2015年6月11日7:00GMO-PGが日本のEC事業者の東南アジア等への進出を支援 「GMO-PG Global Platform」により海外各国で現地の決済手段が利用可能
GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)では、海外に現地法人を持つ日本のEC事業者向けに、2013年10月から各国通貨でのクレジットカード決済と現地の決済手段が利用できる「GMO-PG Global Payment」の提供を通じて、EC事業者の海外進出を支援している。シンガポールに常駐して東南アジアや東アジアでのビジネス支援を行うGMO PAYMENT GATEWAY PTE. LTD. マネジメント・ディレクター 村松竜氏に、サービス開始の経緯とこれまでの成果について、説明してもらった。
東南アジア各国の状況を把握し、現地で有力なプレイヤーと提携
シンガポールをハブに、海外展開を強化
GMOペイメントゲートウェイが東南アジアへの準備を開始したのは今から4~5年前。当時、アジア全域のネットベンチャーについて、各国を訪問して把握したそうだが、「今後は急激にアジア全体のEC市場が伸びると予想される中、東南アジアはそれほど注目されていませんでしたが、日本のネット産業が立ち上がった1999年頃の状況と同じような雰囲気が充満していました。それを肌で感じたため、出張ベースではなく移り住み、腰を据えてビジネスを行っていく決意をしました」と村松氏は当時の状況を話す。
東南アジアにおいては、クレジットカードや銀行のキャッシュカードの普及率も低い。そのため、「GMO-PG Global Payment」では、それをしっかりカバーして、複数国において、複数の決済手段を一元的に提供することが目的となった。東南アジアの市場が立ち上がった際、GMO-PGの加盟店が数多く進出されることが予想されるため、各国の状況を把握したうえで、準備を整えたそうだ。
実際に決済サービスを開始する際、大きな課題として横たわったのは、東南アジアの国ごとのレイヤーの違いだ。プレイヤーの地図、受け皿となる決済手段、商習慣も異なる。そういった中で、GMO-PGとして1つ1つスクラッチから作っていると、東南アジアの発展に乗り遅れるため、現地で優良な決済プレイヤーと提携して、協力してビジネスを展開できないかと考えたそうだ。
「日本でもさまざまな決済手段を一元的に導入できる『PGマルチペイメントサービス』を始めて約10年たちますが、弊社がゲートウェイになりAPIを提供することで、すべて内製化する必要はない点ではコンセプトは同じです。シンガポールにいる私に加え、昨年末からクアラルンプール、バンコクにメンバーを据えて、現地の状況をきちんと見据えることで、急激にビジネスが進むようになりました」(村松氏)
現状、シンガポールには、ハブとして事務所を設置しているが、その目的は大きく分けて3つ挙げられる。1つは会計上のハブとなり、拠点をシンガポールに置いて各国に地域の拠点を設けるためだ。東南アジアでは、外資規制があり、ライセンスの認可など難易度が高い国も多い。たとえば、会社を設立する際の登記だけで半年かかる場合もあるが、シンガポールは1日で完了できる。2つめは、GMO-PGの提携先となりえる企業も本社をシンガポールに置いていることだ。たとえば、出資を行ったタイ王国の大手決済代行会社である2C2P(THAILAND)CO., LTD.(2C2P)の親会社2C2P Pte Ltdはシンガポールに本社を構えていたため、提携が迅速に進んだという。3つめは、アジアのハブであるシンガポールには、各企業のキーマンが数多く訪れるため、交渉を行いやすい状況にある。
3つのカテゴリーに分けてサービスを展開
4年間で成功への自信を深める
GMO-PGでは、東南アジアと一部東アジアをターゲットとしているが、カテゴリー1の「台湾・香港・シンガポール」、カテゴリー2の「マレーシア・タイ」、カテゴリー3の「インドネシア・ベトナム・フィリピン」に分けている。カテゴリー1については、すでに現地に勝ち組の決済処理事業者が存在している。そのため、市場は成熟しており、「台湾などでは2~3兆レベルのマーケットがあり、弊社の加盟店がサービスを開始すると、早い段階で売り上げにつながります。弊社は日本の商習慣を理解しているのが強みであり、現地のプレイヤーとも競合しません」と村松氏は説明する。出資した決済処理事業者の中には、日本でGMO-PGが上場した時と同程度以上の規模になっている会社もあるそうだ。
カテゴリー2は、中規模で中成長の市場となっており、カテゴリー1よりも将来的な伸びしろが期待できる。GMO-PGの加盟店でもタイに進出する企業が増加しているそうだ。タイで提携する2C2Pとは、約3年間、協力してビジネスを行ってきたが、加盟店の需要の増加に伴い、同社の自身の成長も続いているそうだ。また、マレーシアでは、現地でショッピングカート事業を行うExabytes Ecommerce Group Sdn Bhdと提携し、同社が提供するショッピングカート「EasyStore」を通じて「GMO-PG Global Payment」を2015年5月14日より提供開始している。
