2019年12月9日8:37

FIDOアライアンスは、2019年12月5日、最新のFIDO導入事例や国内での今後の取り組みについて紹介する記者説明会を開催した。同日にはFIDOアライアンスの活動を紹介するセミナーも開催され、スポンサー企業によるデモンストレーションも行われた。

左からNTTドコモ プロダクト部 プ口ダクトイノベーション担当課長 富山 由希子 氏、ヤフー サービス統括本部 IDソリューション本部長 菅原 進也 氏、ドコモ プロダクト部 プロダクトイノベーション担当部長 森山 光一 氏、FIDOアライアンス エグゼクティブディレクター 兼 CMO(チーフマーケティングオフィサー)アンドリュー・シキア氏、LINE サイバーセキュリティ室 室長 市原 尚久 氏

AndroidやMicrosoftなどプラットフォーム対応が加速

FIDO(Fast IDentity Online)アライアンスは、2012年7月に設立されたグローバルな非営利団体だ。現在、国際的には約250社・団体で活動しており、Visa、Mastercard、Amazon、Googleといったグローバル企業が多く名を連ねている。また、日本では、「FIDO Japan WG」が活動しており、NTTドコモ、LINE、ヤフーがリーダーシップを発揮している。

FIDOでは、共有された秘密を公開鍵暗号を利用して強固なアプローチを目指している。FIDOアライアンス エグゼクティブディレクター 兼 CMO(チーフマーケティングオフィサー)アンドリュー・シキア氏は、その特徴として、「オープンスタンダード」「公開鍵暗号」「シングルジェスチャー」「フィッシング耐性のある多要素認証」である点を挙げた。

FIDOの仕様には、パスワードレス認証の「UAF」、2段階認証の「U2F」、また、「UAF」「U2F」の仕様の良いところを取り入れた仕様である「FIDO2」がある。

2019年の動向として、まずプラットフォーム対応が挙げられる。FIDOアライアンスのFIDO2仕様のWeb APIコンポーネントであるWebAuthnが、正式にW3C Web標準として勧告された。また、FIDO2のブラウザは、Google Chrome、Microsoft Edge、Mozilla Firefox、Apple Safari、Operaをサポートしている。特に、Googleは、Android 7.0以降のプラットフォームを対象にFIDO2認定を取得した。また、Microsoftでも、Windows HelloでFIDO2認定を取得し、Windows 10デバイスでFIDO認証の利用が可能になった。これにより、20億超のデバイスでFIDOが利用できるようになっている。シキア氏は、「採用情報を考慮すれば、着実に成功に向かいつつあるといえるでしょう。業界の主要な業者がFIDOを採用しています」と話す。

韓国で初めてのハッカソンを開催、新カンファレンス開催も

グローバルでみると、GoogleとMicrosoftでは、プラットフォームに加え、サービスプロバイダとして機能するようになった。また、Intuitではモバイルアプリ全体でFIDOパスワードレス認証を展開し、SMSベースの多要素認証と比較してサインイン時間を78%短縮し、認証の成功率80~85%を99.9%とした。英国の国民保健サービスNHS(National Health Service)では、開発者がアプリのログインにFIDO生体認証を使えるためのオープンソースが提供されている。米国連邦調達庁(General Services Administration:GS)では、login.govのFIDO認証を有効にした。これは、米国の公務員と連邦政府の従業員が連邦政府機関とオンラインでやり取りするためのシングルサインオンWebサイトだ。eコマースサイトのeBayでは、AndroidやChromeに対応したサインインを可能にしている。

ワーキンググループ(WG)では、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)分野の「IoT部会」、本人確認と認証に必要な紐付けに関する「ID部会」と、それぞれ新しい作業領域を立ち上げた。例えば、IoTの領域では認証の課題に直面しているが、IoTデバイスからパスワードを使った認証をなくし、セキュアなオンボーディングの自動化を行っている。

また、開発者向けのイベントとして韓国でハッカソンを開催。同イベントは成功し、他の地域での開催も検討中だ。今後の予定として、FIDO認証と周辺の技術、イノベーション、そしてFIDO認証を採用しているプレイヤーのエコシステムに焦点を当てた新たなカンファレンス、「Authenticate」を2020年6月2~3日に米国シアトルで開催するという。

世界初、FIDO2を実装したモバイルペイメントアプリもスタート

続いて、日本での活動について、FIDO Japan WG座長のドコモ プロダクト部 プロダクトイノベーション担当部長 森山 光一氏が紹介した。日本では2016年10月に「FIDO Japan WG」が発足から3周年を迎えたが、メンバー企業は発足当初の10社から2019年12月には43社まで拡大している。

2019年5月には、インターナショナルシステムリサーチ(ISR)がFIDO2(Web認証)を活用してSSO(シングルサインオン)サービスでのパスワードレス認証を開始している。また、7月には、ゆうちょ銀行が、「ゆうちょ認証アプリ」にFIDO認証を搭載し、ログインや送金時の認証が可能となった。9月23日には、LINE Payの提供する「LINE Payアプリ」がFIDO認証の搭載を開始している。これは、世界で初めて、FIDO2を実装したモバイルペイメントアプリだ。

2019年11月11~13日には、国内で初めてFIDOアライアンスが主催するFIDO相互接続性テストを開催した。同相互接続性テストには、10の国・地域からFIDOアライアンスメンバー以外の企業を含めて14社が参加している。

新たなFIDO製品認定としては、Capy(サーバー)、KDDI(認証器:BLE接続でiPhoneを外部認証器として利用可能なアプリケーション)、ナレッジスイート(サーバー)が取得している。

直近の動きとして、大学ICT推進協議会の認証連携部会と、パスワード不要のシンプルで堅牢な認証システム構築に向けたディスカッションを行っている。入学前、入学後、そして卒業後の本人確認のためのオンライン認証にFIDO認証を適用する検討をしており、2019年12月12~14日に開催される大学ICT推進協議会 2019年度年次大会の中で発表予定となっている。

また、NTTドコモでは、2020年2月以降に、不正ログインを未然に防ぐ「dアカウント パスワードレス認証」を開始する予定だ。

12月5日の午後には、第6回 FIDOアライアンス東京セミナーを開催。スポンサーとなるディー・ディー・エス、飛天ジャパン、 Nok Nok Labs, Inc.、 Yubico Inc.、インターナショナルシステムリサーチ、 OneSpan Japan 、 ソフト技研が展示を行った。

ディーディーエスのブースでは自遊空間に導入した本人認証システムを紹介
NokNokのブースでは「S3 Authentication Suite」を紹介
飛天ジャパンは指紋認証デバイス「BioPass」等を展示
YubicoはYubiKeyをはじめとするFIDO2対応認証デバイスを展示
インターナショナルシステムリサーチはCloudGate UNOでWindows Helloによるパスワードレス認証のデモを実施
ソフト技研はFIDO2認定の外部認証器を利用したWindowsログオンサービスを紹介
Open Spanは、BLE対応の認証デバイス「Secure Click」を紹介した
NECはFIDO認証によるパーソナルデータ流通を可能とするサービスを展示

 

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