2016年3月29日8:55
自己利用に加え、海外で実績のあるギフト市場を開拓へ
ブラックホーク・ネットワーク・ホールディングス(Blackhawk Network Holdings, Inc.)は、米国・カリフォルニア州に本社を置くプリペイド決済ネットワーク企業だ。2001年に設立され、今や世界を代表するギフトカードモール事業・流通事業会社の1つに成長。現在、世界25カ国で、プリペイドギフトカード、電気通信カードやデビットカード、およびプリペイド関連製品を提供している。日本でも大手コンビニエンスストアなどにサービスを提供している。
約800の小売ブランドのプリペイドギフトカードを扱う
世界で毎週3億2,000万人が購入
ブラックホーク・ネットワークはもともと、アメリカ最大級のスーパーマーケット・チェーン、セーフウェイの一部署としてスタートし、現在は独立して順調に事業を拡大。レストランチェーンやアパレルブランドをはじめとする約800の小売ブランドのギフトカードを取り扱っている。
世界18万の小売店鋪へサービスを提供しており、そのチャネルは大手食料品店、大規模小売店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、専門店など非常に幅広い。2015年の決済件数は前年から1億増の約5億2,000万に上り、毎週3億2,000万人もの消費者が購入しているという。年間売上は13億ドルを超える。
アジアオフィスはシドニーにあり、日本にも事務所を構える。国内では現在、iTunes Card、Google Playギフトカード、プレイステーション ネットワーク カード、アドビ キーカードのアクティベーションを行っており、カードモールビジネスの導入支援を行うティーガイアと日本ユニシスを通じて、大手コンビニエンスストアチェーン等にサービスを提供している。
セルフユースが大部分の日本市場にギフト需要の波を
より多くのブランド投入と販路拡大で市場活性化へ
日本市場では売上の7割ほどを「iTunes Card」と「Google Playギフトカード」が占め、ゲームコンテンツも人気があるものの、それ以外に認知度の高いコンテンツは数えるほどしかないのが現状だ。ブラックホークネットワークジャパン 代表取締役 ジョン フラナガン氏は、「日本市場のアンバランスさは同時に大きな好機でもある」とし、「弊社が海外で提供しているブランドを新しい商材として連れてくれば、市場が活発になるのでは」と期待を寄せる。
また、国内ではセルフユースが大多数だが、コンテンツを増やすことでギフト需要も伸ばしたいと考えているそうだ。例えば、オープンループのブランドプリペイドの販売価格は、利用可能金額に手数料が上乗せされているため、海外ではクローズドループの百貨店のカードの人気が高いという。同社では、等価で購入できるそうしたカードの日本での潜在需要は大きいとみており、贈答用に適したシックで高級感のあるパッケージも併せて提案している。
コンビニエンスストアに陳列される数多くの商材のなかで、ギフトカードは間違いなく高額商品だ。ところが、現状のディスプレイはグレード感の訴求に乏しい。「高級感を演出するディスプレイを使って認知度を上げることが重要だと考えています。封筒や箱を置ける場所も設け、案内もPOPではなく動画のほうがいいのではと考えて提案しています」と、フラナガン氏はアピールする。
日本では現在、販路の80%以上をコンビニエンスストアが占めている。自分用に定期的に購入する人が多いゲーム関連は親和性が高いとはいえ、例えばアパレルブランドなどのカードをギフト用としてアピールする場所としては好相性とは言い難く、別の販路の開拓も重要と考えている。さらに、コンビニエンスストアは売場スペースも限られるため、アイテムが増えた際の展開の仕方についても課題が残る。
十数兆円の国内巨大ギフト市場でいかに存在感を示せるか
モバイルを含むデジタルでの販売にも活路を
国内のギフトカード市場は現在5千億円ほどのマーケット規模だが、十数兆円に上るといわれる巨大ギフト市場全体において、ポテンシャルは無限大に近い。贈答文化におけるギフトカード定着のため、また、消費者に用途を判りやすくするために、同社では国内での呼称から見直し、啓蒙を図っている。カード式のギフトという意味を込めて、ギフトカードではなく「カードギフト」に、また米国等で「ギフトカードモール」と呼ばれるカード売場についても、高級感を想起させる「カードギフトセレクション」を推奨している。
さらには、モバイルも含めたデジタルでの販売にも力を入れていきたいという。同社は米国でギフトカードモール「GiftCardMall.com」を運営している。このモールでは、販売にとどまらず、例えば、ベジタリアンの人がハンバーグ店のカードを貰ってしまった場合など、他のものに交換できる“カードエクスチェンジ”等のきめ細やかなサービスも行っているという。
米国では、Amazonをはじめさまざまな会社が同社のシステムを用いてインターネット上で販売している。フラナガン氏は、「日本の会社様も簡単に自社のギフトカードモールをつくることができます。もちろんバリアブルにも対応できます」と意欲をみせる。
データセンターのネットワーク安定性は99.99%の高水準
今後は国内でいち早くBtoBを推進
同社では技術に重点を置いており、約2,500人の従業員の半分ほどが技術者だという。世界2つのデータセンターを稼働し、万が一のリスクに備えている。ネットワークの安定性は、データセンターにおいては99.99%の高水準だ。
2014年のクリスマスシーズンには、1秒あたり107件もの過去最高数のアクティベーションがあったというが、「今現在、システムの能力としては1秒間に2,700件に耐えられるため、まだ余裕があります」と、フラナガン氏は笑みを浮かべる。また、申請中も含めると200近くの特許を有すなど、セキュリティ環境の維持に抜かりはない。
さしあたっては、同社が海外で重点を置いているBtoBを、日本でもいち早く推進していく構えだ。BtoBでは、海外では明らかにブランドのギフトカードが売れており、これも重要になってくるという。同社は、今後もパートナー企業と協働し、ビジネスを一緒に拡大していきたいとしている。