新生「Vポイント」、クロスクラウドを活用したセキュアなデータ連携の裏側は?(SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO 2024)

2024年9月19日8:10

 

統合時にスピード、セキュリティ、コストメリットを実感

データクラウドを提供するSnowflakeは、2024年9月12日、Snowflakeの最新技術を深掘りし、AIやアプリ開発につなげるイベント「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO 2024」を開催した。基調講演ではゲストスピーカーとして、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 執行役員CIO CCCMKホールディングス(CCCMKHD)取締役 撫養 宏紀 氏と三井住友カード 執行役員 マーケティング本部 副本部長 兼 データ戦略ユニット長 金融データ活用推進協会(FDUA)理事 白石寛樹氏が登壇した。また、基調講演の内容を深掘りするセッションでは、CCCMKHDのデータビジネスを支える分析基盤であるSnowflakeへの移行プロセスや他企業とのセキュアなデータ連携の裏側について、CCCMKHD IT戦略本部本部長 松井太郎氏、IT戦略本部 エンジニアリング部分析基盤グループ 石川大輔氏が紹介した。

池谷貴

データ連携の大枠が固まったのは1カ月前
コストは10分の1を実現

Snowflakeは、ユーザー企業がSnowflakeデータクラウドを用いて自社データの活用を支援している。ユーザー企業がデータクラウドを利用して、サイロ化されたデータの統合、データの発見と安全な共有、データアプリケーションの推進、さらには多様なAI/MLや分析ワークロードの実行を進めているそうだ。また、複数のクラウドと地域にまたがり単一のデータ体験を提供している。

「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO 2024」は、世界30都市で開催しているが、東京の事前登録は5,000名、会場では1,000名が参加したという。また、国内の事例として24社が登壇した。

基調講演と技術セッションで登壇したCCCMKHDは、20年前に日本で初めて本格的な共通ポイントである「Tポイント」を開始した。4月22日には、SMBCグループのポイントサービス「Vポイント」に統合される形で、決済とポイントが融合した新たなポイントサービスとしてリニューアルした。Vポイントは1.3億の会員IDを有しており、国内最大級の基盤となる。また、従来からデータ活用に力を入れており、事業者の課題解決を支援しているそうだ。

三井住友カードは日本で最初にVisaブランドのクレジットカードを発行しており、金融サービスだけではなく非金融サービスの提供にも力を入れている。

CCCMKHDでは、顧客価値の向上に力を入れているが、SMBCグループとの連携により、プラスチックのカードからモバイルへのシフトに力を入れていくという。一方、三井住友カードでは、カード事業の中にAIやデータを取り入れること、データを活用したビジネスを行うことを強化している。

撫養氏は「両社の持っているデータを如何に掛け合わせて、質も量も含めて、今までないような形でマーケティングに寄与していくことが大きな転換になります」とした。三井住友カードなど、クレジットカード会社が提供するデータは何を購入したまではわからなかったが、Vポイントとの統合により、商品データを把握可能となった。カードデータもタッチ決済や少額決済などのデータで潜在的な価値が高まっており、「さらに顧客価値を高めることができる」と白石氏は話す。

左からカルチュア・コンビニエンス・クラブ 執行役員CIO CCCMKホールディングス(CCCMKHD) 取締役 撫養 宏紀 氏と三井住友カード 執行役員 マーケティング本部 副本部長 兼 データ戦略ユニット長 金融データ活用推進協会(FDUA)理事 白石 寛樹 氏

CCCMKHDはMicrosoft Azure、三井住友カードはAmazon AWSと両社では違うクラウドを活用していたが、撫養氏はSnowflakeで実現できた点としてスピード、セキュリティ、コストの3つを挙げた。

スピードに関しては、データ連携の方法について、プロジェクトの最後の最後まで決まらなかったという。プロジェクト自体は1年半行っていたが、ビジネスや顧客のプロダクト、規約をどうするかといった点を協議した後、データ連携が決まったのはローンチの2カ月前、大枠が決まったのが1カ月前だった。そのため、サービス開始に間に合わないと思われたが、スピード感をもって展開できた。

三井住友カードでは、Snowflakeの運用を検討していたというが、金融機関ではクラウド導入はハードルが高かった。CCCMKHDではすでにSnowflakeを導入しており、「とんとん拍子で利用者がデータを授受する環境を具体的にイメージしながら話が進みました」と白石氏は述べる。

また、セキュアな環境を整えることができたという。さらに、「コストは贔屓目に言っても10分の1になっています。今まで企業間データ連携するとき、データベースからデータを抽出して、ファイルに吐き出し、そのファイルをEDIに設定して連携し、ファイルを読んでデータベースを入れる一連の作業が必要でした。しかも開発コストや運用コストが多くかかっていましたが、今回、Snowflakeのデータシェア、データレプリケーションの機能を使うことで、本当に簡便にデータ連携がセキュアにできました」と撫養氏は成果を述べる。

今後外部とのコラボレーションをしていくうえで、シングルIDにどういうデータを紐づけするかが重要となるが、そのデータを提供する顧客に支持されるサービスがあり、だからこそデータが提供される順序が大事だという。撫養氏は「お客様に支持されるデータをSMCC(三井住友カード)さんと一緒に、今までなかったものを作っていきたいと考えています」と意気込みを見せた。

なお、データに関しては、住所や氏名など個人を特定するデータについては共有しないという。白石氏も「エンドユーザーがポイントを引き継いでよかったとなるためにはデジタルの体験を提供する力をつけてこそ、AIトリブンとデータトリブンが構築されるので、そこに注力したいです」と意気込みを語った。

技術セッションでは、CCCMKHDの松井 氏と石川 氏が紹介した。同社は6年前までオンプレミスの構成でデータベースマーケティング事業を行っていた。5年前にクラウドに移行し、さらにSnowflakeに移行した。

CCCMKHD IT戦略本部本部長 松井太郎氏
CCCMKHD IT戦略本部 エンジニアリング部分析基盤グループ 石川 大輔 氏

ワークフローが増える中、1つのデータベースで実行するのは困難だった。そのため、1つのデータソース、マルチワークロード、デリバリーイージーという3つのキーワードで考え、それに適合するアーキテクチャとしてSnowflakeを採用した。現在、移行作業を行っているが、分析データベースはSnowflakeに置き換わり、オンプレミスのExaデータを今年12月から1月にかけて完全廃止実行中だ。

アクセスコントロール強化、分析業務を効率化
クロスクラウドのデータシェアの裏側は?

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