆広氏が紹介した。データ分析の活用のプロセスとして、顧客を知るといったデータ分析、それに基づく戦略施策立案、それを顧客に届けるという価値提供、さらにその結果をもとに改めて顧客とつながるデータソリューションを提供している。
例えば、位置情報ソリューションでは、スマートフォンの位置情報を使い、人流データの把握をKDDI Location Data、KDDI Location Analyzerとして提供している。KDDI Retail Data Consultingは、この位置情報ソリューションをさらに進化させたものとなるそうだ。
同ソリューションの位置づけとして、顧客のバリューチェーンは顧客の企業活動を示すものであり、商圏を分析したり、販促をするサービスがメインだった。今回提供するリテールデータコンサルティングは、さらにその可視化された分析結果を使い、もう一歩進んで店舗開発をしたり、それから売り上げの予測をできるのが大きなポイントだ。
リテール業界の課題として、データの統合と可視化の課題がある。小売店でさまざまなデータを持つが、別々に管理されているデータの統合分析がしにくいという。また、需要予測の実現も課題で、顧客ニーズが多様化する中、多様なデータ収集・分析・活用のハードルが高い。さらに、顧客ロイヤリティの向上が挙げられる。どういった顧客が商品を購入しているかというデータの分析や収集に手間がかかり、自社データの活用だけでは効果的施策が打てない場合もある。加えて、競合他社との差別化として、自社のデータを活用するプロセスを改善し、効果的なデータ分析を行う必要がある。山本氏は「こういった課題をデータの利活用と統合⇒分析⇒可視化という形で解決するのが今回のサービスです」と話す。
リテールデータコンサルティングは、KDDIの有する1stpartyデータと、顧客の保有データを組み合わせ、 データの統合・分析・可視化を実現し、売上予測や店舗開発業務を支援するものだ。KDDIの持つ人流データ、興味関心データ、決済データと、顧客が保有する会員データ、商品データ、売り上げデータを掛け合わせ、データを統合⇒分析⇒可視化できるのが大きな特徴だ。
KDDIが保有するデータとして、au契約者の通信端末の位置情報、KDDIが展開する各種サービスの利用情報がある。位置情報では、端末GPSや全国の基地局通信情報などからいつ・ どこにユーザがいたのかがわかる位置情報データを最大2,000万ユーザ分取得可能だ。また、サービス利用情報として、ニュース、エンタメコンテンツ、ECなどさまざまな サービスからユーザの趣味嗜好を推定可能だ。それを調査・活用できるように準備をしている。こういった情報を、個人を特定できないような形に十分配慮しながら活用するという。
興味関心データは全99項目を整備
5つのサービスで顧客の課題に対応
興味関心データの活用では、全99項目を整備し、潜在ニーズの分析が可能だ。
KDDIでは、5つの形で顧客の課題に応えるという。1つ目が「店舗開発支援パック」だ。顧客の課題として、出店候補地の評価を効率化していきたいという声があるが、属性/位置情報/興味関心データを元に、 出店候補地の評価を支援するという。
2つ目が「売上予測支援パック」だ。新規店/既存店の売上予測を行うことを規模する企業に対して、店舗単位での売上予測を目的に POSデータの集計、予測モデルの構築を実施する。
3つ目が、「マーケティング活用パック」だ。マーケティング業務の効率化に向けて、購買者属性を分析し 販促施策改善を支援する。
4つ目が、「在庫可視化・最適化パック」となり、店舗の商品の品揃えを、データに基づき最適化していくのに役立つという。
5つ目が、「品揃え最適化パック」で、POSデータの集計、需要予測を実施 個別店舗単位で商品棚を最適化するそうだ。
今回のサービスの強みは、商圏の特徴を、人流/興味関心データなどにより可視化することで、出店/退店/移転時の判断を支援できる点だという。
ヒートマップなどで顧客特性と行動傾向を可視化
「au PAY」の決済データと顧客のID POSデータも活用へ
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。