2018年1月16日8:08
ICARE Technologiesは、スマートリング「AEKLYS」を提供している。同リングには、世界中で複数の特許を有する。また、28の機能をリングに組み込みこむことが可能だ。同社 Cofounder&CEO JEREMY NEYROU氏に「AEKLYS」の強みについて、話を聞いた。
軍事で活用可能な高セキュリティが強みに
ロシアの銀行、Visa等が5月に使用へ
――まずは、貴社でスマートリング「AEKLYS」を開発された経緯についてお聞かせください。
JEREMY NEYROU:最初はブレスレットから開発をスタートしましたが、手を回さなければいけないなど不便さを感じました。次に指紋や皮膚の情報を検討しましたが、触った箇所の情報が残ってしまい、そこから情報が盗まれてしまう可能性もあります。そこで指輪を検討しましたが、実際に開発してみると有益なことがわかりました。
――指輪の中にICチップを入れるのは高度な要求が要求されますね。
JEREMY NEYROU:すでにEMV、米国国家規格協会のANSI規格の認証を取得しています。また、フランス・Thales(タレス)と連携し、防衛省に出入りする従業員を認識するために使用しています。たとえば、武器の使用の際、指輪により担当者がどういった武器を使用したのかが認識できるようになりました。
――以前から開発力には優れていたのでしょうか?
JEREMY NEYROU:当初はプロトタイプの開発からスタートしましたが、大手のパートナーの協力を得ることができました。2017年1月からスタートしましたが、当初は15万ユーロ、2017年11月の段階で250万ユーロの資金を得ることができています。さらに、14の特許を取得しています。
現在は、Thales、SNFC(フランス国有鉄道)、国際ブランドのVisaやMastercard、フランスやドイツのパートナーなどと共同で開発しています。今後の予定として、Visa、ロシアのAlfa Bank(アルファバンク)、Sberbank Rossii(ロシア貯蓄銀行)が2018年5月に使用する予定であり、3,000個のリングを提供します。
世界でさまざまな特許を有する
自動的にエネルギーが給電可能
――たとえば、どのような特許があるのでしょうか?
JEREMY NEYROU:世界と国内向けがあります。たとえば、指輪を外せば機能しなくなるのは特許となります。また、銀行のカードはいつアクティベートされるのかは把握できませんが、指輪を機能させるためには指を閉じ、親指をかざせばアクティベート可能です。
弊社では、リングの設定が管理されるスマートフォンアプリも提供していますが、利用者に合った指輪のサイズが必要ですので、指のサイズを測れる機能も開発しました。これも特許を取得しています。
――そのほか、貴社のリングならではの特徴についてお聞かせください。
JEREMY NEYROU:エネルギー回収システムにより、自動的にエネルギーが給電可能です。リングは非常にパフォーマンスに優れ、夜でも給電できます。また、リングは2,000日の利用が可能です。セキュリティにも優れており、盗難防止、アンチコピーシステム、AES 256暗号化の機能が含まれています。
日本でのFeliCa対応、リングの提供は?
2018年5月には5万個を販売予定
――日本でもリングを提供する予定はありますか?
JEREMY NEYROU:すでに日本向けの特許も取得しています。現在はTypeAを使用していますが、日本ではFeliCa対応が求められ、同規格に特化したリングが求められます。弊社としては、まずはヨーロッパで基盤を固め、それが日本に伝わって興味を示していただければと考えています。また、アジアでは中国の銀行からの引き合いもあります。
――リングの価格についてはいかがでしょうか?
JEREMY NEYROU:安いリングは50ユーロ程で購入可能ですが、機能は5~8つに絞られます。200ユーロのリングの場合、28機能が入っています。また、デザインも選ぶことが可能で、毎年新しいコレクションが出ます。さらに、ラグジュアリーモデルもあり、5万ユーロ程となっています。
――最後に、今後の目標についてお聞かせください。
JEREMY NEYROU:ヨーロッパでは、2018年5月には5万個を販売する予定ですが、すぐに在庫がなくなる予測があります。金額として、2020年には300万ユーロを目標にしています。
取材は2017年11月28日~11月30日までフランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)2017」において。