2016年1月15日8:00
安定した決済インフラ、強固なセキュリティをベースに付加価値の高いサービスを目指す
凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP)は、ギフトカード・プリペイドカードの残高管理を行うリアルタイム プロセッシングサービス「ギフトカードASPサービス」を提供している。現在、採用企業は大手を中心に120社以上。近年は、地方の中堅企業にも採用が加速するなど、順調に事業は拡大しているという。
年間130~140%の成長が続く
ハウス電子マネーの決済比率が3割を超える企業も
凸版印刷と富士通FIPでは、ギフト/プリペイドカードのASPサービスに黎明期から取り組んできた。サービスを開始して10年目を迎えたが、年間130~140%の成長が続いている。特に近年は、カフェやスーパーマーケットなど、流通企業独自のハウス電子マネーの取り扱いが伸びているという。
富士通FIPでは、生協コープかごしま、イズミヤカード、サンリブ・マルショク、ハローズなど、数多くのスーパーマーケットにサービスを導入している。富士通FIP アプリケーションサービス推進部 担当部長 片野坂友則氏は、「弊社ではスーパーマーケットのお客様が12社ありますが、ハウス電子マネーの決済比率が3割を超える企業もあります」と話す。2016年には、スーパーマーケット業界最大手のライフコーポレーションがサービスの開始を予定している。また、凸版印刷ではみやぎ生活協同組合の「MiiCA」にサービスを提供しているが、「コープからの引き合いも増えています」と、凸版印刷ニューペイメント事業推進部 係長 玉澤康太郎氏は成果を口にする。
凸版印刷はマーケティングや販促面から、富士通FIPはITベンダーとしてシステム部分で流通企業との接点を構築しているため、その強みを生かして営業活動を実施。決済手段としての提供はもちろん、データの利活用を行い、顧客施策に生かす目的としてハウス電子マネーを提案している。
ポイントサービスでCRMやMDもサポート
運用のコンサルティング、データの利活用も含めた提案を実施
富士通FIPでは、リテイルソリューション「ValueFront ポイントサービス」を提供しており、顧客情報管理・ポイントサービスを提供している。さらに、クラウド型の分析サービスの提供も予定しており、顧客分析に加え、商品とのクロス分析により、マーチャンダイジング(MD)などへのデータ利活用もサポートしていく。
昨今は、他のASPサービスやSIerとの競争も激しくなっているが、「ハウス電子マネーの運用や顧客情報管理、法的な準拠も含めて、安定した決済インフラによるサービスを提供する必要があります。お客様にとっては電子マネー事業を立ち上げるのは初めてとなるため、運用のコンサルティング、データの利活用も含めた提案を行っています」と片野坂氏は自信を見せる。2011年4月にイズミヤカードの「miyoca」を開始したのを皮切りに、数多くの流通店舗で運用された実績がある点も差別化のポイントとなっている。
スマホを活用したハウス電子マネーの採用も
決済サービスや顧客情報を預かるため、セキュリティ対策に注力
ここ1~2年はスマートフォンを利用したハウス電子マネーの採用も目立つ。たとえば、ミスタードーナツでは、開始当初からスマートフォンアプリを活用した決済機能を提供している。
スマートフォンを活用したマーケティングは凸版印刷が得意とする分野であり、スマートフォンからの情報配信に加え、消費行動を把握するデータベースと連携することで、特定の日に店舗に行くとクーポンを獲得できるなど、周辺のサービスを含めた提案を行っている。
決済サービスや顧客情報を預かるサービスのため、最大限意識して取り組んでいるのがセキュリティだ。ギフトカードASPサービスは、情報セキュリティ格付で決済サービスとして初となる最高位「AAAis」を取得しているほか、ISO/IEC27001をはじめ各種国際認証を満たした富士通グループの安全なデータセンターで運用されている。
「富士通グループの独自基準に加え、第三者の管理によるセキュリティ基準への対応、キャパシティの拡張を定期的に行う運用を組んでいます。また、お客様からのお問い合わせ時に即座の対応ができるのも弊社の強みです」(片野坂氏)
資金決済法への対応については、運用ベースで説明したうえで導入してもらっている。玉澤氏は、「レポート機能は資金決済法に対応しており、お客様としては転記するだけで済むため、負担を軽減できます」と説明する。
ギフトカードはオンラインの利用も伸びる
2016年以降もギフトカードASPサービスの成長は加速
また、日本百貨店協会の「百貨店ギフトカード」など、プラスチック型の新たな商品券(ギフトカード)としての展開も引き続き強化しており、ここ数年は顕著な成長がみられる。たとえば、百貨店ギフトカードでは、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.によるコンビニエンスストアでの販売、さくら野百貨店が青森県限定デザインを販売するなど、順調に取扱額が伸びている。また、ビームスやメーカーズシャツ鎌倉などのアパレルでは、パッケージやカードのデザインを工夫してギフトカードを展開している。玉澤氏は、「ギフトカードについては、店頭だけではなくオンラインでの利用も伸びています。今後も市場分析を行いながら、マーケットを作る取り組みを行っていきたいです」と展望を語る。
凸版印刷と富士通FIPでは、2016年以降もギフトカードASPサービスの成長は加速するとみている。片野坂氏は、「プリペイドは、消費者のお金をお預かりして金融サービスを行うものですが、導入後も自社のCRMや経営の軸にしていただき、事業を伸ばせる価値を提供していきたいです」と意気込みを語った。