2014年10月14日8:00アプリックスが短距離から中・長距離まで通信可能な「Beacon」製品を紹介
アプリックスIPホールディングス(アプリックス)は、2014年10月7日~11日まで幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2014」において、短距離から中・長距離まで通信可能な「Beacon(ビーコン)」の製品を展示した。
近接域特化型は15cm以内から2メートルまで制御可能
屋外への設置に適した防水防塵タイプもリリース
アプリックスでは、「Bluetooth Low Energy」に対応した「MyBeacon」シリーズを販売している。iBeacon licensed technologyを用い、スマートフォンのバッテリー消費を抑える通信方式を採用している。また、高いセキュリティを備えているそうだ。
汎用型の「MyBeacon Pro MB004」は最大50メートルの通信距離を確保でき、日本プロ野球機構のオリックス・バッファローズ本拠地の京セラドーム大阪球場のビール販売等で導入されている。価格は、1個1,000円で導入可能だ(スターターパックは10個で1万円)。
また、近接域特化型の「MyBeacon Pro MB004」は、電波の受信範囲を最小15cm以内、最大でも2メートル以内に制御できる。長距離を確保できるのはBeaconの強みとなるが、電波の干渉などの可能性もあるため、距離を制御できる「MyBeacon Pro MB004」の問い合わせが増えているそうだ。同商品は、GMOペイメントゲートウェイのスマートフォン決済サービス「GMO Pallet」で採用されている。また、店舗の商品棚や美術館・博物館・展示会など、隣接した環境にBeaconを複数設置した場合でも、近い場所の情報だけを読み取ることが可能だ。
また、新型ビーコン「MyBeacon Pro 長時間型 MB004 LLc」は、単三乾電池が4本入りで、汎用型の「MyBeacon Pro MB004」に比べ、約2倍電池が長持ちするそうだ。
看板・屋外広告・道路案内標識などの屋外での利用に適した防水防塵タイプの「MyBeacon Pro防水防塵タイプMB004 HD」の発売も行っている。同製品も汎用型に比べ、2倍電池が長持ちするのが特徴となる。また、防水防塵性保護等級IP65規格適合、および難燃性UL94規格を満たしており、屋外での利用に適しているそうだ。すでに高知県南国市内にある津波避難タワーに設置され、災害時に避難した際に有用な安否確認ができる実証実験で採用されている。
振動を受けた時だけBeaconを発信するポータブルタイプも発売
デジタルサイネージや多言語対応アプリも展開
「MyBeacon Pro ポータブル長時間型 MB004 LLc」は、高性能なセンサーを用いることで、振動を受けた時だけBeaconを発信している。アプリックスIPホールディングス 経営戦略室 グループ広報・IR部長 宮川びび氏は、「仮に電波を発信し続けると1カ月しか持ちませんが、Beaconを動かした時だけ反応するため、1日8時間利用した場合、約1年2カ月使用可能となっています」と説明する。
例えば、アパレルショップの洋服のハンガーなどに取り付けたBeaconの電波を受けて、利用者のスマートフォンに商品情報(サイズ違い、色違い、在庫情報など)を表示できる。また、店頭に在庫がなければECでの購入につなげる、といったことが可能だ。さらに、店舗からは在庫管理などへの活用の相談も受けているという。
デジタルサイネージとの連携にも力を入れる。「MyBeacon デジタルサイネージ(MB001 D)」では、デジタルサイネージの表示内容と同期したBeaconのデータを送信することで、通行人などのスマートフォンにも関連・詳細情報などを表示できる。日時や時間、イベント等によって、関連・詳細情報などをタイムリーに通行人や来店者、乗客などのスマートフォンに表示できるため、効果的な広告・販促活動を実現可能だ。
また、海外ではBeaconの情報が傍受され、なりすましされたケースもあったというが、電子認証によるセキュリティ機能を備えているのも強みとなる。
そのほか、「CEATEC JAPAN 2014」では、訪日外国人対応Beaconアプリ「hubea」を利用して、街の飲食店の日本語メニューを利用者のスマホに設定した言語で表示するデモも実施。「hubea」は、英語、中国語など、36カ国語に翻訳可能となっている。
「MyBeacon Pro MB004」の発表以降、決済関連の引き合いも増加
BeaconとNFCを組み合わせた展開も準備
最近では、大型案件も増えており、今後もリリースが立て続けに行われる予定だ。宮川氏は、「問い合わせ件数は2,000~3,000件になっています」と話す。導入については、代理店経由の案件も増えている。例えば、日本航空と野村総合研究所は、2014年7月16日より約1カ月間、iBeaconとスマートウォッチを活用し、空港旅客業務の先進化に向けた実証実験を行ったが、同実験でも代理店経由でアプリックスのBeaconが使われたそうだ。
また、距離を15cm以下から2メートルまで制御できる「MyBeacon Pro MB004」の発表以降は、「決済サービスで利用を検討する企業からの問い合わせも増えている」(宮川氏)そうだ。
新技術としては、BeaconとNFCを組み合わせることにより、決済システムと位置情報サービスの連携を可能にする「MyBeacon with NFC」を開発。詳細については発表できる段階ではないとしながらも、BeaconとNFCのそれぞれの強みを生かしたサービスとなる予定だ。
また、2014年3月4日~7日に開催された「リテールテックJAPAN2014」では、厚さ0.8mmの「極薄フィルム型ビーコン」を展示。極薄フィルム型ビーコンは、ポスターや電車の中刷り広告等に貼り付けて利用可能だ。1枚のバッテリーで7日~10日、2枚で倍の14日~20日の利用ができ、枚数は増やすことが可能となっている(実用化は未発表)。