2012年11月21日8:00
「NFCスマートポスター」から場所や時間に応じた情報配信ができる「TAPLINK」
丸善、ハイブリッド型総合書店「honto」でO2O実証実験を実施
大日本印刷(DNP)は、スマートポスターを活用したO2O(Online to Offline)プラットフォームサービス「TAPLINK(タップ リンク)」を開発し、サービスの提供を開始した。TAPLINKは、NFCスマートフォンやおサイフケータイをNFCタグが添付されたスマートポスターにかざすだけで、各企業のそれぞれの顧客に応じて、場所や時間に応じた適切な情報配信ができるサービスである。同社では、2012年12月以降、丸善においてO2O実証実験を展開する予定だ。
各シーンの顧客に応じて適切な情報配信が可能に
アクセス情報から各商品の人気情報を把握できる
DNPの「TAPLINK」は、タグの場所や時間に応じた情報を配信することができる。つまり、生活者からみると同じスマートポスターであっても各企業の顧客に対し、適切な情報の配信が可能だ。
大日本印刷 情報ソリューション事業部 デジタルセキュリティ本部 NFCビジネス推進部高橋亮氏は、「URLに飛ばすだけでは、スマートポスターでもQRコードでも基本機能はそれほど変わりませんが、TAPLINKを利用すれば、DNPのサーバで条件によって分類することが可能です」と自信を見せる。
例えば、店舗の営業時間内は地図を見せて誘導し、夜間はサービスの動画サイトにアクセスさせるなど、時間帯や設置場所に応じて配信内容を切り替えることができる。また、キャンペーン期間ごとの切り替え、隔週でプロモーションを実施することも可能だ。さらに、DNPのサーバを利用することで、アクセス数の集計、アクセスした顧客の属性の検証なども行える。
「POP1枚1枚でバリアブルに配信できる点が弊社のスマートポスターの強みです。従来のスマートポスターは、お客様がどの情報に興味があるかまでアプローチできていません。TAPLINKでは、1枚ずつ識別させるデータを入れることにより、条件に合わせて各社のサイトや動画コンテンツにアクセスすることが可能です。従来は1対1の情報配信でしたが、位置情報や時間情報に振り分ける仕組みを商用で行うのは国内初となります」
1枚のタグを利用して継続的なサービスを提供へ
閑散期にスマートポスターを活用した即時サービスが可能に
また、従来のスマートポスターは、一定の期間を決めてサービスを提供するケースがほとんどだったが、「1枚のタグを利用して継続的なサービス提供していきたい」と意気込みを見せる。また、書き換えにおける管理業務についても従来は課題があったが、サーバで自動的に情報の切り替えができるようになった。
スマートポスターからの即時サービスの提供や送客誘導が可能になるため、通常は店舗マップやおすすめ商品の情報を提供し、閑散時に限定してWebクーポンを配信したり、キャンペーン時にはタイムセールやキャンペーンの情報配信などが行える。さらに、駅前や街路など、場所に合わせた情報を配信し、送客させることも可能となる。
マーケティング情報の収集については、ユニークユーザーの興味・関心のトレース、買い回り情報の取得による発展的な送客も可能であると見込む。
セキュリティに関しては、DNPで書き換え禁止処理を施したNFCタグを活用することにより、第三者による改ざんを防止できるという。
なお、TAPLINKは、NTTドコモが2012年10月に開催した冬モデルの商品発表会でも紹介を行った。NTTドコモでは、スマートフォンをかざすだけで情報の取得が可能な「かざしてリンク」のサービスをスタートしたが、そのラインアップにもTAPLINKは名を連ねている。
実験では「honto」への誘導や歩行者ナビゲーションサービスも展開
NFCビジネスにおいて今後3年間で約40億円の売上を目指す
DNPでは、2012年12月以降に、DNPグループの丸善で、TAPLINKを利用した、リアルとバーチャルとを連携させた実証実験を開始する。
「これまでのNFCの検証は、一定期間のみの検証が多かったですが、今回の取り組みはその後の商用も見据えています。そのため、書店にふさわしく、生活者に受け入れられる仕組みを考えています」
具体的には、丸善店内の販促メディアとTAPLINKとを連動させた各種サービス提供に加え、ポスターから電子書籍と紙の書籍とを販売するハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」への誘導といった実験を行う予定だ。「コンテンツ自体もリアル店舗とWebサイトを横断したO2Oの取り組みとなります」と説明する。
TAPLINKのターゲットとしては大型の量販店やショッピングセンターなどを想定しているが、中小の規模も含めてサービスを提供していきたいとしている。「スマートポスターについては、小規模なサービスからスタートできるため、導入件数的には多くなる」と予測している。また、「2012年度中には、規模の大きな取り組みを実施していきたい」と今後の意気込みを語った。
現状、スマートポスターやQRコードに携帯やスマートフォンをかざすシーンは日本ではあまり見かけないが、「将来的には日常でよく見受けられる光景になる」と同社では期待する。価格は案件ごとの個別相談となるが、同社では、TAPLINKをはじめとするNFC関連ビジネスにおいて、今後3年間で約40億円の売上を目指す。