2018年4月9日8:00
クレジット、プリペイド、メンバーズカードの3つの決済にモバイルで対応
長崎市内・西彼2町にある法人・個人タクシーのタクシーチケットを発行している長崎タクシー共同集金が、満を持してキャッシュレス決済に向けたシステム「NTネットワーク」を2017年1月に開始。近年、福祉タクシーなどでの需要が増えているが、クレジットカード、プリペイドカード、メンバーズカード(チケット代替)と多彩な利用形態に対応することで、より利便性が高くなり一層の活性化が期待されている。
プリペイドはプレミアムを付与
後払いのメンバーズカードも発行
長崎タクシー共同集金は、長崎市内・西彼2町の法人タクシー36社及び個人タクシーを含め、約1,500台のタクシーに共通するタクシーチケットを発行する会社。各社ごとに発行していたタクシーチケットを効率よく展開していくため、1964年に設立された。現在の主力商品は、金額制限5,000円の紙製タクシーチケットだが、利用者などからクレジットカードをはじめ、カード決済を求める声が近年高まっていた。特に長崎は国内外からの観光客数が急激に増加しカード利用の問い合わせが増えていたこともあり、2017年1月から、キャッシュレスで乗車できるNTネットワークが開始された。
NTネットワークで新たに決済できるようになったのはクレジットカード、料金後払い方式のメンバーズカード、料金前払いのプリペイドカードの3種類。クレジットカードは主要な国際ブランドに対応している。メンバーズカードは1乗車限度額が1万円、3万円、5万円、金額制限なしから選ぶことができ、利用代金は後日指定口座から引き落とされる。紙のタクシーチケットは連帯保証人が2名必要なのに対して、メンバーズカードは原則保証人が不要だ。プリペイドカードは発売額が5,000円で、利用可能額が5,100円と100円のプレミアムがつく。1,000円単位で繰り返しチャージして利用でき、最大4万9,000円のチャージをすると約5万円分の利用が可能だ。メンバーズカード、プリペイドカードともWebで利用履歴の閲覧ができ、プリペイドカードは残高も確認できる。
先行投資を低く抑えられる端末を用意
野外でのロケーションでも決済可能
「NTネットワークによって、多彩な決済を選べるようになり、より利便性の高さを感じていただけるようになりました。プリペイドカードはチャージ時にプレミアムがつくことでお得にタクシーを利用できるほか、贈答用としても喜ばれています。NTネットワークは長崎市およびその周辺のタクシー事業者30社および長崎個人タクシー協同組合のタクシー約1,250台余り(同域内約8割)で利用できます」(長崎タクシー共同集金 総務部長 橋田一彦氏)
タクシー事業者向けに提供する決済端末はクレジットだけでなくプレミアム付与などのサービス提供を実現することができる自由度の高いPOS端末。Softbank 3G回線を使ったモバイル端末で野外でのロケーションでもスピーディーな決済が可能である。2.4インチカラー液晶を採用しており、高齢化が進むタクシードライバーでも操作できるほか、非接触ICカードリーダ、NFCリーダを標準搭載しており、次世代の決済対応も見据える。
「決済端末の利用料はNTネットワーク加盟店が負担していますが、モバイル端末なので配線工事などが不要で、初期費用が抑えられたことも魅力です。多くのタクシー事業者が端末を買い取るより、メンテナンスなどの手間がかからないリースでご利用いただいています」(長崎タクシー共同集金 電算課係長 山口吉法氏)
クレジットカード決済は遠距離が目立つ
長崎でのキャッシュレス決済を後押し
NTネットワークは開始当時、テレビや新聞などで大々的なCMを展開したことが功奏し、クレジットカード決済の利用が伸びてきている。クレジットカード決済は佐世保・長崎空港からの往復のように遠距離の利用もあるという。また、プリペイドカードも2017年11月現在約3,000枚、メンバーズカードは約200枚発行されている。
近年、長崎では観光や出張目的、市町村の福祉部門等での需要などにより、タクシー利用は増加している。橋田氏は、「ヘビーユーザーにはメンバーズカードやクレジットカード、一般の利用客にはプリペイドカードというように、NTネットワークを通じて、乗客の特性に合わせた多彩な決済手段を提供することで、長崎市内のタクシー利用の一層の活性化に貢献していきたいです」と語った。