2016年1月4日8:57
ジェーシービーは、日本発唯一の国際ペイメントブランド運営主体であり、海外での加盟店や会員の獲得にも力を入れている。インドネシアのバリ島で開催された「第14回JCB世界大会」において、ジェーシービー・インターナショナルの代表取締役社長 三宮 維光氏(兼ジェーシービー取締役兼常務執行役員)に海外展開の状況について説明してもらった。
全米では800万店近い加盟店で利用可能
JCBブランドが付いたカードも順調に増加
JCBでは1988年から、パートナーを招いた「JCB世界大会」を開催している。同社では81年から海外展開をスタートし、82年から本格的に展開を開始したが、当時の海外加盟店は8万店だった。それから3年間で50万店にするという「グローバル91」を策定し、海外の提携先のエージェントを招いて東京で世界大会を開催したのが始まりだった。それ以降2年ごとに1回、戦略や進捗の共有の場として、JCB世界大会を開催している。第一回の東京は200人弱、第二回のハワイは約200人、ここ3~4回は400人ほどの参加者を集めている。世界大会は、ここ数年、他のブランドも展開しておらず、運営面での評価も高いそうだ。
海外での加盟店ネットワークも順調に拡大している。すでに日本を除いて、加盟店は2,000万店を突破。全米については、国際ブランドのディスカバー(Discover)との提携により、American Expressを上回る800万近い加盟店で利用可能だ。また、アジアやロシアでも順調に加盟店ネットワークが広がっているという。
カード発行に関しては、2020年に東京五輪が開催され、政府の後押しもあり日本への海外からの旅行者が伸びる中、JCBという高品質なブランドへの期待は高くなっている。特にアジアは、韓国や台湾など一部の国を除いて、与信の面からもチャンスはあるとみている。現状、海外の発行枚数は2,000万枚強で、2016年度末には3,000万枚に届く予定だ。
海外でのカード発行は国によって戦略が異なるが、たとえば台湾では高品質なサービスを付帯するデビットカードを展開している。また、インドネシアや中国でも最上級グレートのカードを発行し、アッパークラスを攻めている。JCBでは、世界60カ所で海外旅行をサポートするサービス窓口「JCBプラザ」のようなネットワークを保有しているため、高品質なブランドイメージを訴求できているそうだ。
NFCのHCE、ブロックチェーンの技術に注目
各国独自の決済スキームを尊重
テクノロジとしては、2013年末にGoogleが発表したNFC(Near Field Communication)のHCE(Host card emulation)への取り組みをスタートしている。HCEは携帯キャリアとの契約となるSIM(Subscriber Identity Module Card)のハードル、SE(Secure Element)の技術的なハードルを取り払った。たとえば、TISがSimplyTapp、PromptNowとHCEサービス提供に向け協業しているように、今後、アジアの会員戦略において重要になるとみている。
また、ブロックチェーンの技術にも注目。仮想通貨により、「台帳(ブロックチェーン)に取引情報を追加していくことにより、将来的にオーソリが不要になり、金融取引が根底から覆る可能性があるため、研究を始めているそうだ。
今後の海外での展開として、各国の中央銀行がイニシアティブを取り、独自の決済スキームを構築しているが、JCBでは、各国のパートナーによる展開を最大限尊重しながら、グローバルアクセプタンスや技術ソリューションを提供することで、汎用性の高いサービスを展開していきたいとしている。たとえば、モンゴルでは国内決済ネットワークを有する中央銀行のBank of Mongolia(BOM)との提携により、モンゴル国内専用カードである「T-card」との一体型カードの発行がスタートした。すでに複数の国で同モデルを展開しており、他ブランドとの差別化になっているそうだ。