2018年3月15日22:18
野村総合研究所(NRI)は、2017年10月、キャッシュレス・サービスに関わる有識者をメンバーとした「キャッシュレス推進検討会」を立ち上げ、議論を進めてきたが、このほど中間報告として「キャッシュレス社会実現に向けた論点整理」を行い、発表した。
NRIでは、キャッシュレス・サービス関係者が広く一堂に集って議論する場として、本検討会を立ち上げた。同検討会は、消費者保護や情報保護、システミックリスクや不正など、最終的に消費者に及ぼす影響を十分に考慮した議論が必要であることを実体験として理解している、キャッシュレス・サービス提供企業のメンバーで構成されている。また、同検討会は、有志による会合という形式をとったそうだ。その理由は、「日本の未来像」を検討するにあたり、各企業に付随する制約に縛られず、目標を1つにして議論することに意義があるためだという。
検討会メンバーの所属は、アメリカン・エキスプレス、JCB、Visa、Mastercard、UnionPay(銀聯)をはじめとする国際カードブランド会社、三菱UFJニコスをはじめとするクレジットカード会社、nanaco、楽天Edy 、WAONなどを展開する電子マネー会社、QUOカードを展開するギフトカード会社、メガバンク、Fintech協会と多岐にわたる。また、内閣官房をはじめとする政府系機関や、片岡総合法律事務所が、オブザーバーとして参加している。
同検討会ではまず、キャッシュレスの推進が社会に貢献することを念頭に、キャッシュレス化の目的を整理した(図1)。また、今後、キャッシュレス推進を検討するにあたり、高齢者や子供などの「利用者」、地方や観光地などの「利用場所」の観点から、現状の課題を洗い出している(図2)。次に、そのような利用者と利用場所について「既存のキャッシュレス・サービス推進上の課題を解決するアプローチ」と、「FinTechなどを用いて飛躍的な進展を見込むアプローチ」の2方向で議論を重ね(図3)、キャッシュレス化を推進する施策案を出し合いました。さらにそれらの施策案を、実効性から見た優先度と実現の難易度の2軸上にプロットして整理を行った(図4)。
今後、同検討会では、「キャッシュレス社会実現に向けた論点整理」で挙げた施策の中から、業界横断での啓蒙活動や実証実験、国を挙げて取り組むべき政策への提言など、検討会メンバーが協力してキャッシュレス社会の実現を促進する施策を中心に、アクションプランを検討していく予定だという。