Wiseが資金移動業者として日本の「全銀システム」にAPI接続、日本で業界初となる3つの快挙とは?

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2025年12月1日8:00

海外送金サービスを提供するフィンテック企業のWise(本社:イギリス、ワイズ)の日本法人であるワイズ・ペイメンツ・ジャパンは、「全国銀行データ通信システム(以下「全銀システム」)」への接続の開始に向けた記者説明会を開催した。

左からWise Payments Limited, Chief Banking & Expansion Officer, Diana Avila(ダイアナ・アビラ)氏、駐日英国大使のJulia Longbottom(ジュリア・ロングボトム)CMG氏、Wise Payments Limited, Chief Banking & Expansion Officer, Diana Avila(ダイアナ・アビラ)氏

未来のグローバル金融システムの基盤を築く?
英国は世界で最も革新的で包括的な金融センターを目指す

駐日英国大使のJulia Longbottom(ジュリア・ロングボトム)CMG氏は、「歴史的な節目を共に祝うために、この場に参加できることを大変光栄に思います。ワイズは日本の全銀システムに接続した初の非銀行、初の外国企業、そして初の英国企業となりました。これは、日本市場がよりオープンに、そしてデジタル化が進んでいることを示しています。ワイズは英国FinTechの誇るべき代表例です」と述べた。

ワイズは2011年にロンドンで設立され、ロンドン証券取引所に上場して以来、現在では世界中で1,600万人以上の顧客にサービスを提供している。その成功は、英国が最先端技術を駆使し、金融をより公平かつ透明にする使命を持つ、世界有数のFinTechの中心地であることを示しているとした。英国企業では、国内の決済ネットワークをつなぎ、仲介業者を排除して顧客のコストを削減するなど、未来のグローバル金融システムの基盤を築いており、このやり方を推進してきたそうだ。

英国のFinTech業界は、複数の重要な強みがあり、大使は4つを挙げた。1つ目は、FDAの規制サンドボックスなどの取り組みによって、革新を促進しつつ消費者を守る支援的な規制環境が整っていることだ。2つ目は、ロンドンに拠点を置く長い金融サービスの伝統があり、ロンドンは今なおヨーロッパのFinTechの中心地であり続けているとした。3つ目は資本と人材へのアクセスで、世界的にトップクラスの大学や多様な人材が決済分野、規制技術、AIを活用した金融サービスでの革新を牽引している。4つ目はオープンバンキングでのリーダーシップや、スタートアップ、既存企業、政策担当者が連携して進めるオープンイノベーションの文化だ。

ジュリア氏は「これらの強みは、英国がヨーロッパのFinTech投資の半分を引き寄せ、グローバル金融を変革するワイズのような企業の育成にもつながっています。金融サービスはまた、8つの重点分野で成長とイノベーションを推進するための10年計画である英国の現代的な産業戦略の中核を成しています」と話す。この戦略は、金融サービスが英国経済の基盤であり、GDPの約9%を占め、全国で120万人の雇用を支えている。現代の産業戦略では、2035年までに英国が世界で最も革新的で包括的な金融センターであり続けるという大胆なビジョンが掲げられているそうだ。

今回ワイズが、初の資金移動業者として日本の「全銀システム」にAPI接続し、 日本銀行と当座預金取引を開始したことにより、「英国と日本の間で資金を移動させる人々や企業に対して、具体的なメリット、迅速な支払い、そしてより高い透明性がもたらされると私は確信しています。 そして、この実現のために尽力したワイズチームと日本の金融規制当局の皆様の協力的な姿勢に心からお祝い申し上げます」と語った。

仲介者を排除してコストを削減
日本はインフラプロジェクト推進で重要に

続いて、Wise Payments Limited, Chief Banking & Expansion Officer, Diana Avila(ダイアナ・アビラ)氏が挨拶した。同氏はロンドンで修士号を取得した後、コロンビアへ送金する必要があった際に初めてワイズを知ったが、その時、国際送金の複雑さと費用の高さを痛感したという。ダイアナ氏は「ワイズのミッションは、国境を越えたお金のための最良のインフラを築くことです」と述べる。

ワイズは、国境を越えた送金をスムーズで簡易、しかも手頃な料金で行えるように、さらに透明性も確保できる最高のインフラを構築することを目指している。ワイズは、毎年、32兆ポンドもの資金が国境を越えて移動している。 そのうちワイズは、すでに消費者のお金の5%と、中小企業の国際取引の1%を扱っているそうだ。ワイズのネットワークは世界各国の国内決済システムに直接接続しており、仲介者を排除することでコストを削減し、その節約や利益を顧客に還元しているとした。これはワイズが約15年間取り組んできたインフラプロジェクトであり、日本は同プロジェクトにおいて重要な役割を果たしている。なお、32兆ポンド規模のこの大きな市場には依然として大きな課題が残っているからだ。

現在、世界中の消費者や中小企業は国際送金の際に平均6.49%もの手数料を支払っている。こうした状況を踏まえ、2020年に日本を含むG20ではこの平均コストを最大3%まで削減するとした。G20諸国は、この目標を2027年までに達成することを目指している。国境を越えた決済改善のロードマップの一環として、G20は4つの柱を定め、その中の2つは「透明性」と「直接アクセス」だとした。

透明性は、サービス提供者が外国送金にかかる実際の費用(外国為替のスプレッドも含む)をきちんと開示しているかどうかを確認するものだ。直接アクセスは、従来の銀行だけでなく、適切に規制された非銀行機関にも支払いシステムの利用を認めることを指す。これらの2つの分野は市場に真の競争を生み出し、消費者が国際送金をより速く、より安価に、そしてより良く行えるようにしている。

同社のG20目標に向けた進捗状況についての2025年の報告書では、 一部の国々は大きな進展を遂げている一方で、他の国々はまだ遅れをとっていることが分かったという。昨年から今年にかけて日本の状況が改善しているという。また、支払いシステムへの直接アクセスに関しては、世界中で大きな進展があり、特に日本が満点の5を獲得している。

世界での直接接続後の成果
4つの大きな顧客メリットとは?

ワイズ・ペイメンツ・ジャパン カントリーマネージャー 勢井美香氏は、全銀システム接続に関しての具体的な中身を紹介した。ワイズは、2024年3月に第一種資金移動業のライセンスを取得し、1回の取引で最大1億5,000万円までの送金が可能となり、第一種ライセンスを取得したグローバル企業となった。2024年10月には全銀システムの加盟承認を受け、ノンバンクとして初の快挙を達成した。ワイズは仲介銀行経由で接続し、仲介銀行が決済システムにつながる。このような仲介者が増えるごとに、コスト・時間・不具合などのコストがかかるが、ワイズは「Direct Access」という決済システムへの直接接続を推進しており、取引はほぼ即座に完了するという。仲介業者を省くことで、取引に関するコストを削減し、顧客体験をエンド・ツー・エンドで完全にコントロールできるようになるとした。

しかし、その実現は決して簡単ではなく、規制当局や決済システム運営会社との協働には通常数年の時間を要する。

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