2012年7月11日0:00
日本NCRは、2012年7月10日、記者説明会を開催し、スマートフォンを活用したモバイルPOSシステムを開発したと発表した。まずは、アップルのiPhone、iPod touh、iPad向けのシステムを提供する。
同システムは、バーコード読取装置や内蔵カメラを利用して、スマートフォン上での商品登録が可能だ。決済は、クレジットカードを標準機能としているが、現金や商品券での支払いにも対応する。店舗は、決済画面から料金を入力し、iPhone等に装着した三栄電機の「ScanJacket(スキャンジャケット)」にクレジットカードをスワイプして決済処理を行う。
また、iPhone等のディスプレイ画面を利用した電子サインに対応している。店舗は、顧客のサインを、電子伝票保管サービスに保管することで、紙の伝票を削減可能だ。
また、「既存のシステムとしての運用はもちろん、独立したPOSシステムとして導入することも可能です」と日本NCR 製品マーケティング本部 製品企画部 部長 池田裕之氏は説明する。既存のPOSシステムとの連携では、取引明細を業界標準の「POSLog形式」により出力を行い、外部システムから商品データなどを取り込んでのデータ連携が可能だ。また、繁忙時の待ち時間を緩和する、前捌き端末としても機能を発揮するという。
具体的な機能としては、iPhone等での「端末認証」「担当者のID・パスワード認証」「商品登録」「クレジットカード支払い」「電子サイン」、サーバでの「端末認証画面」「従業員データ管理」「商品マスター管理」「売り上げ集計」「クレジット与信管理」、他システムとの連携として「従業員データの取り込み」「商品データの取り込み」「売り上げ明細の電子ファイル出力」などを提供する。
なお、決済システムは「PastelPort」、伝票保管サービスは「CAFIS伝票保管サービス」と、NTTデータの協力を得て構築している。
また、日本クレジットカード協会(JCCA)が策定したガイドラインに準拠したセキュリティを確保しているという。
サービス開始時点での提供製品としては、ScanJacket、NCR RealPOSサーマル・レシート・プリンタおよびキャッシュドロワーとなる。ただし、併設の展示では、ヒットやインジェニコのスマートフォン決済ソリューションも紹介していたように、特定の製品に規定した展開を行うことはないという。また、Android端末への対応や、接触ICカード、電子マネーが利用できる環境を整えていきたいとしている。
同システムでは、NCRのデータセンターを利用したクラウドサービスの提供も行うという。また、セキュリティポリシーの設定や遠隔ロック、遠隔消去、パスコード一時解除などのモバイル端末管理や保守サポートサービスもあわせて提供する。
具体的な導入に向けては、すでに流通大手など、複数の企業と商談を進めているそうだ。同社では、POSシステムベンダーが開発したシステムの強みを武器に、3年間で1万台の販売を目指す。