カテゴリー3については、人口が多く、高成長が見込めるが、マーケットとしては初期段階にある。現状、決済処理事業者の勝ち組も定まっていないため、それを見極めて出資することで、将来に向け体制を整えていきたいとしている。
これまでの成果として村松氏は、「想像以上に時間はかかりましたが、この4年間で成功のフェーズになってきました。特に台湾とタイでビジネスを展開する希望者が出てきました」と口にする。「GMO-PG Global Payment」は、シングルインターフェースでどの国でも使えるのが基本だが、「各国の法人接続とシステム接続の手間が非常に大変でした」とサービス構築の際の苦労を打ち明ける。
数年たてば、アジアでのカバレッジが相当広がるため、先行して投資するアドバンテージが生きてくるとみている。東南アジアは、EC市場が急激に伸びているが、10年、20年のスパンで見ると、後発のプレイヤーは参入するメリットが少なることが予想される。また、アジアでは巨大なペイメントプレイヤーを含めた競争があるが、「勢いでは負けていけないという気持ちでいます」と村松氏は語気を強める。5年後には、展開するすべての国に駐在員を置く予定だが、「一国一国順番に、慎重に展開していきたい」としている。
アジアンベイシス台湾(紀伊國屋書店グループ)、
H.I.S. TOURS CO.,LTD.(HISタイ法人)などがサービスを導入
海外展開での成功の秘訣は「マーチャンダイジングを真剣に行うこと」
導入企業としては、アジアンベイシス台湾(紀伊國屋書店グループ)、H.I.S. TOURS CO.,LTD.(HISタイ法人)などが同社のサービスを利用している。また、台湾では現地法人がなくてもビジネスをスタートできるEC支援代行を展開。GMO-PGが販売代行を行うことで、現地でスピーディーにビジネスを開始でき、実際に商品のニーズがあるのかを図ることができる。
たとえば、日本の中堅の化粧品会社は、台湾で非常に販売が好調のため、現地法人を設立し、ビジネスに本腰を入れている。また、数万円の単価の旅行バッグを販売する企業も売り上げが好調ということだ。「ある種のカテゴリーで存在感のあるECサイトの事例が増えてきています」と村松氏は成果を口にする。
今後は、決済データをビッグデータとして社内で分析して、自社で抱えている広告サービス部門にフィードバックしたり、逆に広告データを見ながら決済の提案を行うことを想定している。
将来的にはmPOS(モバイルPOS)などを利用して、オムニチャネルの展開も考えられるが、東南アジアは加盟店審査が厳しい点、クレジットカードの保有率が低い現状もあるため、当面はeコマースがメインになるとみている。
村松氏は、「日本にはいい商品があると言われていますが、半分正解で、半分間違っていると考えています。本当にいいものであるかは、購入する方が決定します。たとえば、日本の化粧品の品質は非常に高いですが、インドネシアの方にとっては韓国製のほうが圧倒的にいいという認識をいただく方が多いです。確かに、品質面の差はありますが、それほど消費者には伝わらず、価格は日本の5分の1です。大切なのは、マーチャンダイジングを真剣に行うことであり、これをしっかりすることで、ベースの品質の良さとサービスレベルの高さにより、ポテンシャルは高まります。我々は決済だけではなく、マーチャンダイジングのヒントをご提供できますし、販売のデータも保有していますので、ビジネスの本質の部分からぜひご相談に乗らせていただきます」と語り、笑顔を見せた。
企業名 | 所在地 | HP | |
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GMOペイメントゲートウェイ株式会社 | 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-14-6 ヒューマックス渋谷ビル7F [TEL] 03-3464-2323 [FAX] 03-3464-2477 |
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サービス概要 | |||
GMO-PGは、ネットショップや SNS・スマートフォン上で展開するコンテンツなどの非対面販売型の事業者、NHKなど月額料金課金型の事業者、並びに日本年金機構や東京都等の公的機関など5万4,000店舗(GMOペイメントゲートウェイグループ2015年3月現在)の加盟店に、クレジットカードをはじめとする決済処理サービスを提供しております。消費者と事業者にとって安全性が高く便利な決済を実現し、日本の決済プロセスのインフラになることを目指しております。決済業界のリーディングカンパニーとしてイノベーションを牽引し、日本のEC化率の向上に貢献いたします。 |