2015年10月13日14:16
MasterCardは、米国現地時間の2015年10月6日、新たなソリューション・スイート、「MasterCard Identity Check(マスターカード・アイデンティティ・チェック)」を発表した。MasterCard Identity Checkは、SMSワンタイム・パスワードや生体認証等の技術を活用し、クレジットカード保有者の本人確認を指紋で照合する。これにより、オンラインショッピングの際の消費者の本人確認と、購入手続きを簡素化することができるという。同機能は、2016年半ばから、米国全土の金融機関で利用可能となり、2017年には世界中で利用できるようになるそうだ。
MasterCard Identity Checkは、MasterCardのオンライン決済セキュリティについての機能向上を第一に考えて開発されたという。テクノロジーとデータを活用することで、パスワードという自分が記憶しておかなければならないものへの依存から、たとえば携帯電話といった自分が所有するもの、そして自分の生体へと、認証対象を移行させるという、MasterCardのビジョンを具現化するものとなる。オランダでは9月から、数百ものクレジットカード保有者が生体認証型決済システムの使用を開始しており、同様のテストは現在、米国でも実施されている。
また今回の発表に先立ち、日本を含む世界17の地域で1万人の一般消費者を対象に、21 日間パスワードに対する意識調査を実施。同調査では、MasterCard Identity Checkの妥当性が検証されたそうだ。これによれば、買い物客の 53%が週1回以上の頻度でログインの際に重要なパスワードを忘れる経験をしており、10分以上かけてそのパスワードをリセットしていることが明らかになった。シンガポールの人は、忘れたパスワードのリセットに、毎回15分以上の時間を無駄に費やしていることが分かったという。結果として世界中の約 3分の1の人がパスワードを思い出せないことでオンラインショッピングを断念しており、10人に6人がパスワードを忘れたせいでコンサートのチケットを購入するなどの一刻を争う取引に失敗していると述べている。オーストラリアとシンガポールでは2人に1人以上がウェブサイトから閉め出されたと述べている。
また、毎週定期的に利用している10のオンライン・アカウントまたはアプリケーションで、平均して1日8回ものパスワードを入力しなければならないことも判明している。日本とインドでは1日にそれぞれ11回と9回、パスワードを入力しており、世界平均を上回っていた。
詐欺被害に合う危険が高いと警告されていても、5人に1人以上はすべてのアカウントで同じパスワードを使用しており、全体の58%の人はわずか数個のパスワードを流用していることも分かっている。シンガポールでは、ほぼ3人に1人がすべてのアカウントで同じパスワードを使用していた。
今回の調査では、世界中の半数以上の人が、従来のパスワードの代わりにより便利なものが使用されることに興味を示しており、それにより、パスワードを必要とするすべてのアカウントに容易にアクセスすることができる一方で、個人情報をより安全に守ることができると考えていることが明らかになったという。