2017年3月7日0:00
中国の決済サービス「WeChat Payment」も高品質にサポート
POSレジで支払いが完了した時点で初めて対象カードを有効化する、インコム・ジャパン株式会社(以下「インコム社」)のPOSA(InComm’s Point of Sales Activation)技術。決済手段のほか、プロモーションツールとして、さらにはデジタルコンテンツやソフトウェアの販売手段として定着してきた。2017年2月には、注目が高まる中国のSNS「WeChat(微信)」ユーザー向け決済サービス「WeChat Payment(微信支付)」にも対応を開始した。その迅速な導入を高品質にサポートするのが、富士通のパッケージ製品「やごやさん」をはじめとするソリューションの手厚いラインナップだ。
Host2Host接続の販売店向けPOSAパッケージ「やごやさん」
CVS3社をはじめ合計21ユーザーが直接導入
POSAカードは、個人情報を扱わない安全性の高さや利便性の高さに加え、POSレジでの決済時まで金券としてのオペレーションコストが発生しないため、在庫リスクや盗難等による損失リスクも抑えられ、通常配送可能で物流コストを極小化できる。インコム社が国内で同カードの流通・販売を行う店は5万店舗を超え、コンビニエンスストアや総合スーパー等に陳列される光景は、もはや日常のものとなった。
2007年のインコム社日本進出当時、国内でPOSAの認知度は限りなく低かったが、その将来性をいち早く見通し、導入のためのソリューションを構築した先駆者が富士通だ。同社が手掛けるPOSAソリューションには大きく分けて、「やごやさん」を中心としたオンプレ型パッケージ製品と、近年需要が高まるクラウドサービスがある。
「やごやさん」は、POSAカード販売店のアプリケーションとインコム社のセンターとの接続を容易に実現するパッケージだ。顧客アプリケーションからAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を呼び出すことにより、国際基準の接続の通信プロトコル「ISO8583」を作成する機能を搭載。顧客はプロトコルを意識せずに済み、アプリケーション開発の負荷や時間が軽減できる。
POS端末の台数に応じて小売店から大規模な量販店まで幅広く対応でき、異常系の処理をスムーズに実現するなどホスピタリティにも富む。2009年の販売開始以来、トラブルは商用での1件のみという高品質を誇り、2017年1月現在でコンビニエンスストア3社、家電量販店6社をはじめ計21ユーザー、5万店舗以上で稼働している。
ハウスカードを発行する販売店の増加を受け、現行バージョンの「やごやさん V3」ではPOSAカードとハウスカードをスイッチングできる「センター振り分け機能」や、「出口ルーチン」等、顧客の個別プログラムを簡単に登録できる機能を追加。「最近では顧客毎の独自プロモーションの検討が進んでいまして、何とか製品化・サービス化を実現したいと考えています」と、富士通 ミッションクリティカルビジネスグループ 先端ソリューションビジネス推進室担当部長 宮田治郎氏は意気込む。
クラウド型で自社サーバ不要の「InComm Japan Gateway」サービス
新しいサービスをカセッタブルに追加可能
インコム社では自社のPOSAカードを発行したい顧客の要望に応え、POSAカード販売事業と自社プリペイドカードの導入・リチャージをサポートするクラウド型システム「InComm Japan Gateway」を提供。自社サーバ不要で構築コスト等が抑えられることもあり、サービス3年目にして地方のフラッグシップのスーパーマーケット、ドラッグストアチェーンを中心に好評を得ている。
同クラウドシステムには「やごやさん V3」パッケージを適用し、前述の「センター振り分け機能」を活用してセンター・サービスを追加で実装できる仕組みをとる。宮田氏は、「新たな業務がカセッタブルに追加できるコンセントタップのような仕組みで、そこに新しいプラグを差し込んでいくと、サービスをどんどん追加できるようになっています」と特徴を述べる。
ココカラファインとサンドラッグで「WeChat Payment」の取扱開始
POSAのAPI利用により専用端末の別途設置が不要
最近、これらの機能を活用した2つの新サービスをリリースした。ひとつがPOSAカードの使用取引対応だ。キャンペーン・集客クーポンとしてPOSAカードを自社発行したり、レジャー施設等の前売券や割引券をPOSAカードの形で販売・配布し、入門ゲートで使用できるようにしたりなど、兌換機能としての普及を期待している。販売店の反応も上々で、この機能を切り出してソフトウェアパッケージ製品としても販売を計画しているという。
もうひとつが、中国で月間8.49億人以上のアクティブユーザーを誇るSNS「WeChat(微信)」の、ユーザー向け決済サービス「WeChat Payment」対応だ。中国での「WeChat Payment」トランザクション数は1日5億回以上で、モバイル決済手段の主流となっている。「スイッチング機能を使ってWeChat Paymentの取引をWeChatのセンターに飛ばす仕組みを構築しました。加盟店様に新しいモジュールを入れるのではなく、ほぼ同じインターフェースで対応ができます」と宮田氏は強みを語る。
中国の旧正月にあたる春節を目前に控えた今年1月24日、インコム社はココカラファイングループとサンドラッググループの国内約2,000店で「WeChat Payment」の取り扱いを開始。原則すべての店舗、全POSレジで対応が可能となった。買い物客のスマートフォン等の画面に表示される「WeChat Payment」のバーコード・QRコードをPOSレジでスキャンするだけで決済が完了し、店頭でのオペレーションも簡易だ。
観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、中国人観光客の購入品が家電やブランド品などから、医薬品や化粧品といった日用品へ移行しているという。もっとも買い物に訪れるドラッグストアでの決済拠点を充実させ、多様化する消費行動に対応する構えだ。
「加盟店様には、やはりPOSAで使っているAPIをそのまま利用できるという点に魅力を感じていただいています。POSAもWeChat Paymentもバーコードを読み取って処理をするという共通点があり、新たな読み取り機器を導入せずとも、APIにWe Chat Payment用の決済情報を渡すPOSアプリケーションを適用するだけで、一斉かつ迅速に全店舗で展開できます」と、同部 北澤憲一氏は説明する。今後WeChat Paymentを始めとしたモバイルバーコード決済には一層の普及を期待しており、「InComm Japan Gateway」への接続先を増やしたいとしている。
▶Webベースのクラウドサービス「WAS」 ソフト製品POSA化の波で PCショップや家電販売店の需要増
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