2015年11月27日12:41
STマイクロエレクトロニクスは、製品設計者がウェアラブル機器のメイン・マイコンと、悪意ある攻撃から保護するハードウェア・セキュア・エレメントを使用し、決済、チケット発券、デジタル・アクセス、ロイヤルティカードなどのアプリケーションをウェアラブル機器に実装するのを手助けする開発エコシステムを発表した。
同開発エコシステムは、STM32マイコンなどを中心に構成するアプリケーションを構築するために必要な要素を開発者に提供するという。STのセキュア・エレメントを選択できるのに加え、アナログICおよびセンサのサプライヤであるamsのNFC(近距離無線通信)アンテナ・ブースター・テクノロジーをオプションで追加することも可能だ。amsのテクノロジーにより、ウェアラブル機器に最適なNFC用の極小アンテナを実装できるという。同テクノロジーは、STとamsが共同開発し、2015年初旬に発表されたもので、モバイル決済のリファレンス設計にすでに取り入れられているそうだ。
同開発エコシステムでは、STのST31セキュア・マイコンを実装した拡張ボードか、セキュア・マイコンとNFCコントローラ、取り外し可能なNFCアンテナ、および必要なソフトウェアを含むST54システム・イン・パッケージ(SiP)を実装した拡張ボードのいずれかを選択することができる。ST31を使用した設計は、クレジットカード機能をサポートするスマート・バンドなどのVIPバンキング・アプリケーションに利用でき、ST54にはOEM製のNFC決済対応機器をサポート可能だ。
また、いずれの拡張ボードもArduinoコネクタを搭載しており、マイコン用開発ボード STM32 Nucleoで構成されるマイコン用開発エコシステムと互換性がある。さらに、Bluetoothモジュールや指紋認識などの機能追加を簡略化する拡張ボードX-Nucleoとも互換性があるそうだ。ST31およびST54は、いずれもNFC規格に準拠し、EMVCoおよびCC-EAL5+(コモン・クライテリア・レベル5+)のセキュリティ認証を取得している。
ソフトウェア開発キット(SDK)に付属するソフトウェア・ブロックは、セキュア・エレメントの管理、Bluetooth Low Energy(BLE)通信と各種接続(I2C、SPI、USB)の維持、およびNFCコントローラの制御、設定、ファームウェア更新の処理に必要な要素を提供している。また、BLEアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)も提供される。