2015年11月17日8:00
インドネシアは、人口約2億5,300万人で、ASEAN(アセアン)の半数近くの人口を有している。Asosiasi Kartu Kredit Indonesia(AKKIM:インドネシアのクレジットカード協会)事務局長 Steve Marta氏に同国での決済の状況について話を聞いた。
クレジットカードの発行枚数は2,000万枚弱
インドネシアでは、1980年代にクレジットカード、90年代のデビットカードが発行され、最近では銀行独自の電子マネー決済も行われている。現在、クレジットカードは1,960万枚、デビットカードは1億枚、プリペイドカードは1,300~1,400万枚が発行されている。
クレジットカードのイシュアは23、ノンバンクではPT. AEON CREDIT SERVICE INDONESIAが事業を展開している。
近年は、デビットカードとプリペイドカードの取り引きが増えているが、クレジットカードにとって競争相手ではないとしている。また、「インドネシアでは、8割が現金取引ですが、クレジット、デビット、プリペイドに置き換えていきたいです」とMarta氏は話す。
クレジットカードの売上高は、月間で約2,000億円、年間で2兆円の規模となっている。また、デビットカードは発行枚数こそ多いが、実際の買い物で利用される比率は16%となり、年間で1兆円程度の規模となる。
2014年からはクレジットカード取引で6桁のPIN入力を義務化
インドネシアでは、クレジットカードのEMV ICカード化を2010年に完了。これにより、「不正利用の対策で劇的に効果がありました」とMarta氏は説明する。また、2014年には新たなレギュレーションとして、カード利用において6桁のPIN入力が義務づけられた。また、デビットカードについても1億枚発行されているが、すべてEMV対応が義務づけられている。デビットのEMV IC化対応についても2015年12月末までに完了するという通知がでているが、同スケジュールは遅れる模様だ。
また、クレジットカードおよび電子マネーの決済端末はアクワイアリング(加盟店開拓)を行う銀行がそれぞれ設置しており、街中の加盟店では複数の銀行の端末が並べられていることが多い。
非対面取引の割合は10%程度
対面と比べ、インドネシアのeコマースはようやく普及が進んできた段階であり、近年はeコマースサイトが増えている。クレジットカードの取り扱いのうち、90%が対面、10%が非対面となる。eコマースの不正利用対策に関しては、主要なプレイヤーを介して本人認証サービス「3-Dセキュア」の導入を呼びかけている。
なお、NFCモバイルペイメントの本格的な普及は始まっていないという。その理由としては、プリペイドカードのライセンスが限られていること、規格が統一していないことが挙げられるそうだ。モバイルを活用した取引については、Bank Central Asia (BCA)、CIMB Niaga(CIMBニアガ銀行)、Bank Mandiri(マンディリ銀行) などでスタートしている。
クレジット市場への取り組みとして、利用額は12%増となっているように、買い控えは起こっていないそうだ。ただし、クレジットカードの未払いによる不良債権の比率は2.2%と高まっているのが課題となっている。
※取材は「第14回JCB世界大会」会場にて