2019年9月20日8:00
リクルートライフスタイルの研究機関である「ホットペッパーグルメ外食総研」は、2019年9月11日に報道関係者向けイベント「外食産業におけるキャッシュレスの今とこれからを考える」を実施した。
「ホットペッパーグルメ外食総研」 上席研究員 稲垣 昌宏氏によると、2018年度の外食市場は、東名阪計で前年比1.5%増、4兆1,350億円となった。性年代別でみると、単価伸び率は40歳代女性が最大だが、回数伸び率は20歳代男女で目立った。市場規模は、食事、飲食、軽食の全カテゴリーで前年比プラスとなっている。
また、2018年度の中食市場を見ると、前年度4.9%増、市場規模は1兆2,188億円となった。10月からの増税に際し、節約を意識している人は7割だが、50、60歳代の男性では節約を考えていない人も各4割以上となっている。さらに、節約したいトップ3は光熱費、衣類費、家電・通信費となった。
増税前の準備として、「ポイント還元のあるキャッシュレス各社のキャンペーン内容などを調べる・比較検討する」は20.8%となるなど、キャッシュレスやポイント関連の関心は20%前後を占めた。
「キャッシュレス・消費者還元事業」は8割が認知
当日は、キャッシュレス・消費者還元事業についてのパネルセッションも実施。経済産業省 商務・サービスグループ キャッシュレス推進室長 津脇 慈子氏、前述の稲垣氏、リクルートライフスタイル 『Airペイ』サービス責任者 塩原 一慶氏が登壇し、モデレーターを「ホットペッパーグルメ外食総研」エヴァンジェリスト 竹田 クニ氏が務めた。
アンケートによると、「キャッシュレス・消費者還元事業」を“詳しく知っている”、“知っているが詳しい内容まで知らない”までを含めると、約8割が名称を知っていた。また、約4割がポイントなどが還元される支払い手段を持っていない、もしくはわからなかった。その中で、男性の50歳代は65.8%、60歳代は65.9%の人が持っていると回答した。
パネルセッションでは、外食産業のキャッシュレス動向として、「決済手段の多様化」「インバウンド消費拡大」が挙げられた。また、決済手段のラインナップは拡大しており、キャッシュレス・消費者還元事業の実施により、さらに消費者が便利・お得になるとした。
外食産業でのキャッシュレス化は移行フェーズとしたうえで、店舗の対応の手間・コストをいかに最小化して、現金を含む幅広い決済手段に対応できるかがポイントだとした。たとえば、ロイヤルホールディングスでは、キャッシュレス店舗をオープンすることで、業務の効率化を実現させたという。
Airペイは急速に申込件数が増加
塩原氏は、外食産業のキャッシュレス動向として、スマートフォン決済サービス「Airペイ」の申込件数の伸びを紹介。従来もテレビCMなどの影響で増加が続いていたが、ここ数カ月はキャッシュレス・消費者還元事業も追い風となり、急速に申込件数が伸びているとした。
また、10月以降、外食時に気にすることとを尋ねたところ、外食店を決める前に還元の有無等を調べる人が3割強となった。
経済産業省の津脇氏は「今年はキャッシュレス元年」としたうえで、外食産業としていかにサービスの付加価値を付けて、サービスを向上させるかがキャッシュレス化のポイントだとした。