POSA技術を応用して「WeChat Payment」決済サービスをPOSレジで対応可能に(インコム・ジャパン)

2017年3月1日16:00

ココカラファインとサンドラッグでサービスを開始

インコム・ジャパンは、中国・深セン市に本社を持つテンセント(騰訊控股有限会社)のグループ会社である、テンペイ(財付通)との業務提携契約を締結し、POSA技術を応用することで、「WeChat Payment(微信支付)」決済サービスをPOSレジにて対応可能とした。すでにPOSA導入店舗のココカラファイングループとサンドラッググループにおいてサービスが開始された。

5万店のPOSA導入店舗等がWeChat Paymentを導入可能に
エクスクルーシブではない契約条項、サービスの先進性が魅力に

インコム・ジャパンは9年前からPOSレジで支払が完了した時点で対象のカードを有効化するPOSA技術を活用し、プリペイドカード(POSAカード)の流通・販売を行っている。現在、コンビニエンスストアやドラッグストア、家電量販店など5万店舗で同サービスが利用可能だ。

「3年前にPOSレジとつながる強み、ネットワークを司る会社としての新たな立ち位置を築こうという構想がありました。当時はPOSを活用した減算の仕組みではなく、米国ではリチャージが伸びていたため、そちらの方向で検討していました。その後、中国のモバイル決済が成長の兆しを見せていることから、調査を開始。市場での情報収集やリーガルの検証など、半年前から行い、1月24日に無事にサービスをスタートすることができました」(インコム・ジャパン 代表取締役社長 荒井琢麿氏)

左から運用担当 武井秀樹氏、ビジネスデベロップメント部 ビジネスデベロップメント・マネージャー 山村哲平氏、プロジェクト・マネージャー パラシャ スダンシュ氏

中国には複数のモバイル決済サービスが展開されており、中国人は1つではなく、各決済サービスを使い分けている人が多い。その中から、「契約がエクスクルーシブではないことを明言しているWeChat Paymentを検討し始めました」と、ビジネスデベロップメント部 ビジネスデベロップメント・マネージャー 山村哲平氏は話す。インコムでは中国に訪問するなど、現地の状況を確認するとともに、テンセントの本社やコールセンターを視察することで、その先進性を肌で感じた。山村氏は、「実際に現地を訪問して、日本の厳しい基準へのサポートを遠隔でできるということを確認しました。先進性やテクノロジ、規模は想像以上でした」と口にする。

契約はインコム・ジャパンとテンセントが直接実施したが、WeChat Paymentは支払いのサイクルなども明確化されており、結果的にスムーズに契約に至った。小売業者は、インコムと契約することで、WeChat Payment決済サービスをPOSレジにて対応できるようになった。山村氏は、「薄利なビジネスであるため、中間プレイヤーが多ければ多いほど小売業者に迷惑がかかります。また、インコムにとって減算の仕組みは初めてとなりますが、幸い、弊社にはクレジットカード会社やコンサルタント出身のメンバーが揃っているのが強みです」と話す。

富士通の協力を得てサービスを構築
店舗での訴求はPOSAで培った知見を活かす

実際の仕組みは、POSAカード販売店のアプリケーションとインコム社のセンターとの接続を容易に実現するパッケージソリューション「やごやさん」を提供する富士通の協力を得て開発した。POSAでは、顧客アプリケーションからAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を呼び出すことにより、国際基準の通信プロトコル「ISO8583」を作成する機能を搭載。荒井氏は、「WeChat Payment固有の仕様はインコムジャパン・ゲートウェイで吸収し、小売り側は既存の「やごやさん」の仕組みを最大限活用し、負担を最小限に致しました」と成果を口にする。今回の仕組みでは、小売側はインコムジャパン・ゲートウェイに電文を飛ばし、中国のテンセントに接続し、リアルタイムな決済処理を実現している。

「テンセント社もPOSAで開拓した弊社の5万店以上の実績にポテンシャルを感じていただき、連携は非常にスムーズで、システム面、運用面ともにタイトな時間の中で質の良いサービスを構築でき、無事にローンチすることができました」(荒井氏)

1月24日のスタート後は、トラブルなく、決済が行われている。テンセントでは、決済の状況をリアルタイムで監視して、エラー対応なども共有することで、事前にトラブルを防止する仕組みを構築した。決済処理のスピードも体感で1秒ほど。ウォレットはもちろん、銀行口座と連動している仕組みとして、非常にスピーディーであると感じている。

店舗では、レジ周りや店内の見やすい位置にPOPやポスター等をわかりやすく設置することで、WeChat Paymentが利用できることを告知している。2社では導入時、中国人向けの割引キャンペーンを実施しており、それと連動して店舗で販促活動を実施した。

ココカラファイン店舗での告知

「店頭でお客様に利用して頂くためには店頭での露出は重要です。弊社ではこれまでのPOSA事業で、POP等をどう掲示したら効果的かを経験してきましたので、日本の小売のルールをわかった上で、短期間で効率よく告知できるのは強みです」(山村氏)

2万店以上の採用を目指す
優位性のある手数料でサービスを提供へ

インコム・ジャパンでは、コンビニや専門店、ドラッグストアなどPOSAの導入店舗を中心に、中国人の利用者が多い店舗からWeChat Paymentの導入を勧めていきたいとしている。荒井氏は、「POSAの仕組みを応用することで、オペレーションは非常に楽になると思います。現在は2,000店舗ですが、2万店以上の展開ができればいいですね」と意気込む。手数料に関しては、端末を運営・維持する必要がない分、優位性がある価格で提供できるそうだ。インコム・ジャパンでは、将来的に他のモバイル決済に関してもPOSAを応用して提供していきたいとしている。

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