2016年2月19日8:00
ECの健全な発展に寄与するために決済事業者自らが守るべき自主ルールを制定
「EC決済協議会」は、ECにおける決済を高品質かつ安全、安心に提供することを通じ、さらなるネット経済の発展に貢献することを目的に設立された団体であり、主要な決済代行事業者が参加している。同協議会では、決済事業者自らが守るべき自主ルールを定めるとともに、各社が社内の態勢を整備し実践することを目的とした会則を定めた。同協議会のこれまでの取り組みについて話を聞いた。
日本のアクワイアラと契約した運用を遵守
自社の決算書を原則3期分ホームページ等に公開
EC決済協議会は2012年8月1日に設立され、現在では、イーコンテクスト、GMOイプシロン、GMO ペイメントゲートウェイ、サイバーソース、ソニーペイメントサービス、ソフトバンク・ペイメント・サービス、ペイジェント、ベリトランスの8社が正会員となっており、NTTデータが賛助会員となっている。
当初は、決済代行サービスを提供する主要各社が寄り添い、「情報セキュリティ」、「不正利用対策」、「業務運用」などの情報交換を行っていたが、割賦販売法の改正がある中で、しっかりとECの健全化に取り組むため、会則として5つの目的を掲げた。
具体的には、①EC決済サービスの健全な業務運用に向けた取り組み、②消費者保護に向けた取り組み、③ECを運営する加盟店保護に向けた取り組み、④情報セキュリティの向上に向けた取り組み、⑤反社会的勢力の排除に向けた取り組み――としたうえで議論を重ね、2014年6月に自主ルールを制定した。自主ルールには、健全な業務運用、不良加盟店の排除、適切な加盟店管理に努める、クロスボーダー取引の禁止、消費者保護、加盟店保護、情報セキュリティ、不正利用防止などについて記載されている。たとえば、改正割販法で議論に挙がっているブランド禁止のクロスボーダー取引については、日本のアクワイアラ(加盟店管理を行うカード会社)と契約した運用を行うことを今後も遵守するという。
「加盟店保護に関しては、たとえば包括加盟店契約の場合、決済代行事業者がお金を預かり、加盟店に引き渡すため、仮に決済代行事業者が倒産すると代金が届かなくなるリスクがあります。そのため、自社の決算書を原則3期分ホームページ等に公開し、加盟店への十分な情報開示を行うことを決めました」(GMOペイメントゲートウェイ 上級執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部 統括部長 吉岡優氏)
加盟店審査は割販法の議論と平仄を合わせながら対策を協議
クレジット取引セキュリティ対策協議会での議論の情報を共有
自主ルール作成後は、割賦販売法の議論と平仄を合わせながら対策を協議。加盟店審査は個社ノウハウに依るところが大きく、統一的な基準を作るのは無理があるが、法律に合わせて厳格に実施することで意識を合わせている。また、情報セキュリティについては、クレジットカード会社、決済代行会社、加盟店、国際ブランド、端末会社、情報処理センター、関連団体、経済産業省などで進める「クレジット取引セキュリティ対策協議会」により議論が行われているが、ベリトランスが「総会」、GMOペイメントゲートウェイが「カード情報保護ワーキンググループ」、ソニーペイメントサービスが「不正使用対策ワーキンググループ」に参加しているため、その情報を持ち寄り情報共有している。
なお、昨今、EC加盟店からの情報漏洩によりクレジットカード番号が外部に流出する事件が増えているが、セキュリティ対策の実施についてもクレジットカードセキュリティ対策協議会と平仄を取りながら進めていきたいとしている。また、現状は、クレジットカードに関しての議論が中心だが、将来的には他の決済手段などについても話し合いが行われる可能性があるという。
吉岡氏は最後に、「国内の決済環境は動きが見られますが、政府や業界団体からお声掛けの機会もいただき、意見を述べさせていただくこともあったのは意義があったと考えています」語り、笑顔を見せた。