グローバルプロセッシング・サービスとは?

2016年11月9日7:00

世界中で約1,000のペイメントサービスプロバイダーが展開

「世界の決済・ 送金サービスのイノベーション」では、グローバルベースでペイメントサービス・プロバイダー業務を展開する“グローバルプロセッシング・サービス”(Global Processing Service)とオンラインペイメント・サービスプロバイダーについて、その動向を紹介している。

クレジットカードなどのペイメントカードビジネスにおけるプロセッシングサービスとは、イシュアであるペイメントカード発行金融機関のカード発行処理やカード売上・請求・回収処理などのカード発行業務処理の一部または全部を代行する「カードプロセッシング・サービス」とカード加盟店とのオーソリゼーションや売上・精算などのアクワイアラの業務処理の一部または全部を代行する「マーチャントプロセッシング・サービス」に分けられる。

アクワイアラの業務に関してはその業務処理の一部または全部を代行するマーチャントプロセッシング・サービスとは別に、アクワイアラの“代理店業務”としての決済代行サービスを行うペイメントサービスプロバイダーが存在する。こうしたペイメントサービスプロバイダーは、アメリカではMSP (Merchant Service Provider)やISO(Independent Sales Organizer)と呼ばれている。

アメリカやヨーロッパのクレジットカードビジネスは、銀行など金融機関がカード発行業務やカード加盟店業務のすべてを手掛けることによりスタートしている。カード業務の多様性や複雑性などから銀行がインハウス(自行内)で処理するにはコスト的にも無理があり、その一部または全部を専門の業務処理を請負う事業会社にアウトソーシングするようになっていった。プロセッシングサービスの最大手の1つであるアメリカベースのTSYSは、アメリカの地方銀行のカード処理部門が独立して、巨大なプロセッシングサービス会社に成長したものだ。

アメリカではすでに1990年代にMSPやISOと呼ばれるペイメントサービスプロバイダーが登場し、事業を拡大していたが、アメリカ以外の国では、インターネットによるEコマースにおけるカード決済が増加し始めた2000年代にペイメントゲートウェイサービスなどを行うペイペイメントサービスプロバイダーが登場するようになり、スマートフォーンによるモバイルコマースによるオンラインペイメントが増加するようになった2010年代になるとペイメントサービスプロバイダーがさらに事業を拡大していった。

日本では不正検知ソリューションを中心に行うCyber Sourceは、世界190カ国以上で“グローバプロセッシングサービス”を提供
日本では不正検知ソリューションを中心に行うCyber Sourceは、世界190カ国以上で“グローバプロセッシングサービス”を提供

もともとカードビジネスはドメスティックな事業で、VisaやMastercardなどの国際カードネットワークを通じてそれぞれの国のカードの国際化が図られてきた。ペイメントカードにはVisaやMastercard以外に特定の国や地域のみで流通しているアメリカのDiscoverなどのクレジットカードやヨーロッパのV-Payなどのデビットカード、同じくヨーロッパのPay Safe Cardなどのプリペイドカードがある。PayPalやAlipay(支付宝)のような電子財布によるオンラインペイメント・ソリューション、ヨーロッパのiDEALやGiro Payなどのオンラインバンキングによるオンラインペイメントもある。

航空会社やホテルチェーン、eコマース事業者などボーダレスで事業展開を図る企業やグローバルベースで事業を展開する企業に対して統合されたペイメントサービスを提供する“グローバルプロセッシング・サービス”(Global Processing Service)を行うプロバイダーが2000年代に登場し、2010年代になってその事業を拡大している。

“グローバルプロセッシング・サービス”には、ACIやAdyenなどのように北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア・パシフィックと世界中をカバーしているプロバイダーと、ACAPTUREなどのように北米、ヨーロッパ、アジアなど一部エリアをカバーしているプロバイダーがある。こうしたプロバイダーの多くは、国境を超えた決済、通貨が異なる支払いで先行してきた北米またはヨーロッパに本社を置いている。

また、アジアでも香港ベースのAsia Payのように、アジアエリアでボーダレスなペイメントサービスプロバイダー・ビジネスを展開する事業者もある。

こうしたペイメントサービスプロバイダーは、世界中でおよそ1,000あるといわれている。

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