国際ブランドのインターチェンジフィー 公取委が標準料率の自主的な公開を促す

2022年4月27日9:00

公正取引委員会は、2022年4月にクレジットカードの取引に関する実態調査報告書をまとめた。2021年11月の新しい資本主義実現会議の緊急提言で、国際ブランドなどが設定する「インターチェンジフィー」の公開状況などの実態調査を行い、競争政策上の課題の有無について明らかにするよう求められていたことに対応した。報告書では、加盟店・アクワイアラ間の加盟店手数料の交渉や、アクワイアラ間の競争を促進する観点から、標準料率を定めている国際ブランドに対しては、標準料率を公開することが適当との考えを示した。公正取引委員会では、国際ブランド間の公平性を確保することに注意を払ったうえで、期日を示して、標準料率の自主的な公開を促すことを軸に今後の対応を検討していく方針だ。公正取引委員会事務総局 経済取引局 取引部 取引調査室 室長 栗谷康正氏に報告書の概要について話を聞いた。

アクワイアラ間の競争や加盟店手数料への効果も期待

公取委は、2018年2月から19年2月の期間においても、クレジットカードに関する実態調査を実施し、19年3月に報告書を公表し、インターチェンジフィーを含む論点について、独占禁止法・競争政策上の考え方を示している。その後、21年6月に閣議決定された成長戦略実行計画において、キャッシュレス決済導入の拡大への課題の1つとして、クレジットカードの加盟店手数料が高額であることや、加盟店手数料の大部分をインターチェンジフィーが占めているとも指摘された。

取引の流れ(カテゴリーⅠのオフアス取引の場合)
出典:公正取引委員会(令和4年4月8日)クレジットカードの取引に関する実態調査について

今回の調査はそれを踏まえて行われたもので、国際ブランドやクレジットカード会社、販売店、消費者、他の決済事業者などを対象に、書面と聞き取り方式で実施した。期間は21年7月から22年2月まで。報告書では、国際ブランドについて、インターチェンジフィーの標準料率を定めているカテゴリーⅠと、それ以外のカテゴリーⅡに分類した。カテゴリーⅠは、VisaやMastercard、Union Pay(銀聯)といった自らカード発行や加盟店管理を行わない国際ブランド。カテゴリーⅡは、自らもカード発行や加盟店管理を行う国際ブランドで、JCBやAmerican Express、Diners Clubが含まれる。

実態(インターチェンジフィーの標準料率関係)
出典:公正取引委員会(令和4年4月8日)クレジットカードの取引に関する実態調査について

報告書では、インターチェンジフィーの標準料率が公開されれば、カテゴリーⅠの国際ブランドカードに関しては、加盟店・アクワイアラ間の加盟店手数料の交渉が活発化し、アクワイアラ間の競争が促進される可能性があり、結果として、カテゴリーⅠの加盟店手数料が引き下がることも考えられると指摘した。さらに、カテゴリーⅠのアクワイアラ間の競争が促進されれば、カテゴリーⅡの加盟店手数料にも一定程度影響を及ぼす可能性や、コード決済など他の決済方法の加盟店手数料にも一定程度影響を及ぼす可能性があるとも指摘している。

今回の報告書の特徴の1つに、これらの影響の可能性について、調査結果に基づく根拠を示したことがある。例えば、約7割の加盟店が「インターチェンジフィーの料率を加盟店手数料の交渉材料の1つにする」と回答したことや、約8割の加盟店が「交渉によって加盟店手数料率が下がった」と回答したこと、交渉を行ったことのある加盟店では、ない加盟店に比べ、平均的な料率が約0.4ポイント低かったことなどを挙げている。

インターチェンジフィーの標準料率に関する競争政策上の考え方
出典:公正取引委員会(令和4年4月8日)クレジットカードの取引に関する実態調査について

そのうえで、加盟店・アクワイアラ間の加盟店手数料の交渉や、アクワイアラ間の競争を促進する観点から、標準料率を定めているカテゴリーⅠの国際ブランドに対しては、標準料率を公開することが適当との考えを示した。カテゴリーⅡの主な国際ブランドに関しては、加盟店から要望があった場合には、アクワイアラとして自らのイシュア手数料について可能な範囲で説明することが望ましいとしている。

標準料率公開後も、公正な競争確保へモニタリング実施

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