2022年1月14日8:30
カード戦略研究所 中村敬一氏の連載「デジタルペイメント・マーケティングを編む」。今回は中村氏が古くから執筆やコンサルティング、セミナー等を行ってきたポイントサービスの動向について紹介してもらった。
カード戦略研究所 中村敬一
記事のポイント!
①百花繚乱のポイントサービス
②顧客別購買履歴情報の活用
③ポイント効果と戦略の基本
④共通ポイントの登場とeコマースポイントの登場
⑤ハウスポイントと第三者型の共通ポイントのW発行
⑥スマホの新スタンプカード戦略
⑦中小店の加盟店の活性化、継続性を考える上でスタンプカードは賢い手法?
媒体の違いが何をもたらすのか
すでにポイントカード(サービス)という言葉は市民に定着し、百花繚乱の感があるが、もともとは、スタンプがその源流である。100円購入ごとに1枚のスタンプシールを発行、一定枚数が貯まると景品や商品購入に使えるサービス券を提供するケース等だ。その中で異業種の加盟店で共通に発行されていたのがトレーディングスタンプ、ポイントでいう共通ポイントである。
スタンプは基本的に紙媒体、ポイントは印字・磁気・IC・バーコード、QRコードなどを使ったプラスチックカードやスマートフォンが主な媒体となっていることは既にご承知の通りだ。
現在でもトレーディングスタンプの運用・機能・サービスを源流としたポイントサービスは多く使われており、ポイント何倍セールとかポイント特別進呈サービス商品などの販売促進策は、デジタル化された今日でも変わらない。
スタンプとポイントの大きな違いはIDとの紐付けで、前者は紐付けられていない。ただスタンプを貼る台紙には氏名・住所が記載されているため、スタンプ台紙を回収(利用)した時点では、ある程度の個人情報(購買動向)を把握することはできた。
また、その台紙に記載されて住所を住宅地図に転記して、商圏動向マップなども一応作成は可能であった。さらに印取りゲーム(別途専用台紙を顧客に渡し、例えば500円ごとに1捺印して、10個以上貯まったら、スタンプを追加進呈)を2週間実施して、その専用台紙を回収、同様に住宅地図に顧客別回枚数毎で色分けして記載する程度のことは実施していた。ただ手間と時間が掛かりすぎリアルタイムの情報とはなっていなかった。
ポイントは、その手間と時間を一挙に解決する個人情報・購買履歴情報システムを確立して、リアルタイムでそれらの情報を把握することができるようなった。
またOne to Oneマーケティングの先駆けともなった顧客別購買履歴情報から、関連商品や追加購入商品の紹介も、紙媒体クーポンや電子クーポンなどで実施することができるようになった。これなどもスタンプでは手の届かない手法である。
リアルタイムで精度の高いマッピング作成からエリアマーケティングをスピード感をもって実行し、自社の商圏を商品群別に把握、強いところはさらに強化、弱いところは商品構成やマーチャンダイジングなどを強化して、一時商圏の寡占化を図る戦略も可能になった。
ポイント効果と戦略の基本
小売業を中心としたポイント戦略は、他店との差別化、上位顧客の維持、顧客のランクアップ・離反維持が主な目的であった。そのため自社発行のポイントで顧客を囲い込み、そこから得られる顧客購買履歴情報を販売促進策に活用していた。
筆者はよく「ポイントはモチベーションの種」という表現を使ったが、さまざまなプロモーションプログラムを使いポイントを消費者に提供、できるだけ短期間でポイントが思った以上に貯まることを認識させ、消費者の収集意欲を喚起して、ポイントという種を植えることが最初のフェーズである。
ポイントが発行されるということは基本的に売上をアップすることになるので、販売促進効果を果たしていることになる。そこで2倍、5倍セール、プロダクトクーポン制度(一定の商品に追加ポイントを提供)などのプログラムを展開することで、ポイントに関する価値観が、単に1ポイント=1円といった以上の価値観、お得感を消費者に提供し、最終的にポイントマニアを醸成、顧客の固定化を図るわけである。
以上がハウスポイント市場のポイント効果のハード的側面であるが、この基本構造は現在もポイントセールの主流となっている。(スタンプ時代と変わらない)
共通ポイントの登場とeコマースポイントの登場
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