2014年1月24日8:00
NFCのTSMにおいて世界各国で採用実績を築くGiesecke & Devrient
ドイツのミュンヘンに本社を置くGiesecke & Devrient(G&D)は、NFCのTSM(Trusted Service Manager)を提供する代表的な企業の1つだ。すでに欧州や南米など、世界各国で採用実績を築いている。
SP-TSMでは約50のプロジェクトが動く
2007年からプロジェクトを展開
G&Dでは、銀行、モバイルネットワーク事業者、企業、OEMメーカー、交通機関や小売業者のためのNFCソリューションを提供している。現在、SP-TSMでは約50のプロジェクトが動いており、実際に十数のプロジェクトが稼働している。中でもNFCについては、銀行のユーザーが中心となるそうだ。
NFCスマートフォンを利用したサービスについては、ペイメントと他のビジネスを組み合わせることが重要であると捉えている。例えば、銀行の支店からするとバンキングのサービスにアクセスする際のセキュリティ、リテーラーの立場からするとロイヤリティ、モバイルマーケティング、クーポン等になる。G&D ソリューションディレクター Tapio vailahti氏によると、「TSMについては、トップとほとんど差のない2番手である」という。TSMは標準化されており、SP(サービス・プロバイダ)とMNO(モバイル・ネットワーク・オペレータ)に分かれるため、例えば、ジェムアルトなど、競合企業と一緒にプロジェクトを運用するケースもあるそうだ。
同社では、標準に準拠したセキュアエレメントを提供。また、TSMに関してはチャレンジングなアプローチをとっているという。
「TSMは2007年からプロジェクトを行っており、世界で初となります。技術的なものをインプリするだけではなく、お客様と一緒になってベストプラクティスを実現する。例えばペイメントカードを使った場合、どういったプロセスが後ろ側にあるかを考えています。中でもウォレットサービスについては、NFCのインターフェースとして、強いコンセプトを持って展開しています」(Tapio vailahti氏)
例えば、スマートフォンに銀行のモバイルバンキングのアプリケーションが入っている場合、モバイルアプリケーションでは認証が必要となる。また、認証が完了したら、カードが利用可能となるが、オンデマンドでカードを発行することができるという。銀行が認証して、銀行からカードが送られてくるのを待つ必要はない。また、NFCのペイメントサービスをリテールで展開する場合、実際に店舗でタップして取引が行われた時点で、ロイヤリティのポイントを発行することができるという。
世界各国でプロジェクトが進行
NFC SIMもドイツのモバイルオペレーターに提供
ウォレットサービスとしては、オーストラリア、南米でサービスがローンチしている。また、南米のキャリア「Bradesco ccaio」では2014年頭にサービスをローンチするという。そのほか、同社のTSMを利用したサービスとしては、ブラジルのテレフォニカ、ドイツのDGフェアラーク、O2ウォレット、チェコ共和国でテレフォニカとGEマネーバンクが採用している。プレスオフィサーのStefan Waldenmaier氏によると、「テレフォニカのTSMについては、ヨーロッパ全体で契約している」そうだ。
なお、SIMのマーケットについては、グローバルで2~3番手となっており、1年間に約50万を出荷しているという。NFC SIMについては、マルチアプリケーションをインストールでき、1.3メガのメモリが搭載されている。すでに導入実績もあり、ドイツの大きなモバイルオペレーターに採用されているそうだ。
Tapio vailahti氏は、「NFCのエコシステムはキープレイヤーが必要になります。また、エンドユーザーの視点から進めていかなければいけません。現状、アップルはNFCをサポートしていませんが、将来的には搭載されると思います。将来を推測するのは難しいですが、これはダイナミックな市場だと考えています」と語り、今後も展開を強化する姿勢を示した。
※取材は「CARTES 2013」会場にて