2020年12月5日20:34
KDDIグループのエナリス、auフィナンシャルホールディングス、auペイメントはディーカレットとともに、小売電気事業者が広く利用できるP2P電力取引プラットフォームの社会実装を目指し、電力および環境価値のP2P取引事業成立要因を検証する実証事業を2020年11月20日~2021年2月末まで実施している。
今回の実証事業はエナリスが東京都に採択された事業の一環として実施しているもので、エナリスの「ブロックチェーン上で電力取引を管理するプラットフォーム」でトラッキングされた電力取引結果に基づき、ディーカレットの「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」で環境価値トークンの発行、管理を行う。これにより将来的なP2P電力取引スキームにおけるトークン活用実用化に向けた課題の洗い出しを行うそうだ。
なお、KDDIは2019 年 7 月にディーカレットへ出資し、今回の実証事業は「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」を目的として2020年2月に実施したディーカレットとの実証実験に続く取り組みとなる。
各社の役割として、エナリスが卒FITプロシューマーから環境価値が含まれた電力を調達し、真に再エネ価値を求めるRE100企業(企業が事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)へ電力とともに環境価値を供給する。auフィナンシャルホールディングスの子会社かつ資金移動業登録業者であるauペイメントが、実証事業用の環境価値トークンを発行し、発行されたトークンをエナリスがRE100企業に配布する。RE100企業は卒FITプロシューマーから譲渡された再生可能エネルギーの環境価値に対する謝礼として、環境価値トークンを譲渡する。実証事業終了後、卒FITプロシューマーは提供した環境価値の謝礼として受け取るauペイメント発行のau PAY残高を幅広く決済に利用することができる。ディーカレットは自社で構築した「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を活用し、環境価値トークンの発行、流通、償却を行う。
具体的な検証内容は、「卒FIT電力に含まれる環境価値」および「太陽光発電自家消費分の環境価値」への謝礼支払手段としてのトークン活用の課題を洗い出す。また、エナリスの持つ小売電気事業に関するノウハウを活かして現行の電気事業法に準拠した形態でP2P取引を行い、業務上・制度上の課題を検証する。さらに、手軽に集められるFIT電源を利用せず、非FIT電源(卒FITプロシューマー)から環境価値が付与された電力を調達し、真に再エネ価値を求めるRE100企業へ供給するスキームを検証する。