2019年8月22日18:10
Visa(ビザ)は、2019年8月20日、不正決済の防止と阻止に向けたセキュリティ対策ツールセットを発表し、サイバーセキュリティや不正防止における新たな領域に踏み出したと発表した。同決済セキュリティサービスおよびセキュリティ対策ツールは、金融機関や加盟店を狙った不正の脅威を検出して阻止することで、決済エコシステムのインテグリティを保護するという。同内容は、金融機関、加盟店、プロセッサー、その他決済サービスプロバイダー側で、リスク、営業、業務を担当している決済業界の専門家らが一堂に会するフォーラム、「Visa U.S. Security Summit 2019」で紹介された。
Visaは、インテリジェンスやテクノロジーへの投資を継続して行っており、その一環として、Visaのクライアントは、同セキュリティ対策ツールを追加コストや新たな登録なしに利用することができる。これにより、金融機関や加盟店等のクライアントがVisaグローバル決済ネットワークに参加していることで得られる多くのメリットがさらに拡大するとした。
新たなセキュリティ対策ツールには既存の保護機能に加え、さまざまな機能が含まれているそうだ。
「Visa Vital Signs(バイタルサイン)」は、トランザクションをアクティブに監視し、ATMや加盟店においてATMキャッシュアウト攻撃の可能性を示す不正行為があれば金融機関に警告する。金融機関における不正による損失を抑えるために、Visaは、自動的にまたはクライアントと連携して、悪意ある行為を停止するための介入を行う。
「Visa Account Attack Intelligence(アカウント・アタック・インテリジェンス)」は、ディープラーニングを、これまでに処理されたVisaの膨大な非対面決済トランザクションに適用し、ハッカーらが自動テストを通じて口座番号や有効期限、セキュリティコードの割り出しに利用している可能性のある金融機関や加盟店を特定する。同機械学習テクノロジーにより、高度な列挙パターンを検知し、誤検出をなくし、不正トランザクションの開始前に標的となった金融機関や加盟店に警告できる。
「Visa Payment Threats Lab(ペイメント・スレット・ラボ)」は、クライアントにおける処理、ビジネスロジック、構成設定を試験するための環境を構築し、潜在的な脆弱性につながるエラーを特定する。例えばVisaは、チップトランザクションにおいて、金融機関がクリプトグラム(動的に生成された各トランザクションに一意のコード)を有効に認証できているかを検証することができる。
「Visa eCommerce Threat Disruption(eコマース・スレット・ディスラプション)」は、高度なテクノロジーと捜査技術を利用して、決済データをスキミングするマルウェアを検出するためにeコマースサイトのフロントエンドをプロアクティブにスキャンするVisaの独自ソリューションとなる。セキュリティ侵害を受ける可能性のあるサイトを特定することで、加盟店のサイト上にマルウェアが存在する時間を制限し、顧客や決済データが不正アクセスにさらされる脅威を大幅に低減するという。
なお、これらの対策ツールは、実用的な情報のサイバーインテリジェンスを世界中のクライアントや加盟店に提供する、「Visa Payment Threat Intelligence(ペイメント・スレット・インテリジェンス)」を補完するもので、インテリジェンスレポートの適時発行や技術提供、教育用資料の配付で役立つそうだ。これには、潜在的なサイバー犯罪の脅威、アカウントの不正利用や詐欺に対する、警告、分析、テクニカル指標、さらに軽減策も盛り込まれている。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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