次世代の決済普及に注力、MasterCardが事業戦略説明会を開催

2013年8月21日8:00

次世代の決済普及に注力、MasterCardが事業戦略説明会を開催

国際ブランドのMasterCardは、2013年8月20日に、東京汐留のコンラッド東京で事業戦略記者説明会を開催し、非接触IC決済「MasterCard PayPass」やデジタル決済サービス「MasterPass」の展開について説明した。

コンセプトは「easier, safer, more rewarding」
MasterCard PayPass端末を41万台設置へ

MasterCard日本地区社長 ロバート・ルートン氏

MasterCardブランドのカードは、世界210カ国、150通貨で利用可能だ。2012年の取扱高は3.6兆ドル。全世界で約20億枚のカードを発行し、3,600万カ所のアクセプタンスを有している。また、年間342億件の処理件数を誇る。

現在、全世界のCtoC決済の約80%が現金で行われている。2012年の個人消費支出に対する電子決済手段の割合としては、韓国の75%、オーストラリアの55%に比べ、日本は17%と低い数字にとどまっている。同社では、国内の電子決済の割合を2倍、3倍にしていくことが重要であるとしている。

MasterCardでは、「easier, safer, more rewarding」というコンセプトのもと、簡単、安全で、付加価値の高い決済ソリューションを提供していくことに努めている。同社では、国内でMasterCard PayPassを利用できるNFC対応の非接触決済端末を2013年第2四半期より3年間で全国に41万台(26万台~)設置する計画を発表。また、NTTドコモと提携し、iDを利用するNTTドコモのユーザーに対し、海外でもMasterCard PayPassが利用できる環境を整える。

MasterCard マーケット・デベロップメント 上席副社長 広瀬薫氏

MasterCard PayPassは、世界56カ国、120万の加盟店を有している。加盟店数は昨年の第4クオーターに15万、今年の第1クオーターに16万、第2クオーターに30万と右肩上がりで伸びており、「常時使われるサービスになりつつある」とMasterCard マーケット・デベロップメント 上席副社長 広瀬薫氏は説明する。MasterCard PayPass はEMVベースの「M Chip」、マグストライプ双方に対応。例えば、EMVは欧州、マグストライプは米国で多く利用されているそうだ。

すでにカナダやオーストラリアでは数多くの加盟店を有しており、利用率も高い。また、英国のロンドンでは、バスや地下鉄でMasterCard PayPassの利用が可能だ。今後は、日本人旅行者が多いエリア(ハワイ、グアム、韓国、など)のアクセプタンスを拡充していくという。

4カ国でオンラインのMasterPassサービスを展開
国内では2015年を目標にオンラインのMasterPassをスタート

シーサム・ジャパン 代表取締役 津島秀行氏

また、NFC、QRコード、電子タグ、モバイル機器などを使った決済が可能なデジタル決済サービス MasterPassを発表。実店舗でのウォレットを利用した決済に加え、ネット決済で利用されているチェックアウトサービスにも対応している。

MasterCard日本地区社長 ロバート・ルートン氏は、「PC、モバイル、スマートフォンなどがデジタルデバイスとなり、将来的にお皿洗い機や洗濯機を使用した分だけ決済することが可能になるかもしれません」と説明する。また、スマートフォンの利用者が、商品をスキャンして読み取り、チェックアウトを行うことで、レジを通過せずに通路で決済が可能となる。決済に加え、クーポンやポイントなどのロイヤリティマーケティングにも対応。さらに、MasterCardのブランドに加え、カード会社や流通企業などが自社のブランドでサービスを展開することが可能だ。

MasterPassのオンラインでのチェックアウトのイメージ。PayPalやGoogleのチェックアウト同様に利用可能だ

すでにオーストラリア、イギリス、アメリカ、カナダの4カ国ではオンラインのMasterPassサービスが展開されている。オンラインのMasterPassは、PayPal、Google Wallet(旧Google Checkout)、楽天あんしん支払いサービス、Yahoo!ウォレットといったサービス同様にオンラインのチェックアウトサービスとして提供されている。

なお、会見当日には、C-SAM、大日本印刷と共同で、“ホワイトラベル”(OEM提供)対応可能なモバイル・ウォレット・サービスを、日本の企業向けに本格的に提供を開始すると発表した。導入企業は、それぞれのブランドでのサービスを展開可能だ。同サービスは、C-SAMが開発・提供するモバイル・サービス・プラットフォームに、MasterCardのMobile PayPassのテクノロジを統合したものとなる。API提供により、「お客様が実現したいサービスを弊社とMasterCardのテクノロジを使って簡単にウォレット、モバイルビジネスを展開していただけます」とシーサム・ジャパン 代表取締役 津島秀行氏は説明する。

C-SAMのモバイル・ウォレットは、シンガポールのStarHub社がDBS銀行、EZ-Link社と共同で、2012年8月より同サービスを提供。PayPass機能も搭載されている

国内展開については、2013~2015年にMasterCard PayPassを利用できるアクセプタンスを拡大し、2015年からはMasterPassのチェックアウトサービスが可能なオンラインでのアクセプタンスを拡大させる方針だ。ルートン氏は、MasterPassを推進することで、「日本の加盟店や消費者の方々に貢献していきたい」と語ったうえで、「われわれは普及に向けて楽観視している」と自信をのぞかせた。

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