2022年3月23日9:36
バリューデザインは、三井住友銀行をゲストに招き、2022年3月17日に キャッシュレス市場と「Bank Pay(バンクペイ)」の今後のビジョン、ハウス電子マネーの有用性と銀行口座の活用について、記者説明会を開催した。
成長するハウス電子マネーが伸びる
2025年の2兆円を視野に
バリューデザインは、店舗独自ブランドの電子マネー(ハウス電子マネー)の発行からマーケティング活用まで、一貫してコンサルティングサービスを提供している。「カルディ(KALDI)」「ドトールコーヒー」「モスバーガー」「コーナン」「TRIAL」など、導入社数は833社 、総店舗数9万1,669店舗と、国内最多の導入実績を誇る(2021年12月時点)。また、海外でもタイなどアジア5か国でサービス展開を行う。2022年6月には、アララと経営統合し、年間決済取扱高約1兆円、導入店舗数約10 万店規模の国内最大のハウス電子マネーシステム提供企業となる。
6月からアララの代表取締役社長に就任予定のバリューデザイン 代表取締役 CEO 尾上徹氏は、「キャッシュレス化が進むとハウス電子マネーが伸びます」と話す。“独自Pay”として、決済とマーケティングを掛け合わせたハウス電子マネーで顧客を囲い込む動きが加速している。店舗独自の決済やポイントを提供し、分析サービスを合わせたサービスを展開する企業が増えているそうだ。
2020年時点での国内のキャッシュレス比率は約3割だが、キャッシュレス比率が高まれば高まるほどハウス電子マネーのニーズは高まると尾上氏は見ている。例えば、中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の場合、デジタル通貨からハウス電子マネーへチャージする流れ、店舗から6大銀行に送るサービスが取り組まれており、同社でもそういったビジネスを展開できるとみている。現在の1兆円規模から、「2025年には2兆円まで持っていけます」と尾上氏は意気込みを見せた。
ハウス電子マネーのチャージにBank Pay採用
利用者は銀行口座 から直接チャージが可能に
バリューデザインのハウス電子マネーは、これまでPOSやチャージ機になどからの「現金によるチャージが多かった」と同社 事業開発部 部長 大前匡広氏は話す。バリューデザインの顧客企業でもスマートフォンのアプリを使ったハウス電子マネーを展開する企業が増えているが、オンラインからのチャージはクレジットカードがメインだった。
例えば地域に根差した店舗が複数の金融機関と接続することは難しい課題があったが、複数の金融機関からチャージが行える決済サービスBank Payを採用し、2022年春をめどに提供を開始する予定だ。利用者は、アプリ上で、自身が使う銀行口座からチャージができるため、従来の現金、クレジットカードに加えて、便利にチャージできるようになる。
2025年にオールバンクの展開を目指すBank Pay
「UNIQLO Pay」等企業独自のアプリ
当日は、日本電子決済推進機構(以下「JEPPO」)の副会長も務める、三井住友銀行 執行役員 トランザクション・ビジネス本部長 磯和啓雄氏がBank Payの概要について紹介した。
Bank Payは、日本全国の金融機関が加盟するJEPPOが提供するスマートフォン決済サービスだ(関連記事)。2019年秋から先行取扱をスタートし、昨年から本格展開を開始した。参加金融機関は125行(2022年3月時点)で、2025年には全1,203行の参加を目指している。Bank Payは、独自の決済サービスの提供に加え、企業が提供する会員証や決済機能といったアプリに決済機能を提供することができる。特徴として、既存の「J-Debit」の仕組みを使うため、手数料コストを抑えることが可能だ。
Bank Payは利用者アプリで加盟店側のQRコードを読み取る方式(MPM)とPOSレジなどで利用者アプリのQRコードを読み取る方式(CPM)の両サービスに対応する。ユーザビリティはPayPayなどのコード決済サービス同様だが、「チャージすることなく、直接口座から支払える」ことが強みであると磯和氏は話す。
Bank Payは、企業オリジナルアプリとの提携も進めており、すでにユニクロの「UNIQLO Pay」等でも採用されている。さらに、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)では、ツルハホールディングスが提供しているツルハグループアプリに対し、2022年度冬をサービススタートの目標として、「Bank Pay」を中心としたキャッシュレス決済サービスを導入する予定だ。すでに導入企業の中には、決済手数料を低く抑えるため、Bank Pay決済に誘導させる動きも出てきているという。
ことらでBank Payをつかった個人間送金が可能に
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