2010年11月18日8:00
非接触IC決済事業者に聞く~ビットワレット「Edy」(1)
汎用型電子マネー「Edy」の次なる戦略は?
面での展開に力を入れ、楽天グループとの連携を強化
ビットワレットは2001年、11社の出資によって設立された電子マネー「Edy」の運営、推進を行う企業だ。流通や交通などの特定の事業者が提供する形ではなく、ビットワレットが中立的な立場で展開している。2009年11月には楽天との資本提携に合意。今後は楽天グループとの連携を強化し、楽天市場などでのEdy決済の導入を予定している。
カードの稼働率、順調に推移
チャージでお得なキャンペーンも実施
「Edy」はビットワレットが運営しているプリペイド型の電子マネーである。中立的、汎用的な電子マネーである強みを持ち、全国のさまざまな業種、企業とのアライアンスを行っている。
象徴的なのは全国の9割以上の店舗で利用できるコンビニエンスストアだ。「2009年は国内最大手のセブン-イレブン様をはじめ、スリーエフ様、デイリーヤマザキ様でEdyを導入いただき、国内の主要コンビニエンスストアでEdyが利用できるようになりました。ほぼすべてのコンビニのレジでチャージ(入金)ができるというのも他のマネーにはない特長です」(ビットワレット 取締役 事業部門 部門長 清水哲朗氏)
コンビニエンスストア以外にも、スーパー、ドラッグストア、飲食店など幅広いジャンルで利用できる。また今年はヤマト運輸のセールスドライバーが持つハンディ端末に電子マネー決済機能が搭載され、通信販売などで注文した商品の代金を玄関先でEdyで支払うことができるようになった。
利用箇所が増え、面での展開が広がることにより、「Edyカードホルダーの稼働率も順調に推移している」(清水氏)そうだ。
「今年はANA様の会員向けにコンビニエンスストアでEdyをチャージするとANAのマイルが貯まるお得なキャンペーンを実施しています。この結果、チャージ金額が増えていますので、お客様の利用率の促進につながっています」(清水氏)
他社と比較して多種多様な利用可能箇所を保有しているのがビットワレットの最大の強みだ。同社では大手チェーンを中心に中小規模の店舗も含め、今後も地道な加盟店開拓を行うことで、利用箇所を増やしていく方針だ。最近では複数の電子マネーが利用できる共用端末もあることから、「案件によって方向性さえ合えば、他の決済事業者と協力して導入を検討していきたい」と清水氏は説明する。
モバイルFeliCaのスマートフォンアプリにも対応
刷新した楽天カードにもEdyを搭載
リアル店舗の拡大だけではなく、PCや携帯電話を利用した決済シーンの拡大にも力を入れる。10月に、近日発売となるKDDIやNTTドコモのおサイフケータイ機能付Android搭載スマートフォンに対応したEdyアプリを2011年1月末から利用できると発表した。同社では今後もスマートフォンでの決済シーンは拡大すると考えている。
また、中立な立場を保ちながら、汎用的な側面は崩さない形で楽天グループとしての強みを活かしていきたいとしている。
「すでに楽天グループのショータイムでのEdy決済を取り扱っていますが、楽天グループ内での決済を推進していきたいです。当然、楽天市場への導入は検討しています。また、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの球場内ではすでにEdyが使えるので、今後はさらに、球場内でのEdyのご利用を浸透させていきたいです」(清水氏)
9月14日には2005 年6月に発行開始した「楽天カード」を刷新し、電子マネーEdy 機能付き楽天カードとして発行している。楽天カードにEdy 機能が搭載されたことで、通常のクレジットカード利用でも楽天スーパーポイントが貯まるだけでなく、さらに楽天カードのEdyで支払った場合でも200円ごとに1ポイントの楽天スーパーポイントが貯まるようになった。また、楽天市場内の「Edyオフィシャルショップ」ではEdyを使うと楽天スーパーポイントが貯まる「楽天ポイントクラブEdyカード」(500円/税込)を販売している。iPhoneユーザーにも好評を得ており一時は完売になるなど、売上は非常に好調だ。